眞夏まなつ)” の例文
新字:真夏
俳諧はいかいには、ふゆになつてたはずだが、みゝづくは、はるすゑから、眞夏まなつあきく。……ともすると梅雨つゆうちの今頃いまごろが、あの、忍術にんじゆつつかひ得意とくいときであらうもれぬ。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
金泥きんでいそらにながしていろどつた眞夏まなつのその壯麗そうれいなる夕照ゆうせふたいしてこころゆくまで、銀鈴ぎんれいこゑりしぼつてうたひつづけた獨唱ソロ名手めいしゅそらとりはねをとどめてそのみゝかたむけた、ああ
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
「お休みでございましたから、ほかに何もすることはございませんでした。ですから、朝からお晝までいて、またお晝から夕方までいたしました。眞夏まなつで、日が長くつて、やりたいにまかせてやるのには都合がようございました。」
肌ぬるき眞夏まなつ青空あをぞらの眼に
眞夏まなつ白鵠びやくこふの歌かなしまむ。
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
あすは、それ、眞夏まなつはじめ
カンタタ (旧字旧仮名) / ポール・クローデル(著)
眞夏まなつ眞晝まひるの醜さに
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
すぐ翌日よくじつであつた。がこれちつ時間じかんおそい。女中ぢよちうばん買出かひだしに出掛でかけたのだから四時頃よじごろで——しかし眞夏まなつことゆゑ、片蔭かたかげ出來できたばかり、日盛ひざかりとつてもい。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ただたまへ、眞夏まなつ麻耶姫まやひめ
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
眞夏まなつ日盛ひざかりの炎天えんてんを、門天心太もんてんこゝろぷとこゑきはめてよし。しづかにして、あはれに、可懷なつかし。すゞしく、まつ青葉あをば天秤てんびんにかけてになふ。いゝこゑにて、ながいてしづかきたる。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
今にして眞夏まなつうてな
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
眞夏まなつ三宅坂みやけざかをぐん/\あがらうとして、車夫わかいしゆひざをトンとくと蹴込けこみをすべつて、ハツとおも拍子ひやうしに、車夫わかいしゆ背中せなかまたいで馬乘うまのりにまつて「怪我けがをしないかね。」は出來できい。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ときもあらうに、眞夏まなつ日盛ひざかり黒髮くろかみかたしくゆきかひな徐大盡じよだいじん三度目さんどめわかつまいとをもけず、晝寢ひるねをしてた。(白絹帳中皓體畢呈はくけんちやうちうかうたいひつてい。)とある、これは、一息ひといき棒讀ぼうよみのはうねがふ。
画の裡 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)