空色そらいろ)” の例文
くるひるごろ、正雄まさおさんは、海辺うみべへいってみますと、いつのまにやら、昨日きのう空色そらいろ着物きもの子供こどもがきていまして
海の少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
我はうちまもりつゝ彼等のなかをゆき、一の黄なる嚢の上に獅子のかほ姿態みぶりとをあらはせる空色そらいろをみき 五八—六〇
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
黒繻子くろじゆすえりのかゝつたしま小袖こそでに、ちつとすきれのあるばかり、空色そらいろきぬのおなじえりのかゝつた筒袖こひぐちを、おびえないくらゐ引合ひきあはせて、ほつそりとました。
雪霊記事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
その一団のかげになっている扉口とぐちごしには、明るい部屋が見えて、そこの家具は空色そらいろずくめだった。
接吻 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それが霜や氷柱でおおわれると空色そらいろの大理石でつくった尊げに苔むした灰色の廃墟と見え、また「冬」の神——暦に画かれたあの老人——が住んでいる仮小屋とも見え
水草の裾模様すそもようをつけた空色そらいろのお馨さんは、同行の若い婦人と信濃丸の甲板から笑みて一同を見て居た。彼女は涙をおとし得なかった。其心はとく米国に飛んで居るのであった。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
彼女のうす黒い髮は、空色そらいろの羽毛飾の蔭や、寶石の紐の環の中にきら/\と輝いてゐた。
空色そらいろしづむ内陣ないぢんの闇ほのぐらき静寂せいじやく
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
空色そらいろびんより
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
東雲しののめ空色そらいろのような、また平和へいわ空色そらいろのような、うすあかいろ着物きものをきた少女しょうじょが、この楽園らくえんあるいていたのです。
消えた美しい不思議なにじ (新字新仮名) / 小川未明(著)
船はやおら桟橋を離れた。空色そらいろぎぬ笑貌えがおの花嫁は、白い手巾はんかちを振り/\視界の外に消えた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
彼女は空色の青い縮緬クレイヴの朝の着物を着てゐて、薄い空色そらいろのスカーフが髮にからんでゐた。
空色そらいろの帆もちぎれ、波にぬれて——
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「あのもりが、きみうちのあるところだよ。きみはあのもりかえればゆかれるよ。」と、空色そらいろ着物きものをきた少年しょうねんおしえました。
空色の着物をきた子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あはれそが夢ふかき空色そらいろしつつ
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
浜辺はまべにはいろいろなあおや、しろや、むらさきや、空色そらいろはななどがたくさんにいていました。けれどあのあかいとこなつとおなじいはなつかりませんでした。
夕焼け物語 (新字新仮名) / 小川未明(著)
われらいま、空色そらいろのやみに
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
三郎さぶろうは、あやしんで、四辺あたりまわしましたけれど、空色そらいろ着物きものをきた少年しょうねん姿すがたはどこにもなかったのです。三郎さぶろうは、森影もりかげあてに、そのうちかえりました。
空色の着物をきた子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
といって、そのかめの背中せなかって、空色そらいろ着物きもの子供こどもは、なみあいだえなくなってしまいました。
海の少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
きみ、もうだいじょうぶだよ。」と、後方うしろからこえをかけました。三郎さぶろうは二びっくりしてかえってみますと、先刻さっき空色そらいろ着物きものをきた子供こどもが、自分じぶんうしろについてきたのであります。
空色の着物をきた子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
台風たいふうぎた、翌日よくじつあさ空色そらいろは、いつもよりかもっと、もっときれいでした。
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぼくも、もうかえるよ。じゃきみ、また明日あしたいっしょにあそぼう。さようなら。」といって、空色そらいろ着物きもの子供こどもれいたかいわうえへ、つるつるとはいがりましたが、はやその姿すがたえませんでした。
海の少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
けれど、このごろはどこへいっても、これとおなくもった空色そらいろで、かつてそんなうつくしいくもたことがありません。わたしをつけていますが、もしつぐみがここにきましたら、よくいてごらんなさい。
山の上の木と雲の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
このくさがすがすがしい空色そらいろはなくときは、はるになるのでした。
寒い日のこと (新字新仮名) / 小川未明(著)