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稲妻
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いなづま
ふりがな文庫
“
稲妻
(
いなづま
)” の例文
旧字:
稻妻
白刃
(
しらは
)
を
植
(
う
)
えたような
稲妻
(
いなづま
)
が
断間
(
たえま
)
なく
雲間
(
あいだ
)
に
閃
(
ひらめ
)
き、それにつれてどっと
降
(
ふ
)
りしきる
大粒
(
おおつぶ
)
の
雨
(
あめ
)
は、さながら
礫
(
つぶて
)
のように
人々
(
ひとびと
)
の
面
(
おもて
)
を
打
(
う
)
ちました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
雨が少し
小止
(
こや
)
みになって、雷が激しくなってきますと、ぴかりとする
稲妻
(
いなづま
)
の
蒼白
(
あおじろ
)
い光りを受けて、濡れた金の日の丸が、なお一層輝いてきました。
雷神の珠
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
しばしおせんは、
俯向
(
うつむ
)
いたまま
眼
(
め
)
を
閉
(
と
)
じていた。その
眼
(
め
)
の
底
(
そこ
)
を、
稲妻
(
いなづま
)
のように、
幼
(
おさな
)
い
日
(
ひ
)
の
思
(
おも
)
い
出
(
で
)
が
突
(
つ
)
ッ
走
(
ぱし
)
った。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
ぴかりと
稲妻
(
いなづま
)
の光る途端に
瞬
(
またた
)
きをするのも同じことである。すると意志の自由にはならない。意思の自由にならない行為は責任を負わずとも
好
(
よ
)
いはずである。
お時儀
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ふと、
稲妻
(
いなづま
)
のようなものが、さしこんで来ました。かんかんあかるいひる中でした。たれかが大きな声で
しっかり者のすずの兵隊
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
▼ もっと見る
遥
(
はる
)
か
川上
(
かはかみ
)
の空のはづれに夏の
名残
(
なごり
)
を示す雲の
峰
(
みね
)
が立つてゐて細い
稲妻
(
いなづま
)
が
絶間
(
たえま
)
なく
閃
(
ひら
)
めいては消える。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
その無気味な煙りの中には、ときどき
稲妻
(
いなづま
)
のようなものが光っていた。その
閃光
(
せんこう
)
は
熔岩
(
ようがん
)
と熔岩とがぶつかって発するものだということを、去年の夏、彼は人から聞いていた。
恢復期
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
その暗い夜を照らすような
稲妻
(
いなづま
)
が、軒さきを
掠
(
かす
)
めて弱く光った。稲妻は秋の癖である。
半七捕物帳:46 十五夜御用心
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
うららかないいお
天気
(
てんき
)
で、まっ
青
(
さお
)
な
海
(
うみ
)
の上には、
波
(
なみ
)
一つ
立
(
た
)
ちませんでした。
稲妻
(
いなづま
)
が
走
(
はし
)
るようだといおうか、
矢
(
や
)
を
射
(
い
)
るようだといおうか、目のまわるような
速
(
はや
)
さで
船
(
ふね
)
は走って行きました。
桃太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
と
叫
(
さけ
)
ぶのが、
遥
(
はるか
)
に、
弱
(
よわ
)
い
稲妻
(
いなづま
)
のやうに
夜中
(
よなか
)
を
走
(
はし
)
つて、
提灯
(
ちやうちん
)
の
灯
(
ひ
)
が
点々
(
ぽつ/\
)
畷
(
なはて
)
に
徉徜
(
さまよ
)
ふ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
足の骨が折れそうになり、
激痛
(
げきつう
)
が全身を
稲妻
(
いなづま
)
のように
突
(
つ
)
き
刺
(
さ
)
しただけであった。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
要するに自分がもし現実世界と接触してゐるならば、今の所母より外にないのだらう。其母は
古
(
ふる
)
い人で
古
(
ふる
)
い田舎に
居
(
お
)
る。其外には汽車の
中
(
なか
)
で乗り合はした女がゐる。あれは現実世界の
稲妻
(
いなづま
)
である。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
月あかり、
稲妻
(
いなづま
)
すなる。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
明治時代もあらゆる時代のやうに何人かの犯罪的天才を
造
(
つく
)
り出した。ピストル強盗も
稲妻
(
いなづま
)
強盗や五寸
釘
(
くぎ
)
の
虎吉
(
とらきち
)
と一しよにかう云ふ天才たちの
一人
(
ひとり
)
だつたであらう。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
先
(
ま
)
ず
遥
(
はる
)
か
向
(
むか
)
うの
深山
(
みやま
)
でゴロゴロという
音
(
おと
)
がして、
同時
(
どうじ
)
に
眼
(
め
)
も
眩
(
くら
)
むばかりの
稲妻
(
いなづま
)
が
光
(
ひか
)
る。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
背負上
(
しょいあ
)
げの
緋縮緬
(
ひぢりめん
)
こそ
脇
(
わき
)
あけを
漏
(
も
)
る雪の
膚
(
はだ
)
に
稲妻
(
いなづま
)
のごとく
閃
(
ひらめ
)
いたれ、
愛嬌
(
あいきょう
)
の
露
(
つゆ
)
もしっとりと、ものあわれに
俯向
(
うつむ
)
いたその姿、片手に
文箱
(
ふばこ
)
を
捧
(
ささ
)
げぬばかり、
天晴
(
あっぱれ
)
、
風采
(
ふうさい
)
、池田の
宿
(
しゅく
)
より
朝顔
(
あさがお
)
が参って
候
(
そうろう
)
。
縁結び
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ぴかりぴかり
稲妻
(
いなづま
)
が、しきりなしに光りだして来ました。
野のはくちょう
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
稲妻
(
いなづま
)
や世をすねて住む竹の奥
自選 荷風百句
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
一
方
(
ほう
)
は
火竜
(
かりゅう
)
、
他方
(
たほう
)
は
水竜
(
すいりゅう
)
——つまり
陽
(
よう
)
と
陰
(
いん
)
との
別
(
べつ
)
な
働
(
はたら
)
きが
加
(
くわ
)
わるから、そこに
初
(
はじ
)
めてあの
雷鳴
(
らいめい
)
だの、
稲妻
(
いなづま
)
だのが
起
(
おこ
)
るので、
雨
(
あめ
)
に
比
(
くら
)
べると、この
仕事
(
しごと
)
の
方
(
ほう
)
が
遥
(
はる
)
かに
手数
(
てすう
)
がかかるのじゃ……。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
稲
常用漢字
中学
部首:⽲
14画
妻
常用漢字
小5
部首:⼥
8画
“稲妻”で始まる語句
稲妻形
稲妻小僧
稲妻萱穂
稲妻型廊下