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昏迷
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こんめい
ふりがな文庫
“
昏迷
(
こんめい
)” の例文
(以下一八六字削除)それが、以前の貴方の場合とぴったり合ってしまうので、なおさら
昏迷
(
こんめい
)
の度が深められてまいるわけなのです。
白蟻
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
何ぞ知ろうわし自身は、ここ数年前から、殆ど、壁に頭を打ちつけたように、道も
悟
(
さと
)
れず、
技
(
わざ
)
も進まず、ただ
昏迷
(
こんめい
)
があるばかりだ。
剣の四君子:02 柳生石舟斎
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は、時と所とを分かたない、
昏迷
(
こんめい
)
の底に、その醜い一生を、正確に、しかも理性を超越したある順序で、まざまざと再び、生活した。
偸盗
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いずれにしても天平精神の
昏迷
(
こんめい
)
を示すものといえよう。万葉後期の諸歌人がこの間に処して、
言霊
(
ことだま
)
を
云々
(
うんぬん
)
したのも大きな戦いであった。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
そして叫びながら、彼は凄じい地響きと共に築地塀が崩壊し、敵味方の挙げる決戦の鬨声を、
昏迷
(
こんめい
)
する耳の奥で
朧
(
おぼ
)
ろげに聞いた。
三十二刻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
▼ もっと見る
扶
(
たす
)
け下ろすに、髪を解けば、ねばねばとして
膠
(
にかわ
)
らしきが着きたりという。もっともその女
昏迷
(
こんめい
)
して前後を知らずとあり。
遠野の奇聞
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
数週間熱が続き、それに伴って意識の
昏迷
(
こんめい
)
をきたし、また、傷そのものよりもむしろ頭部の傷の刺激から来るかなり危険な脳症の徴候を示していた。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
それがしの天才が思想の
昏迷
(
こんめい
)
を
来
(
きた
)
して一時あらぬ狂名を歌われたのもまた二葉亭の鉄槌に
虐
(
しいた
)
げられた結果であった。
二葉亭余談
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
瞬間、彼は
涜
(
けが
)
れた。——その後もっとひどいことがあった。ほとんど
昏迷
(
こんめい
)
の域にあったので、
詳細
(
しょうさい
)
の記憶はない。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
日曜の朝、オリヴィエが学校からやって来たとき、アントアネットは床について多少
昏迷
(
こんめい
)
のうちにあった。医者を呼ぶと、急性の肺結核だと診断された。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
群集はそれを見ると、一そう気違いじみた
昏迷
(
こんめい
)
におちいらないではいられなかった。気の弱い人々は、一目散にテントのそとへ逃げ出したい衝動を感じた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
〔譯〕
毀譽
(
きよ
)
得喪
(
とくさう
)
は、
眞
(
しん
)
に是れ人生の
雲霧
(
うんむ
)
、人をして
昏迷
(
こんめい
)
せしむ。此の雲霧を一
掃
(
さう
)
せば、則ち
天
(
てん
)
青
(
あを
)
く
日
(
ひ
)
白
(
しろ
)
し。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
いや、彼のぶつかった不幸がまだあまりに真近くて彼自身がその中において
昏迷
(
こんめい
)
し、その不幸について考えてみる心の余裕を取り戻していなかったのであろう。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
世界が
根柢
(
こんてい
)
から
覆
(
くつがえ
)
り、今までの自分が自分でなくなったような
昏迷
(
こんめい
)
に、悟空はなおしばらく
顫
(
ふる
)
えていた。事実、世界は彼にとってそのとき以来一変したのである。
悟浄歎異:―沙門悟浄の手記―
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
昏迷
(
こんめい
)
せずにおられましょうか。……ロマノフ、ホルスタイン、ゴットルブ家の
真個
(
ほんとう
)
の末路……。
死後の恋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
人々は都会の与える営利と享楽とを追うのに急であって、その都会生活の基礎を確実ならしめる努力におろそかであった。その油断を一挙にして突かれた。そうして頭脳が
昏迷
(
こんめい
)
した。
地異印象記
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
開卷第一
(
かいかんだいゝち
)
に、
孤獨幽棲
(
こどくゆうせい
)
の
一少年
(
いつしようねん
)
を
紹介
(
しようかい
)
し、その
冷笑
(
れいしよう
)
と
其
(
その
)
怯懦
(
きようだ
)
を
寫
(
うつ
)
し、
更
(
さら
)
に
進
(
すゝ
)
んで
其
(
その
)
昏迷
(
こんめい
)
を
描
(
ゑが
)
く。
襤褸
(
らんる
)
を
纏
(
まと
)
ひたる
一大學生
(
いつだいがくせい
)
、
大道
(
だいどう
)
ひろしと
歩
(
あ
)
るきながら
知友
(
ちゆう
)
の
手前
(
てまへ
)
を
逃
(
に
)
げ
隱
(
かく
)
れする
段
(
だん
)
を
示
(
しめ
)
す。
罪と罰(内田不知庵訳)
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
富山七之助は、疑惑と
昏迷
(
こんめい
)
に、しどろもどろです。
銭形平次捕物控:246 万両分限
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
まだ依然たる
昏迷
(
こんめい
)
中にあったといっていいが、さすがに海道の徳川家康と、越前の柴田勝家とは、やや積極的な動きを示していた。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
現世の
昏迷
(
こんめい
)
に身を投じ、救いも解決もなく、ただ不安に身を
横
(
よこた
)
えられたその
捨身
(
しゃしん
)
故にこそ菩薩として仰がるるのである。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
そして
蒼白
(
そうはく
)
な
昏迷
(
こんめい
)
した
凄惨
(
せいさん
)
な様子で、目には無限の喜びを浮かべ、震える両腕を開いて、
椅子
(
いす
)
の上に身を起こした。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
山男に生捕られて、ついにその
児
(
こ
)
を
孕
(
はら
)
むものあり、
昏迷
(
こんめい
)
して里に
出
(
い
)
でずと云う。かくのごときは
根子立
(
ねこだち
)
の
姉
(
あねえ
)
のみ。
遠野の奇聞
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
三好曹長は判断力の
昏迷
(
こんめい
)
して来るのを禁ずることができなかった。併し彼の多年の経験から来た直覚は「こんな
手管
(
てくだ
)
で化かされてはいかんぞ。油断するでないぞ」
偉大なる夢
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
などといういろいろな疑問がそれからそれへと太田の
昏迷
(
こんめい
)
した頭脳をかけめぐるのであった。
癩
(新字新仮名)
/
島木健作
(著)
却って
検非違使
(
けびいし
)
となって水戸に臨んだ、そこから本枝離反が生じた、しかしそれは表面の事実にすぎない、その裏にこそ真の理由がある、……時代の苦悶だ、
昏迷
(
こんめい
)
とあがきだ
新潮記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
薄暗い空から鉛色の地上へ反射してるその
蒼
(
あお
)
ざめた光は、彼の心を
昏迷
(
こんめい
)
さした。彼の思いは乱れた。いくらその思いをはっきりさせようとしても、とらえることができなかった。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
しかし服用中の
昏迷
(
こんめい
)
状態は、だんだん弱まりながらも続いているようだ。退院しても半年ぐらいは正常に戻らないだろうと、医者も言っていた。しかもまだ正式に退院したわけではない。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
富山七之助は、疑惑と
昏迷
(
こんめい
)
に、しどろもどろです。
銭形平次捕物控:246 万両分限
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
地震と、
大洪水
(
おおみず
)
と、火とが、一緒に来たように市中は
昏迷
(
こんめい
)
している。大坂城はどっしりと宵の空に構えてはいるけれど誰も頼みには思わなかった。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ジャン・ヴァルジャンはよろめいて、吸い取り紙を手から落とし、
食器棚
(
しょっきだな
)
の
傍
(
そば
)
にある古い
肱掛
(
ひじか
)
け
椅子
(
いす
)
に倒れかかり、頭をたれ、目を白くし、
昏迷
(
こんめい
)
に陥った。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
それとも当時の思想的
昏迷
(
こんめい
)
が政略とむすびついて、この徹底した御挙措を政変の因たらしめたのであろうか。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
村一同
昏迷
(
こんめい
)
し、惑乱するや、
万年姥
(
まんねんうば
)
、
諸眷属
(
しょけんぞく
)
とともに立ちかかって、一人も余さず
尽
(
ことごと
)
く
屠
(
ほふ
)
り殺す。——
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
桜井氏は、この途方もない錯誤の意味をどう解いていいのか、全く
昏迷
(
こんめい
)
に陥ってしまった。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
さような眼前鎖末の事に心をとられるようでは、大悟の境に到る道はまだまだ遠い、修業のはじめには誰しもいちどは
昏迷
(
こんめい
)
するものだ、いや三度も五度も昏迷し、気も狂うだろう
荒法師
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
昏迷
(
こんめい
)
のうちにもがきながら、無意味な文句を口にして、想像の管弦楽を、トロンボーン、トランペット、シンバル、チンパニー、バスーン、コントラバス……などを指揮し演奏し
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
昏迷
(
こんめい
)
しそうになる意識に
鞭
(
むち
)
打ち、私は更に麦酒を口の中にそそぎ込んだ。
桜島
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
そのうちに彼は
昏迷
(
こんめい
)
の状態にまた陥っていた。十二時を打つ前に考えたことを思い出すのに、かなりの努力をしなければならなかった。ついにそれが思い出せた。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
(再び
太刀
(
たち
)
を抜き、片手に幣を振り、
飛
(
とび
)
より、
煽
(
あお
)
りかかる人々を激しくなぎ払い打ち払う
間
(
あいだ
)
、やがて惑乱し次第に
昏迷
(
こんめい
)
して——ほうほう。——思わず
袂
(
たもと
)
をふるい、腰を
刎
(
は
)
ねて)
多神教
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
恒川氏は不思議な
昏迷
(
こんめい
)
を感じた。彼自身の視覚を信じ得ないような、妙な不安に
陥
(
おちい
)
った。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「こういう、憂いなき、安らかな感謝の一日一日を、どうかして、今の
昏迷
(
こんめい
)
な
埃
(
ほこり
)
の中にある実社会の人々たちへも、知らしめたい、
頒
(
わ
)
けてやりたい。——おれはそればかりを思う」
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼は
昏迷
(
こんめい
)
した様子で額に手を当てた。とんでもないことをしでかしそうだった。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
昏迷
(
こんめい
)
し、奮激し、降伏を
肯
(
がえ
)
んぜず、地歩を争い、何らかの逃げ道をねがい、一つの出口を求めつつ、
巍然
(
ぎぜん
)
たる理想の前から一歩一歩退く時、後方にある壁の根本は
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
その
昏迷
(
こんめい
)
した眼に自分の眼を見合せると、クリストフは物狂おしい恐怖にとらえられた。彼は室の奥に逃げ出し、寝台の前に
膝
(
ひざ
)
を折って、夜具の中に顔を埋めた。二人は長い間そのままでいた。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
夜来
(
やらい
)
の
惰気
(
だき
)
と
昏迷
(
こんめい
)
を、むうっとするばかり
澱
(
よど
)
ませている。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それほどのことは、熱に浮かされた最も暗黒な
昏迷
(
こんめい
)
のうちにさえ見たことがなかった。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
クリストフは豚料理と煙草のむかむかする
匂
(
にお
)
いの中で、突然我に返ることがあった。そして
昏迷
(
こんめい
)
した眼であたりの人々を見回した。もはや彼らには見覚えがなかった。彼は心を痛めながら考えた。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
お綱の頭は今のところ、何もかもが
昏迷
(
こんめい
)
している。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
マリユスは
昏迷
(
こんめい
)
してあたりを見回した。絶望の極の最後の機械的な手段である。
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
クリストフは身を震わし、
昏迷
(
こんめい
)
した眼でレオンハルトをながめた。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
彼は頭の
昏迷
(
こんめい
)
と無駄力に疲れてしまった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“昏迷”の意味
《名詞》
昏 迷(こんめい 「混迷」に「同音の漢字による書きかえ」がなされる)
道理に暗く心が迷うこと。
意識はあるが外界の刺激に反応しない状態。
(出典:Wiktionary)
昏
漢検準1級
部首:⽇
8画
迷
常用漢字
小5
部首:⾡
9画
“昏迷”で始まる語句
昏迷的
昏迷乱擾
昏迷惑溺