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疝気
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せんき
ふりがな文庫
“
疝気
(
せんき
)” の例文
旧字:
疝氣
あるいは
疝気
(
せんき
)
の気味にて、外出あいかなわず、まことに失礼ながら貴殿がかわって御使者におたちなされたと言われるのでござろう
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
殊に今は、
疝気
(
せんき
)
を起こしているのだから、爺は、仕事への倦怠と、伜への憂慮との、この二つの間にもだもだしているのである。
山茶花
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
お客さまのうちにはよく
螢
(
ほたる
)
を啼けとか、
疝気
(
せんき
)
の虫を啼けとかいう註文が出ますが、それはわたくし以上の天才にもおそらくできますまい。
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
急に
袷
(
あわせ
)
が欲しいほどに涼しくなって、
疝気
(
せんき
)
もちの用人はもう
温石
(
おんじゃく
)
を買いにやったなどといって、蔭で若侍たちに笑われていた。
両国の秋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
近隣の人も、さては家屋敷に因縁があったのだろうと
噂
(
うわさ
)
していたが、中には行くさきざきまで気遣って、人の
疝気
(
せんき
)
に気をもむ連中も少なくなかった。
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
▼ もっと見る
若い時分から
疝気
(
せんき
)
なら
何処
(
どこ
)
が
能
(
い
)
いとか歯の痛いのには
此処
(
こゝ
)
が
能
(
よ
)
いとか聞いてるから据えて遣ると、
向
(
むこう
)
から名を附けて観音様の
御夢想
(
ごむそう
)
だなぞと云って
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「それがいけないんで、仁三郎さん。お互に年は取りたくないネ。持病の
疝気
(
せんき
)
が
嵩
(
こう
)
じて、近頃は腰も切れない始末さ。気ばかり若くたって、もういけねえ」
銭形平次捕物控:052 二服の薬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
道化役者が
疝気
(
せんき
)
の発作におそわれればその派手な衣裳もその病苦をあらわすにちがいないし、兵士が砲弾に
射
(
う
)
ちあてられればぼろも紫衣のけだかさをもつであろう。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
さればかの
迂儒
(
うじゅ
)
の眼中より見ればほとんど理由もなく因縁もなく、他人の
疝気
(
せんき
)
を頭痛に病むの類たるがごとく、実に
咄々
(
とつとつ
)
怪事のごとしといえども、決してしからず。
将来の日本:04 将来の日本
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
一昨日
(
おとつい
)
昇に
誘引
(
さそわれ
)
た時既にキッパリ
辞
(
ことわ
)
ッて行かぬと決心したからは、人が騒ごうが騒ぐまいが
隣家
(
となり
)
の
疝気
(
せんき
)
で
関繋
(
かけかまい
)
のない
噺
(
はなし
)
、ズット澄していられそうなもののさて居られぬ。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そのなかで
疝気
(
せんき
)
の湯がいちばん熱く、綿の湯というのが名前の如く、やわらかくてぬるいことになっているが、それは盛りの時分のことで、今はどれも同じようなもので
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「そこが胃だあな。左が胃で、右が肺だよ」「そうかな、おらあまた胃はここいらかと思った」と今度は腰の辺を
叩
(
たた
)
いて見せると、金さんは「そりゃ
疝気
(
せんき
)
だあね」と云った。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
原武太夫
(
はらぶだゆう
)
が宝暦末年の劇壇を
罵
(
ののし
)
り、享保の芸風を追慕して
止
(
や
)
まざりし『
隣
(
となり
)
の
疝気
(
せんき
)
』または
手柄岡持
(
てがらのおかもち
)
が壮時の
見聞
(
けんぶん
)
を手記したる『
後
(
あと
)
は
昔物語
(
むかしものがたり
)
』等を
繙
(
ひもと
)
きて年々の評判記と合せ読み
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
来やがった、来やがった、陽気が悪いとおもったい! おらもどうも
疝気
(
せんき
)
がきざした。
海異記
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「先生、
何
(
ど
)
うか
御戯談
(
ごぜうだん
)
を
仰
(
おつ
)
しやらないで下さい。私は
疝気
(
せんき
)
を病んでるんですから。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
さればとて古い人を新らしく
捏直
(
こねなお
)
して、何の拠り処もなく自分勝手の糸を
疝気
(
せんき
)
筋に引張りまわして変な
牽糸傀儡
(
あやつりにんぎょう
)
を働かせ、芸術家らしく乙に澄ますのなぞは、地下の枯骨に気の毒で出来ない。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
一種強烈なる芳香を有し、
駆虫
(
くちゅう
)
、
袪痰
(
きょたん
)
、健胃剤となる。また芳香を有するがため、
嬌臭
(
きょうしゅう
)
及び嬌味薬となる、あるいは種子を酒に浸し、飲用すれば
疝気
(
せんき
)
に効あり。茴香精、茴香油、茴香水を採録す
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
阿倍仲麻呂
(
あべのなかまろ
)
が、たった一つ和歌を作っただけであるのに、その一つを、
疝気
(
せんき
)
持ちの
定家
(
さだいえ
)
に
引奪
(
ひったく
)
られ、後世「かるた」というものとなって、顔の黄ろい女学生の口にかかって永久に恥をさらして居る。
死の接吻
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
中川君、茄子というものは全体人の
身体
(
からだ
)
に
薬
(
くす
)
りだろうかあるいは毒だろうか、よく世間では毒なもののように言って夏中茄子を食べないと冬になって
風邪
(
かぜ
)
を
惹
(
ひ
)
かないとか
疝気
(
せんき
)
が起らないとかいうね。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
あたかもそのかみの歌舞伎女形、「
疝気
(
せんき
)
をも
癪
(
しゃく
)
にしておく女形」
寄席行灯
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「行というのは、まあ、たいていこうしたものなんでしょうが、でも、こんなところに坐っていると冷えこんで
疝気
(
せんき
)
が起きますぜ。……いったい、どういう心願でこんなところにへたりこんでいるんですか」
顎十郎捕物帳:01 捨公方
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
「ようよう、眼もと千両ときたな、本気も
疝気
(
せんき
)
も脚気もねえ、十八万六千石の若殿さまだ、いいからぐっといきねえ、明日の朝あたまが痛えなんという酒じゃねえ
灘
(
なだ
)
の生一本、おまけに
勘定
(
つけ
)
の心配がねえとくるから安心だ」
若殿女難記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
あまり威張ったことじゃないよ——俺はもう
疝気
(
せんき
)
と
喘息
(
ぜんそく
)
が起きそうでとても
叶
(
かな
)
わないから、何が何んでも帰るよ
銭形平次捕物控:243 猿回し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
仰向
(
あおむけ
)
に寝たらば楽になるかと思うと、
疝気
(
せんき
)
が痛くなったりしていけませんから、廊下へ出て
躍
(
おど
)
ったら
宜
(
よ
)
かろうというように、実に人は苦の初めを楽しむと云って
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
呼べど叫べど答ざれば、「
老爺
(
おやじ
)
め、また
疝気
(
せんき
)
でも起しおったな。」走出でて門を開けばはや往来には人の山、津浪のごとく流込むに、「こりゃ何事じゃ。」と執事はきょろきょろ。
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
引っ張られたのは初さんに引っ張られたのかと思う読者もあるかもしれないが、そうじゃない。そう云う気分が起ったんで、強いて形容すれば、
疝気
(
せんき
)
に引っ張られたとでも
叙
(
じょ
)
したら善かろう。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それをまた例の福本日南が、頭の禿に触られでもしたかのやうに博士に
喰
(
く
)
つてかゝつて、
往時
(
むかし
)
の事を
疝気
(
せんき
)
に病むよりは、
寧
(
いつ
)
そ博士の育てた高等遊民の救済法でも考へたがよからうと口を
尖
(
とが
)
らせた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
その証拠に殆んど過半は痔持ち
疝気
(
せんき
)
持ちです。アハハ
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
雑司ヶ谷の荒物屋の利八という
親爺
(
おやじ
)
がある。寅旦那にひどい眼に逢わされたとかで、いつかはきっと殺してやると触れ廻しているが、その晩は
疝気
(
せんき
)
を起して早寝を
銭形平次捕物控:121 土への愛着
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
なに
彼
(
あ
)
の
人
(
ひと
)
はね
疝気
(
せんき
)
が
起
(
おこ
)
つていけないツてえから、
私
(
わたし
)
がアノそれは薬を飲んだつて
無益
(
むだ
)
でございます、
仰向
(
あふむ
)
けに
寐
(
ね
)
て、
脇差
(
わきざし
)
の
小柄
(
こづか
)
を
腹
(
はら
)
の上に
乗
(
のつ
)
けてお置きなさいと
云
(
い
)
つたんで。
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ただ気をつけてしかるべき事は、自分の心的状態がまだそんな廻り合せにならないのに、人の因果を身に引き受けて、やきもき
焦
(
あせ
)
るのは、多少
他
(
ひと
)
の
疝気
(
せんき
)
を頭痛に病むの
傾
(
かたむ
)
きがあるように思います。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ムヽウ
禁厭
(
まじなひ
)
かい。弥「
疝気
(
せんき
)
の
小柄
(
こづか
)
ツ
腹
(
ぱら
)
(千
住
(
じゆ
)
の
小塚原
(
こづかつぱら
)
)と
云
(
い
)
つたら
怒
(
おこ
)
りやアがつた、
跡
(
あと
)
から
芳蔵
(
よしざう
)
の
娘
(
むすめ
)
が
労症
(
らうしやう
)
だてえから、
南瓜
(
たうなす
)
の
胡麻汁
(
ごまじる
)
を
喰
(
く
)
へつてえました。長「
何
(
なん
)
だい、それは。 ...
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「音羽の荒物屋の利八は
疝気
(
せんき
)
が起きて早寝をしたのは本当で、音羽の本道(内科医)が言うんだから嘘じゃないでしょう。——あの晩の容体じゃ、便所へ行くのも難儀だったに
違
(
ちげ
)
えねえって」
銭形平次捕物控:121 土への愛着
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
いやもう
私
(
わし
)
は酒は飲まず、
外
(
ほか
)
に
楽
(
たのし
)
みも無いので、まア甘い物でも食い、茶の一杯も飲むくらいが何よりの楽み、それに私はまア此の
疝気
(
せんき
)
が有るので、疝気を揉まれる心持は
堪
(
こた
)
えられぬて
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
また此の重三郎の親父は梨子売を致す重助と申す者で、川崎在の羽根田村に身貧に暮して居りまするが、去年の暮から年の
故
(
せえ
)
か致して
寒気
(
さむさ
)
に
中
(
あた
)
る、
疝気
(
せんき
)
が起ったと見えまして寝て居ります。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
家根
(
やね
)
の上に
葮簀
(
よしず
)
が掛って居て、其処に看板が出てあったよ、癪だの寸白
疝気
(
せんき
)
なぞに利く
何
(
なん
)
とか云う丸薬で、
*
黒丸子
(
くろがんじ
)
の様なもので苦い薬で、だらすけみたいなもので、癪には能く利くよ、お前ねえ
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
疝
漢検1級
部首:⽧
8画
気
常用漢字
小1
部首:⽓
6画
“疝気”で始まる語句
疝気持
疝気筋
疝気疝癪
疝気寸白虫根切