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祈祷
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いのり
ふりがな文庫
“
祈祷
(
いのり
)” の例文
仏教信者は食事をする時、先づ飯を一
箸
(
はし
)
とつて仏に供へる事を忘れない。耶蘇教信者はまた食卓につくと、屹度感謝のお
祈祷
(
いのり
)
をする。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「ここやかしこで雨乞いの
祈祷
(
いのり
)
も、噂ばかりでなんの
奇特
(
きどく
)
も見えぬ。世も末になったのう」と、忠通も力なげに再び溜息をついた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
此からは屹度親のいう事を聞くから助けてくれるようにと
祈祷
(
いのり
)
をした。そしてもう直ぐに
瀑布
(
たき
)
だろうと思って舟の中に突俯して泣いた。
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「おさない
姫
(
ひめ
)
たちが、このあいだから
風邪
(
かぜ
)
に
悩
(
なや
)
んでいる。奥もきょうはそれで
祈祷
(
いのり
)
にまいった。アレは昔からその
宗門
(
しゅうもん
)
でもあった」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ今夜と違っておられます事は尼様達のお
祈祷
(
いのり
)
の代りに
猛
(
たけ
)
りに猛る
武士
(
もののふ
)
のひしめきあらぶ
声々
(
こえごえ
)
が聞こえていたことでござります
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
▼ もっと見る
智恵子は、シツカリと吉野の脱ぎ捨てた下駄を持つた手を、胸の上に組んで、口の中で何か
祈祷
(
いのり
)
をしながら、熱心に男のする
態
(
さま
)
を見てゐた。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
彼心をこめし
祈祷
(
いのり
)
と
歎息
(
ためいき
)
をもて、かの魂の待つ處なる山の腰より我を引きまた我を他の諸〻の圓より救へり 八八—九〇
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
アーメン嫌いな人達の中で、時々捨吉が二階へ上って行って
祈祷
(
いのり
)
の仲間入をするように成ったは、同じ
居候
(
いそうろう
)
の玉木さんを
憐
(
あわれ
)
むという心からであった。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
かかる
場合
(
ばあい
)
にのぞみて、
人間
(
にんげん
)
の
依
(
たの
)
むところはただ
神業
(
かみわざ
)
ばかり……。
私
(
わたくし
)
は一
心
(
しん
)
不乱
(
ふらん
)
に、
神様
(
かみさま
)
にお
祈祷
(
いのり
)
をかけました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
食事が濟み、ミラア先生がお
祈祷
(
いのり
)
をすますと、級の生徒は列を作つて、二人づゝ二階へと
昇
(
のぼ
)
つて行つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
ひかりを鎧うた浄い暁のなか、
蠧
(
むしば
)
まれた
祈祷
(
いのり
)
の囁きがたちのぼる。一と夜、悪の扉に
靠
(
もた
)
れてゐたかれらが、聖らかな眼ざめにかへるのだ。——一斉に咒詞を呟きながら。
希臘十字
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
わたしはもう
祈祷
(
いのり
)
をささげに来た人としての謹慎の態度を持ちつづけていられなくなりました。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
怪しげな
呪禁
(
まじない
)
や
祈祷
(
いのり
)
をして、助かる病人まで殺してみたり、医者の薬を遠ざけて、ますます病気を悪くしてみたり、盛んに迷信や邪信を鼓吹して、愚夫愚婦を惑わしている
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
身も
魂
(
たま
)
も捧げて彼を愛すと誓へる神前の
祈祷
(
いのり
)
、嬉しき心、
辛
(
つら
)
き
思
(
おもひ
)
、千万無量の感慨は胸臆三寸の間に
溢
(
あふ
)
れて、父なる神の
御声
(
みこえ
)
、天に
在
(
い
)
ます
亡母
(
はゝ
)
の幻あり/\と見えつ、聞えつ
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「ほんとうは
祈祷
(
いのり
)
をし乍ら、同時に祈らるるものの心地にならなければいけません。」
湖水と彼等
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
考へる
葦
(
あし
)
のをののき。無限への思慕。エロスへの切ない
祈祷
(
いのり
)
。そして、ああそれが「精神」といふ名で呼ばれた、私の失はれた追憶だつた。かつて私は、肉体のことを考へて居た。
田舎の時計他十二篇
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
蕁麻
(
いらくさ
)
で織った贖衣を素肌に着、断食をし、滝のように涙を流して懺悔の
祈祷
(
いのり
)
をする。
葡萄蔓の束
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
しかしてヨブはその最後において「しかれどもわが手には不義あるなくわが
祈祷
(
いのり
)
は清し」と主張して、いぜんとして
己
(
おのれ
)
の無罪を高調し、この罪なき彼を打つ神の杖の無情を
怨
(
うら
)
んでいる。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
(嗚呼聽く
祈祷
(
いのり
)
の聲よ)世は
闇
(
やみ
)
なる。
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
こころしづかに
夕
(
ゆふべ
)
の
祈祷
(
いのり
)
をささげ
どんたく:絵入り小唄集
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
静かに起る日の
祈祷
(
いのり
)
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
それを見送ってから、山岳切支丹族のともがらも、
祈祷
(
いのり
)
の
後
(
のち
)
に、附近の山へちりぢりばらばら
蜘蛛
(
くも
)
の子のように立ち去りました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
論より証拠はきのうの
祈祷
(
いのり
)
じゃ。お前たちもお師匠さまと一つになって、悪魔調伏の祈祷をせられたが、あっぱれその
効験
(
しるし
)
が見えましたか。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
急いで部屋を出て見ると、台所には震えながら
祈祷
(
いのり
)
をあげている下宿の
主婦
(
かみさん
)
がある。
屋外
(
そと
)
には暗い空を仰いで
稲妻
(
いなずま
)
のような探海燈の光を望む町の人達がある。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「お
祈祷
(
いのり
)
も済んだし
懺悔
(
ざんげ
)
もしたし今日のお
勤行
(
つとめ
)
はつとめてしまったからそろそろ妾は寝ようかと思うよ」
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
まろき
大溪
(
おほたに
)
に沿ひて來れる民泣いて物言はず、足のはこびはこの世の
祈祷
(
いのり
)
の行列に似たりき 七—九
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
それは私達の愛でした。神様の目に罪と見える私達の愛でした。更に
祈祷
(
いのり
)
を捧げているうちに、何時のまにか死が逃げてしまったのです。私は死を否定して愛を——凡てを肯定する愛を
湖水と彼等
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「恐れ入りますが、食前のお
祈祷
(
いのり
)
を貴方にお願ひしたいものですな。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
知り
來
(
こ
)
し愛の
祈祷
(
いのり
)
をいつく時か
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
祈祷
(
いのり
)
のこゑと
雪
(新字旧仮名)
/
高祖保
(著)
「私が甲州へゆく途中で、やはり、こんな深い谷あいで、大勢のものが集まって、
祈祷
(
いのり
)
をあげていたのを見たことがあるわ」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
人間の霊魂を地の底から引き出して来るような笛の音。聞く人の心をせき立てて犯罪の庭へでも追いやるような、惨酷な調子の鉦の音……小声で唱える合唱の
祈祷
(
いのり
)
。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
もうどうしても猶予は出来ないので、信西入道と相談の上で、自分はきょうから身を
浄
(
きよ
)
めて七十日の
祈祷
(
いのり
)
を行なうことにきめた。左大臣頼長ももちろん同意である。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
夕方の静かな時に、捨吉は人の見ない玄関の畳の上に
跪
(
ひざまず
)
いた。唯独り寂しい
祈祷
(
いのり
)
の気分に浸ろうとした。丁度そこへお婆さんが通りかかった。捨吉は頭を上げて見て思わず顔を真紅にした。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
祈祷
(
いのり
)
に伏し沈む枳佐加比比賣の
独絃哀歌
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
この一団は人里をはなれたかかる山奥に来て、幕府がきびしく禁じている
邪宗門
(
じゃしゅうもん
)
の
祈祷
(
いのり
)
を奉じているらしく想像されます。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それが解っているために妾の声はお
祈祷
(
いのり
)
に
顫
(
ふる
)
え妾の眼は涙に濡れ……そうして妾の生涯は……
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
『
祈祷
(
いのり
)
あげよ』と星の
界
(
よ
)
の
草わかば
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
「今がいままで、一
間
(
ま
)
のうちに
祈祷
(
いのり
)
の鐘をならしていた
伴天連
(
バテレン
)
がみょうなそぶりで、ご城内の
要害
(
ようがい
)
をさぐり歩いているという小者の知らせでござります」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
! ……また打たれた! ……飛天夜叉組じゃ! ……いかにもそうじゃ! ……こうなっては法も
祈祷
(
いのり
)
も! ……間に合わない! 間に合わない! ……どうしようぞ、範覚範覚!
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いざ
祈祷
(
いのり
)
をぞ
榮
(
はえ
)
おほき
草わかば
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
範宴は自分の行く末を照らす
法
(
のり
)
の
火
(
ひ
)
のようにそれを見ていた。彼の頬の
隈
(
くま
)
が、赤くなすられていた。
黙然
(
もくねん
)
と、火に対して、
祈祷
(
いのり
)
と誓いをむすんでいた。すると——
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
やや
明瞭
(
はっき
)
りと云うのを聞けば、それは
回教
(
ふいふいきょう
)
の
祈祷
(
いのり
)
であった。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
祈祷
(
いのり
)
は
永劫
(
とは
)
に
金泥
(
こんでい
)
の
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
濠端
(
ほりばた
)
にたって、なにやら
祈祷
(
いのり
)
をささげている伴天連をみかけて、美しい夫人が
鋲乗物
(
びょうのりもの
)
を
止
(
と
)
めさせた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いぜんから
高徳
(
こうとく
)
の聞えはあって、後醍醐に
瑜伽灌頂
(
ゆがかんちょう
)
の法をさずけ、元弘の元年には、例の“中宮
御産
(
ごさん
)
の
祈祷
(
いのり
)
”と称し、北条調伏の
呪
(
のろ
)
いを行ったかどで、
硫黄島
(
いおうじま
)
流しとなった豪僧なのだ。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“祈祷(祈り)”の解説
祈り(いのり)とは、宗教によって意味が異なるが、世界の安寧や、他者への想いを願い込めること。利他の精神。自分の中の神と繋がること。神など神格化されたものに対して、何かの実現を願うこと。神の定理は各宗教による。祈祷(祈禱、きとう)、祈願(きがん)ともいう。儀式を通して行う場合は礼拝(れいはい)ともいう。
(出典:Wikipedia)
祈
常用漢字
中学
部首:⽰
8画
祷
漢検準1級
部首:⽰
11画
“祈祷”で始まる語句
祈祷書
祈祷所
祈祷会
祈祷料
祈祷式
祈祷者
祈祷師
祈祷文
祈祷台
祈祷場