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田舎者
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いなかもの
ふりがな文庫
“
田舎者
(
いなかもの
)” の例文
この点で科学者は、普通の頭の悪い人よりも、もっともっと物わかりの悪いのみ込みの悪い
田舎者
(
いなかもの
)
であり
朴念仁
(
ぼくねんじん
)
でなければならない。
科学者とあたま
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「
田舎者
(
いなかもの
)
じゃあるまいし、——気が利かないにも、ほどがあるぜ。だが何だってまた、あんな所で、飛び降りなんぞしたんだろう。」
妖婆
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ピカルディーの
田舎者
(
いなかもの
)
の目が有し得るすべての輝きが、フォーシュルヴァンの
瞳
(
ひとみ
)
をよぎった。ある考えが彼に浮かんできたのである。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
「まアだまって、わっしについておいでなさい。どうせあなたがたは、
甲州
(
こうしゅう
)
の
田舎者
(
いなかもの
)
、都のみちは、ごあんないじゃありますめえが」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
うと/\として
眼
(
め
)
が
覚
(
さ
)
めると女は
何時
(
いつ
)
の間にか、
隣
(
とな
)
りの爺さんと
話
(
はなし
)
を始めてゐる。此
爺
(
ぢい
)
さんは
慥
(
たし
)
かに前の前の駅から乗つた
田舎者
(
いなかもの
)
である。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
おまえさんのような
田舎者
(
いなかもの
)
には、ここは、ちとぜいたくすぎるようなところなんだよ。ここは、
人間
(
にんげん
)
が
金
(
かね
)
をかけて
造
(
つく
)
っている
温室
(
おんしつ
)
なのさ。
みつばちのきた日
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
父祖は、ずっと東方のバクトリヤ辺から来たものらしく、いつまでたっても都の
風
(
ふう
)
になじまぬすこぶる
陰鬱
(
いんうつ
)
な
田舎者
(
いなかもの
)
である。
木乃伊
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
その身体全体からは、重々しい活気と
田舎者
(
いなかもの
)
めいた健康との印象を人に与えた。母といっしょに暮らしていて、たいへん母を大事にしていた。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「なんの、お前様にお礼を言われるようなことをすべえ、行届かねえ
田舎者
(
いなかもの
)
ですから、
面倒
(
めんどう
)
を見てやっておくんなさいまし」
大菩薩峠:01 甲源一刀流の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
店へ来る客の中に、
過般
(
いつか
)
、
真桑瓜
(
まくわうり
)
を丸ごと
齧
(
かじ
)
りながら入つた
田舎者
(
いなかもの
)
と、それから帰りがけに
酒反吐
(
さけへど
)
をついた紳士があつた。
蠅を憎む記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
リストの
大袈裟
(
おおげさ
)
なジェスチュア、儀礼、人をそらさぬお世辞——すべてそれは、
田舎者
(
いなかもの
)
のブラームスには、我慢のならないものであったに相違あるまい。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
……何せまだ字もろくに読めないほんの
田舎者
(
いなかもの
)
の小娘でござりまするで、……大層
綺麗
(
きれい
)
な紙に書いて下さった、と云って、いやもう、とても喜びましてな。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
謂
(
い
)
わば口重く舌重い、無器用な
田舎者
(
いなかもの
)
でありますから、
濶達
(
かったつ
)
な表現の才能に恵まれている
筈
(
はず
)
もございません。
風の便り
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「でもどうかね、どんなに美しい娘だといわれていても、やはり
田舎者
(
いなかもの
)
らしかろうよ。小さい時からそんな所に育つし、
頑固
(
がんこ
)
な親に教育されているのだから」
源氏物語:05 若紫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「それから、君、イとエの発音がちがっていなくッちゃいけないぜ。電車の中で小説を読んでいるような女の話を聞いて見たまえ。まず十中の九は
田舎者
(
いなかもの
)
だよ。」
十日の菊
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
彼はまごまごしていて
田舎者
(
いなかもの
)
と笑われないようにと、西洋料理へ往ったときに
朋友
(
ともだち
)
の云った
詞
(
ことば
)
をそのまま用いて料理を
二皿
(
ふたさら
)
とビールを
註文
(
ちゅうもん
)
すると、婢が出て往ったので
牡蠣船
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
妻はご存じの
田舎者
(
いなかもの
)
にて当今の女学校に入学せしことなければ、育児学など申す学問いたせしにもあらず、言わば昔風の家に育ちしただの女が初めて子を持ちしまでゆえ
初孫
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
何
(
なに
)
かにつけては
美学
(
びがく
)
の
受売
(
うけうり
)
をして
田舎者
(
いなかもの
)
の
緋
(
ひ
)
メレンスは
鮮
(
あざや
)
かだから
美
(
び
)
で江戸ツ子の
盲縞
(
めくらじま
)
はジミだから
美
(
び
)
でないといふ
滅法
(
めつぱふ
)
の
大議論
(
だいぎろん
)
に
近所
(
きんじよ
)
合壁
(
がつぺき
)
を
騒
(
さわ
)
がす事少しも
珍
(
めづ
)
らしからず。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
下女は
田舎者
(
いなかもの
)
とて不審顔に「あれはあんだんべい」大原それを見て「泥棒だ、
和女
(
おまえ
)
たちが家を ...
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
確かに間違うやつもないものだが人間は
田舎者
(
いなかもの
)
まる出しの
朴訥者
(
ぼくとつもの
)
だ。こいつは嘘はいわないと文次はにらんだが、念のため、饗庭の屋敷でどんな人が出て受け取ったかと尋ねると
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
……へんッお前さんなんぞのような
田舎者
(
いなかもの
)
に江戸ッ児が馬鹿にされてたまるものか
うつり香
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
ちょうど時は四月の半ば,ある夜母が自分と姉に向ッて言うには,今度
清水
(
しみず
)
の
叔父様
(
おじさま
)
がお雪さんを連れて
宅
(
うち
)
へ泊りにいらッしゃるが,お雪さんは江戸育ちで、ここらあたりの
田舎者
(
いなかもの
)
とは違い
初恋
(新字新仮名)
/
矢崎嵯峨の舎
(著)
田舎者
(
いなかもの
)
めが、都会に出て来て茶屋遊の ABC を学んで居るなんて、ソンナ鈍いことでは生涯役に立たぬぞと云うような調子で
哦鳴
(
がな
)
り廻って、実際に
於
(
おい
)
てその哦鳴る本人は決して浮気でない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
ある日、千葉家の玄関先へ、一人の
田舎者
(
いなかもの
)
がやって来た。着ている衣裳は
手織木綿
(
ておりもめん
)
、きたないよれよれの帯をしめ
冷飯草履
(
ひやめしぞうり
)
を穿いていた。
丈
(
たけ
)
は小さく痩せぎすで、顔色あかぐろく日に焼けていた。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
小倉は行く先を忘れた
田舎者
(
いなかもの
)
のように当惑げにそこへ突っ立っていた。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
それは野村の妻や子供を見たことのないミネの向うみずだったかも知れない。
田舎者
(
いなかもの
)
のように気の
利
(
き
)
かぬ感じの野村、口ではいえず、手紙にかいてよこした野村の小気さ、それがミネの心をひいた。
妻の座
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
すくなくも彼はその百姓らを相手にする
田舎者
(
いなかもの
)
である。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「おい。おい。左の手を放そうものなら、あの
田舎者
(
いなかもの
)
は落ちてしまうぜ。落ちれば下には石があるし、とても命はありゃしない。」
仙人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その「たくだ」がむつかしくてわからず、また
田舎者
(
いなかもの
)
の自分にはその「つくばい」がなんだかわからなくて聞いたのであった。
思い出草
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
それはウーゴモンに住んで園丁をやっていた
田舎者
(
いなかもの
)
だった。一八一五年六月十八日に、彼の家族の者は逃げ出して森の中に隠れてしまった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
けれども
田舎者
(
いなかもの
)
だから、此色彩がどういふ風に奇麗なのだか、
口
(
くち
)
にも云へず、筆にも書けない。たゞ白い方が看護婦だと思つた許りである。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ポッと出の
田舎者
(
いなかもの
)
のくせに、身に引受けてみようとは、なんという豪胆な言い分だろう、豪胆でなければ、向う見ずの極だ。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
田舎者
(
いなかもの
)
の
婆
(
ばば
)
は、巧みにものを申すことができませぬ。正直にもうしまするで、お怒りくだされますな。——殿のおすがたを
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
都会の人たちと違って、
田舎者
(
いなかもの
)
の三十六と言えば、もう孫が出来ている年頃だ。からかっちゃいけません。
春の枯葉
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ガマーシュもまた食卓の勇者で、無作法で
田舎者
(
いなかもの
)
で多血質であって、丈夫でない人々を、食うことも飲むこともできない人々を、パリーのいじけた者どもを、
軽蔑
(
けいべつ
)
しきっていた。
ジャン・クリストフ:10 第八巻 女友達
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
少将は心に少し
田舎者
(
いなかもの
)
らしいことを言うとは思ったが、うれしくないこともなさそうな表情をして聞いていた。大臣になる運動費でも出そうと言ったことだけはあまりな
妄想
(
もうそう
)
であるとおかしかった。
源氏物語:52 東屋
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
しかしこんな
田舎者
(
いなかもの
)
に弱身を見せると
癖
(
くせ
)
になると思ったから、なるべく大きな声をして、少々巻き舌で講釈してやった。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それを、うっかりと見とれていたこっちが
田舎者
(
いなかもの
)
! それよりも、たとえ豆のような人影にしろ、人命二つの浮き沈みの方が遥かに大事であった。
大菩薩峠:29 年魚市の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
田舎者
(
いなかもの
)
の自分の目には先生の家庭がずいぶん端正で典雅なもののように思われた。いつでも上等の生菓子を出された。
夏目漱石先生の追憶
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そして若くもなく老年でもなく、美しくも醜くもなく、
田舎者
(
いなかもの
)
でも町人でもないひとりの女が、彼の用を足していた。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
それは油気のない髪をひっつめの
銀杏返
(
いちょうがえ
)
しに結って、横なでの
痕
(
あと
)
のある
皸
(
ひび
)
だらけの両
頬
(
ほお
)
を気持の悪い程赤く
火照
(
ほて
)
らせた、
如何
(
いか
)
にも
田舎者
(
いなかもの
)
らしい娘だった。
蜜柑
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
無礼
(
ぶれい
)
なやつめ、
甲州
(
こうしゅう
)
の
田舎者
(
いなかもの
)
とはなにをいうのじゃ、おそれ多くもこれにわたらせらるるは……」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
野暮
(
やぼ
)
な
田舎者
(
いなかもの
)
の狭量かも知れない。私は三田君の、そのような、うぶなお便りを愛する事が出来なかった。それから、しばらくしてまた一通。これも原隊からのお便りである。
散華
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
三四郎は此名前を読んだ儘、しばらく戸口の所で
佇
(
たゞず
)
んでゐた。
田舎者
(
いなかもの
)
だから
敲
(
のつく
)
するなぞと云ふ気の利いた事はやらない。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかしその未知の
扉
(
とびら
)
にぶつかってこれを開く人があるとすれば、その人はやはり案内者などのやっかいにならない風来の
田舎者
(
いなかもの
)
でなければならない。
案内者
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
田舎者
(
いなかもの
)
の早口で少しも不安を与うるものではなかった。ただ質朴な正直さと
呆然
(
ぼうぜん
)
自失との入り交じった調子だった。
レ・ミゼラブル:05 第二部 コゼット
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
桁
(
けた
)
の
外
(
はず
)
れた道楽にまで踏み込むことを悔いない、珍しい
田舎者
(
いなかもの
)
だと見た見方を変えなければならなくなりました。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
四尺ほどな丸棒の杖をついて、一人の若い
田舎者
(
いなかもの
)
が立っている。むっくり
肥
(
こ
)
えた肩を張り、丸々とした顔に、上気した汗をたたえ、白い歯を見せながら笑っているのである。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
少年はこの男に追いすがり、しっかりと外套の袖を
捉
(
とら
)
える。驚いてふり返った男の顔は
生憎
(
あいにく
)
田舎者
(
いなかもの
)
らしい父親ではない。
綺麗
(
きれい
)
に
口髭
(
くちひげ
)
の手入れをした、都会人らしい紳士である。
浅草公園:或シナリオ
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何食わぬ顔をして、これに便乗すれば、私も或いは「成功者」になれるのかも知れないが、
田舎者
(
いなかもの
)
の私にはてれくさくて、だめである。私は、自分の感覚をいつわる事が出来ない。
十五年間
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
田
常用漢字
小1
部首:⽥
5画
舎
常用漢字
小5
部首:⼈
8画
者
常用漢字
小3
部首:⽼
8画
“田舎者”で始まる語句
田舎者奴