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村雨
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むらさめ
ふりがな文庫
“
村雨
(
むらさめ
)” の例文
一通りの調べが濟んで歸らうとすると、檢死に立會つた、同心長谷部彌三郎が、
老巧
(
らうかう
)
の目明し、
村雨
(
むらさめ
)
の
鐵
(
てつ
)
をつれて、淺野屋をのぞきました。
銭形平次捕物控:264 八五郎の恋人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
久保田万太郎氏が『さんうてい夜話』で書いていられる野村の
村雨
(
むらさめ
)
のくすぐりも聴かれ、すべて古風でなつかしいものでした。
随筆 寄席囃子
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
屋根へ手をかけそうな
大蛸
(
おおだこ
)
が居るかと思うと、
腰蓑
(
こしみの
)
で
村雨
(
むらさめ
)
が隣の店に立っているか、下駄屋にまで飾ったな。
皆
(
みんな
)
極彩色だね。
伊勢之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一曲
(
いつきよく
)
舞ひ納む
春鶯囀
(
しゆんあうてん
)
、細きは珊瑚を碎く一雨の曲、風に靡けるさゝがにの絲輕く、太きは
瀧津瀬
(
たきつせ
)
の鳴り渡る千萬の聲、
落葉
(
おちば
)
の
蔭
(
かげ
)
に
村雨
(
むらさめ
)
の
響
(
ひゞき
)
重
(
おも
)
し。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
その
後
(
のち
)
、六郎が
切通
(
きりどおし
)
の坂を通って、新しい堂の前に往くと、きっと、
村雨
(
むらさめ
)
が降って来たり、
旋風
(
つむじかぜ
)
が吹き起ったりした。
頼朝の最後
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
▼ もっと見る
急がずば
湿
(
ぬ
)
れざらましを旅人の、あとより晴るる野路の
村雨
(
むらさめ
)
——
太田道灌
(
おおたどうかん
)
よく詠んだとは、まったく此の事であった。近年こんな夕立はめったにない。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
神田祭の晩
肌守
(
はだまも
)
りに「
野路
(
のじ
)
の
村雨
(
むらさめ
)
」のゆかたで喉をきかせた時だったと云うが、この頃はめっきり老いこんで、すきな歌沢もめったに
謡
(
うた
)
わなくなったし
老年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
お三輪は結いたてのうつくしい島田で彼のところへも
挨拶
(
あいさつ
)
に来て、紅白の紙に載せた野村の
村雨
(
むらさめ
)
を置いて行った。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
村雨
(
むらさめ
)
の時節がやって来た。雲が
小暗
(
おぐら
)
く流れて来たかと思うと少しの
堪
(
こら
)
えもなくすぐにばらばらと降りこぼれた。
田舎医師の子
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
さては
村雨
(
むらさめ
)
の通つたのか。何となく
明
(
あか
)
るいぞ。
風
(
かぜ
)
のまにまにふはふはと、
撫子
(
なでしこ
)
が匂ふ、夏水仙が匂ふ、
薔薇
(
ばら
)
が匂ふ、土が匂ふ。ルウヴル
宮
(
きゆう
)
の屋根の上、なさけの星も傾いた。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
いつか
村雨
(
むらさめ
)
も晴れ渡り、露を宿した雑草が秋の野一面に珠を連らね、沈む夕陽に輝いている。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
松風
(
まつかぜ
)
村雨
(
むらさめ
)
」という二人の女の
舞
(
まい
)
は、『
源氏物語
(
げんじものがたり
)
』にもとづいて作ったというが、それが二つの桶を棒の両方にになって、
潮
(
しお
)
を汲みに行くところを舞うのは、
絵空事
(
えそらごと
)
というものである。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
東の方は
村雨
(
むらさめ
)
すと覚しく、灰色の雲の中に隠見する
岬頭
(
こうとう
)
いくつ
糢糊
(
もこ
)
として墨絵に似たり。それに引きかえて西の空
麗
(
うるわ
)
しく晴れて白砂青松に日の光鮮やかなる、これは水彩画にも
譬
(
たと
)
うべし。
東上記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
夜風に身ぶるいした大樹の梢から、バラバラと月光の
村雨
(
むらさめ
)
が降りこぼれた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
足許の地面から拾い上げた巻紙の
片
(
きれ
)
に、
拙
(
へた
)
な薄墨の字が野路の
村雨
(
むらさめ
)
のように横に走っているのを、こう
低声
(
こごえ
)
に読み終った八丁堀藤吉部屋の岡っ引
葬式
(
とむらい
)
彦兵衛は、鶏のようにちょっと小首を傾げた後
釘抜藤吉捕物覚書:06 巷説蒲鉾供養
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
明け方に風が少し湿気を帯びた重い音になって
村雨
(
むらさめ
)
風な雨になった。
源氏物語:28 野分
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
井手
(
ゐで
)
の
蛙
(
かはづ
)
の干したのも珍らしくないからと、行平殿のござつた時、モウシ若様、
妾
(
わたし
)
の
従来
(
これまで
)
見た事の無いのは
業平
(
なりひら
)
朝臣
(
あそん
)
の歌枕、
松風
(
まつかぜ
)
村雨
(
むらさめ
)
の
汐汲桶
(
しほくみをけ
)
、ヘマムシ入道の
袈裟法衣
(
けさころも
)
、
小豆
(
あづき
)
大納言の
小倉
(
をぐら
)
の色紙
犬物語
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
村雨
(
むらさめ
)
も過ぎて
切籠
(
きりこ
)
のあらしかな 乙双
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
秋の
村雨
(
むらさめ
)
ふりしきるあなたの命日に
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
「あ、あれが
村雨
(
むらさめ
)
の滝です」
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
中
(
なか
)
に一
所
(
ところ
)
、
湖神
(
こしん
)
が
設
(
もう
)
けの
休憩所
(
きうけいしよ
)
——
応接間
(
おうせつま
)
とも
思
(
おも
)
ふのを
視
(
み
)
た。
村雨
(
むらさめ
)
又
(
また
)
一
時
(
しきり
)
はら/\と、
露
(
つゆ
)
しげき
下草
(
したぐさ
)
を
分
(
わ
)
けつゝ
辿
(
たど
)
ると、
藻
(
も
)
を
踏
(
ふ
)
むやうな
湿潤
(
しつじゆん
)
な
汀
(
みぎは
)
がある。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
まったく外界との交渉を絶たれた父が閉じこもった座敷牢からつくづくときき入るのは、この古い池へ来る
村雨
(
むらさめ
)
の音であろうかなぞと彼女は思いやった。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
梅雨
(
つゆ
)
の前觸れらしい
村雨
(
むらさめ
)
が、曉方から降つては
霽
(
は
)
れ、晴れては降り、妙に人じらしな空合です。
銭形平次捕物控:303 娘の守袋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
宙
(
ちゅう
)
に眼をつりあげて見ると、
夕陽
(
ゆうひ
)
にきらきらして
星
(
ほし
)
がまわってくるかと思うばかりな一
箇体
(
こたい
)
の
金輪
(
かなわ
)
の
縁
(
ふち
)
から、雨か
霧
(
きり
)
か、独楽の
旋舞
(
せんぶ
)
とともにシューッと時ならぬ
村雨
(
むらさめ
)
のような水ばしりがして
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
亡
(
な
)
き人を忍ぶる
宵
(
よひ
)
の
村雨
(
むらさめ
)
に
濡
(
ぬ
)
れてや来つる山ほととぎす
源氏物語:42 まぼろし
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
時雨
(
しぐれ
)
村雨
(
むらさめ
)
、
中空
(
なかぞら
)
を雨の
矢數
(
やかず
)
につんざきぬ。
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
私が見ていたあたりへも、一
村雨
(
むらさめ
)
颯
(
さっ
)
とかかったから、歌も読まずに蓑をかりて、案山子の笠をさして来ました。ああ、そこの
蜻蛉
(
とんぼ
)
と
鬼灯
(
ほおずき
)
たち、
小児
(
こども
)
に持たして後ほどに返しましょう。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今にも降り出しそうな
村雨
(
むらさめ
)
模様の空合いです。
銭形平次捕物控:096 忍術指南
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
時雨
(
しぐれ
)
村雨
(
むらさめ
)
、
中空
(
なかぞら
)
を雨の
矢数
(
やかず
)
につんざきぬ。
海潮音
(新字旧仮名)
/
上田敏
(著)
パラパラと
村雨
(
むらさめ
)
が来ました。
銭形平次捕物控:108 ガラッ八手柄話
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
村雨
(
むらさめ
)
ははらゝほろ
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
パラパラと
村雨
(
むらさめ
)
が來ました。
銭形平次捕物控:108 がらツ八手柄話
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
村
常用漢字
小1
部首:⽊
7画
雨
常用漢字
小1
部首:⾬
8画
“村雨”で始まる語句
村雨下
村雨流
村雨茶屋