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ふりがな文庫
“
捐
(
す
)” の例文
躯
(
からだ
)
を
捐
(
す
)
て頂を
糜
(
び
)
し、もって万一に報ずるを思わず、かえって
胸臆
(
きょうおく
)
を
恣
(
ほしいまま
)
にし、
擅
(
ほしいまま
)
に威福を
作
(
な
)
す。死すべきの罪、髪を
擢
(
ぬ
)
きて数えがたし。
続黄梁
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
右は故鷲津毅堂の所蔵なりし趣、
過
(
すぐ
)
る御通信中斎藤君の大金を
捐
(
す
)
てゝ加納屋より得られたる
画帖
(
がじょう
)
も本は毅堂の所有品なりしとの事。
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
然るに君が既に千金を
捐
(
す
)
てゝ贋品を有つてゐるといふことになると、君は知らなくても自分は心に愧ぢぬといふ訳にはゆかぬでは無いか。
骨董
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
支那でも『論衡』に鼠一
筐
(
きょう
)
を
渉
(
わた
)
れば飯
捐
(
す
)
てて食われず、古アングロ・サキソン時代に英国で犬や鼠の食い残しを知って食ったら神頌を百遍
十二支考:11 鼠に関する民俗と信念
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
但し寺とせよといふ句は家を
捐
(
す
)
てて寺とする平安文化の一事象から出て来たのであらうからその方に詳しい晶子さんでなければ云へない所だし
晶子鑑賞
(新字旧仮名)
/
平野万里
(著)
▼ もっと見る
仄に聞けば、
頃日
(
このごろ
)
暴富の人があつて、一博士の書を刊せむがために数万金を
捐
(
す
)
てたさうである。わたくしは其書の善悪を知らぬが、要するに一家言である。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
校長・議員・幹事・講師及び学生諸君は必らず余の冀望を
嘉
(
よ
)
みし、共にその力を出し、以て本校の隆盛を謀り、恩人隈公が万余の義金を
捐
(
す
)
ててこの校を建て
祝東京専門学校之開校
(新字新仮名)
/
小野梓
(著)
生は人の欲する所、死は人の恐るゝ所、然るに熱意は人をして生を
捐
(
す
)
て、死を甘受する事あらしむ。
熱意
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
神聖なる霊の居処と見られた臥し処に堆積した有形無形数々の畏るべき物・忌むべき物・穢はしい物を、物に托して
捐
(
す
)
てゝ、心すがしい霊のおちつき場所をつくる為である。
古代生活の研究:常世の国
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
楚
(
そ
)
の
悼王
(
たうわう
)
、
素
(
もと
)
より
起
(
き
)
の
賢
(
けん
)
なるを
聞
(
き
)
く。
至
(
いた
)
れば
則
(
すなは
)
ち
楚
(
そ
)
に
相
(
しやう
)
とす。((呉起))
法
(
はふ
)
を
明
(
あきら
)
かにし
令
(
れい
)
を
審
(
つまびら
)
かにし、
不急
(
ふきふ
)
の
官
(
くわん
)
を
捐
(
す
)
て、
(一〇五)
公族
(
こうぞく
)
疏遠
(
そゑん
)
の
者
(
もの
)
を
廢
(
はい
)
し、
以
(
もつ
)
て
戰鬪
(
せんとう
)
の
士
(
し
)
を
撫養
(
ぶやう
)
す。
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
又後世に於て、民の、吾が故に
由
(
よ
)
りて、己が
父母
(
かぞ
)
を
喪
(
ほろぼ
)
せりと言はむことを欲せじ。豈に其れ戦勝ちての後に、
方
(
まさ
)
に
大夫
(
ますらを
)
と言はむ哉。夫れ身を
捐
(
す
)
て国を固くせむは、
亦
(
また
)
大夫
(
ますらを
)
ならざらむや。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
暑
(
しよ
)
を山上に
避
(
さ
)
けながら
眼下
(
がんか
)
に
群住
(
ぐんぢう
)
する
憐
(
あは
)
れなる数万の
異教徒
(
ゐけうと
)
の
為
(
た
)
めに
祈願
(
きぐわん
)
を
込
(
こ
)
めるも
無益
(
むえき
)
なり、
教会
(
けうくわい
)
復興
(
ふくこう
)
の
方策
(
はうさく
)
とは
教導師
(
けうだうし
)
先
(
ま
)
づ
躬
(
みづ
)
から
身
(
み
)
を
捐
(
す
)
つるにあり、
彼
(
か
)
の
家族
(
かぞく
)
の
安楽
(
あんらく
)
を
犠牲
(
ぎせい
)
に
供
(
きやう
)
するにあり
問答二三
(新字旧仮名)
/
内村鑑三
(著)
君正しからず一国正しからずと知らば、潔く身を退くべきに、身の程をも計らず、区々たる一身をもって一国の
淫婚
(
いんこん
)
を正そうとした。自ら無駄に生命を
捐
(
す
)
てたものだ。仁どころの
騒
(
さわ
)
ぎではないと。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
しかるに君が既に千金を
捐
(
す
)
てて贋品を
有
(
も
)
っているということになると、君は知らなくても自分は心に
愧
(
は
)
じぬという訳にはゆかぬではないか。
骨董
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
しん深くこの恩義に感じてや、
先考
(
せんこう
)
館舎を
捐
(
す
)
てられし後は、
一際
(
ひときわ
)
まごころ籠めてわが家のために立ちはたらきぬ。
礫川徜徉記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
寺僧は資を
捐
(
す
)
てて新に壽阿彌の石を立てた。今傳通院にあるものが即是である。未亡人石は
毎
(
つね
)
に云つてゐる。
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
伏姫が父を
諫
(
いさ
)
めて、賞罰は
政
(
まつりごと
)
の枢機なることを説き、一言は以て
苟且
(
かりそめ
)
にすべからざるを言ひ、身を
捐
(
す
)
てゝ父の義を立てんとするに至りては、宛然たるシバルリイの美玉なり。
処女の純潔を論ず:(富山洞伏姫の一例の観察)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
心深い修道者は家を捨てゝ這入つた寺を、再、
捐
(
す
)
てなければ、道心は遂げられなかつた。出家の後、寺には入らず、静かな小屋に、僅かな調度を置いて、簡素な生活を営む。
女房文学から隠者文学へ:後期王朝文学史
(新字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
それへ絶句を題する者あり、いわく、〈赤心国に許すは平時よりす、敵を見て躯を
捐
(
す
)
ててさらに疑わず、権は忌み皐は庸にして皆遁走し、同時に難に死すは只青獅のみ〉と。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
さきに上宮太子の御子
山背大兄王
(
やましろのおいねのみこ
)
は、蘇我入鹿の軍に襲われたとき、御一身のため万民を
煩
(
わずら
)
わすを慎しみ給い、「身を
捐
(
す
)
て国を固くせむは、
亦
(
また
)
丈夫
(
ますらを
)
ならざらむや」と法隆寺に
自頸
(
じけい
)
されたのであったが
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
何様も致しかたの無い人の終りは、然様するか然様されるのが自然なのである。生相憐み、死相
捐
(
す
)
つるのである、力寿定基は
終
(
つい
)
に死相捐てたのである。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
星巌の忌日を或書には九月四日となしているが、鈴木松塘の『房山楼詩稿』に「横山舒公ノ信ニ接シ星巌先生九月二日ヲ以テ館舎ヲ
捐
(
す
)
ツト聞キ位ヲ設ケテコレヲ
哭
(
こく
)
ス。」
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
今わたくしの
許
(
もと
)
に帰省詩嚢と云ふ小冊子がある。これは浜野知三郎さんに借りてゐる書である。霞亭の門人
井達夫
(
せいたつふ
)
等は嘗て
貲
(
し
)
を
捐
(
す
)
てゝ霞亭の薇山三観を刻して知友に
貽
(
おく
)
つた。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
燕王
遂
(
つい
)
に
復
(
また
)
師を
帥
(
ひき
)
いて
出
(
い
)
づ。諸将士を
諭
(
さと
)
して曰く、
戦
(
たたかい
)
の道、死を
懼
(
おそ
)
るゝ者は必ず死し、
生
(
せい
)
を
捐
(
す
)
つる者は必ず生く、
爾
(
なんじ
)
等
(
ら
)
努力せよと。三月、
盛庸
(
せいよう
)
と
來河
(
きょうが
)
に
遇
(
あ
)
う。
運命
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
これ南岳の句にして
小波巌谷
(
さざなみいわや
)
先生書する所、石もまた巌谷翁の
貲
(
し
)
を
捐
(
す
)
てて建てられしものなり。
礫川徜徉記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
此
貶黜
(
へんちつ
)
は阿部家の医官が其主の病を治して、主の
館
(
くわん
)
を
捐
(
す
)
つるに会ふごとに、例として行はれたものださうである。果して然らば柏軒は真に何の咎をも受けなかつたのである。
伊沢蘭軒
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
忠兵衛は詩文書画を善くして、多く文人
墨客
(
ぼっかく
)
に
交
(
まじわ
)
り、財を
捐
(
す
)
ててこれが保護者となった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
嫌がらない人になれば銭を
捐
(
す
)
てて渋うるかを買って食べて喜んでいる。
蕗
(
ふき
)
の
薹
(
とう
)
を温灰焼にして食えば苦いには違い無い、しかし中々佳い味だ。甘いものは好む人が多いには相違無い。
貧富幸不幸
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
捐
漢検1級
部首:⼿
10画
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