トップ
>
手応
>
てごた
ふりがな文庫
“
手応
(
てごた
)” の例文
旧字:
手應
田舎で使ひ馴れた
身藁
(
みご
)
や、
黍殻
(
きびがら
)
の手箒などとは勝手が違つて、先の方が妙に
手応
(
てごた
)
へがなかつたりして、どうもうまく使へなかつた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
棒の先に紐で結ばれたナイフは、きりきりまわっていたが、やがてがたんと
手応
(
てごた
)
えがあった。が、それっきり、棒がうごかなくなった。
人造人間エフ氏
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
力をこめて
手応
(
てごた
)
えをためし、よしと思うとその男のかげ、
度胸
(
どきょう
)
よく乗ってきた小舟を
蹴
(
け
)
ながし、スルスルと一本
綱
(
づな
)
へよじのぼりだした。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
前者は白幕に映ずる幻燈絵の消えやすきに感ずるおぼつかなさであり、後者は
痲痺
(
まひ
)
せし掌の握れど握れど
手応
(
てごた
)
え無きに覚ゆる淋しさである。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
あやか夫人は一馬の屍体を抱き起して膝にのせたが、もう
手応
(
てごた
)
えがないので、祈るように二人を見上げた。カングリ警部は首を横にふった。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
▼ もっと見る
彼は銃を持ちなおして
雑木
(
ぞうき
)
にかくれて松の下の方へ往った。そして、
覘
(
ねら
)
いを定めて火縄を差した。強い音がして
弾
(
たま
)
の命中した
手応
(
てごた
)
えがあった。
怪人の眼
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
試みにその帯の端をつかんで引くと、それは人間のからだに巻きついているらしい
手応
(
てごた
)
えがしたので、惣八はびっくりした。
半七捕物帳:36 冬の金魚
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
だが、いくら押しても
手応
(
てごた
)
えがない。格子に手をかけて試みると、ガラガラと大きな音を立てて、わけもなくひらいた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
舞踊組曲「鋼鉄の歩み」は最も
手応
(
てごた
)
えのある曲だ。ダイナミックで、情熱的で、現代生活の暗示に富むと言われる。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
ごつごつと
手応
(
てごた
)
えがするのは、大きいやつがはいってるのだ。引き上げる時に、ばちばちっとはねるのは、鮒や鯉や鮠だ。重くのっそりしてるのは、鯰や鰻や鰌だ。
霧の中:――「正夫の世界」――
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
私はそれを
手応
(
てごた
)
えのあったようにも思った。また
的
(
まと
)
が
外
(
はず
)
れたようにも感じた。仕方がないから
後
(
あと
)
はいわない事にした。すると先生がいきなり道の
端
(
はじ
)
へ寄って行った。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼はこんな場所ででもいつもの
手応
(
てごた
)
えを得るには得たが、場所柄を思ってそのうえの
軽口
(
かるくち
)
をさし
控
(
ひか
)
えようとすると、何だかこの口が承知してくれないようにも思えた。
猫八
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
順吉がまだ十の年に母親に死別れて独りで世の中に投げ出されたとき以来、齢をとるにつれてまた境遇の変るたびごとにいわば肉体的な
手応
(
てごた
)
えのように実感してきたのである。
夕張の宿
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
まるでちがった別な奇妙な生き物みたいな気がして来て、自分ひとりだけ置き去りにされ、呼んでも叫んでも、何の
手応
(
てごた
)
えの無いたそがれの秋の
曠野
(
こうや
)
に立たされているような
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
甘
(
あま
)
つたるい感情を、今更こね返してみる気にはなれないよ、僕は……。それより、死ぬか活きるかつていふ仕事にぶつかつてみたいんだ。かういふ
手応
(
てごた
)
へのない生活は、もう御免だ。
ママ先生とその夫
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
僕は非常にかすかな
唸
(
うな
)
り声を聞き付けたので、飛びかかって上の寝台のカーテンをあけるが早いか、そこに誰かいるかどうかと手を突っ込んでみた。すると、確かに
手応
(
てごた
)
えがあった。
世界怪談名作集:13 上床
(新字新仮名)
/
フランシス・マリオン・クラウフォード
(著)
全
(
まった
)
くお
言葉
(
ことば
)
の
通
(
とお
)
り……
折角
(
せっかく
)
抱
(
だ
)
いてもさっぱり
手応
(
てごた
)
えがないのでございます。
私
(
わたくし
)
にはいかに
考
(
かんが
)
えても、こればかりは
現世
(
げんせ
)
の
生活
(
せいかつ
)
の
方
(
ほう
)
がよほど
結構
(
けっこう
)
なように
感
(
かん
)
じられて
致方
(
いたしかた
)
がございませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
あまりにかけ離れた、世間の
外
(
そと
)
の気疎い庭。時には池水の深い底から、しんしんと何かが溢れて来て、ともすると冴えた輪波を拡がらせるが、それもまた何の
手応
(
てごた
)
へも無く、
心
(
しん
)
に還つて了ふ。
観相の秋
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
打っても
突
(
つ
)
ついても、音もなければ
手応
(
てごた
)
えもない、
折角
(
せっかく
)
自然の大観に接しようとしたがこの始末、そこで
櫓
(
やぐら
)
に登り中食をしながら附近を見る、櫓柱は朽ちて
央
(
なか
)
ば以上形なし、東下の石小屋は
穂高岳槍ヶ岳縦走記
(新字新仮名)
/
鵜殿正雄
(著)
横川は横川で、延びに延びた討入の日取りがいよいよ決定したというので、妙に
昂奮
(
こうふん
)
して、うきうきしていた。で、何かと小平太に話しかけるのだが相手は上の空で、いっこう
手応
(
てごた
)
えがない。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
ややしばらくしてウムとやっといくらか
手応
(
てごた
)
えのある心の声の返事だった。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
釣糸に響く魚の手答は好いが、蛇の
手応
(
てごた
)
えは
下
(
くだ
)
さらぬ。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
道理で、なんだか
手応
(
てごた
)
えが弱いと思った。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
手応
(
てごた
)
えはあれども鹿少しも動かず。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
果せるかな、
手応
(
てごた
)
えがあって、井神陽吉が飛んだ
犠牲
(
ぎせい
)
となったのである。それからのちは、少くとも表面だけの騒動は前述の通りであった。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ところが、前とはまるで
手応
(
てごた
)
えがちがっている。待ちかまえていた藤吉郎以下、蜂須賀勢の野武士二千は
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おれももう我慢が出来なくなったから、傘をほうり出して刀をぬいて、真っ向から斬り付けたが
手応
(
てごた
)
えがない。と思うと、婆はいつの間におれのうしろに坐っている。
妖婆
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
世間に背中を向けた人の
苦味
(
くみ
)
を帯びていなかっただけに、私にはそれほどの
手応
(
てごた
)
えもなかった。私は先生を老い込んだとも思わない代りに、偉いとも感心せずに帰った。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
鶴
(
つる
)
が松にとまっておる、鶴は
捕
(
と
)
られんことを知っておるが、他に
何人
(
だれ
)
もおらんし、かまうまいと思うて、焼き撃ちにするように撃って、
手応
(
てごた
)
えもあったが、鶴は平気な顔をして
怪人の眼
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
私は、巻煙草の先でそれを突いた。次は
手応
(
てごた
)
へもなく柔く崩れて、その底の方に微な火の光が見えた。私ははつと飛び立つやうな思ひで、尚灰を掻き分けて、煙草に火をつけた。
世の中へ
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
趺坐
(
ふざ
)
の和尚に微動もなく、返事もなかった。四たび、五たび、訪客は次第に声を高らかにして、同じ訪いを繰返したが、さながら木像に物言う如く、さらに
手応
(
てごた
)
えの気配がなかった。
閑山
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
私はしまったと思い、そのとき脱げた下駄をつかむと、無我夢中に横に払った。
手応
(
てごた
)
え充分であった。私は赤犬の横腹をいやというほど
擲
(
なぐ
)
りつけたらしかった。案ずるほどのこともなかった。
犬の生活
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
妙にクナクナした
手応
(
てごた
)
えだ。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
手応
(
てごた
)
えのない相手の無表情な
空
(
うつ
)
ろへ向って、彼女の押詰めて来た切実な気持は不意なよろめきを感じた。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
手応
(
てごた
)
えのない所に、新らしい発見のあるはずはなかった。彼女は書き古したノートブックのようなものをいたずらに
攪
(
か
)
き
廻
(
まわ
)
した。それを一々読んで見るのは大変であった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「お嬢さん、今度はすこし
手応
(
てごた
)
えがあったようですよ」と尾形警部が、心持ち顔を明るくしながら言ったことです。「お姉様の死は、疑いもなく青酸中毒から来ているのです」
赤耀館事件の真相
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
叱っても
諭
(
さと
)
しても
手応
(
てごた
)
えがないので、松村も考えた。よもやとは思うものの世間にためしが無いでもない。小幡の屋敷には若い侍がいる。近所となりの屋敷にも次三男の道楽者がいくらも遊んでいる。
半七捕物帳:01 お文の魂
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と私は呼吸を
図
(
はか
)
りながら、指先でその紐をギュッギュッと引張った。果して
手応
(
てごた
)
えがあった。やがてズルズルと出て来たのは小銃の弾丸のような細長い容器に入ったラジウムだった。
柿色の紙風船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
今——ぎゃッといった凄いうめき声が、武蔵に与えた
手応
(
てごた
)
えかとも思ったが、その武蔵のいた辺りに、武蔵の姿は仆れていないし、それも彼らの出足をためらわせていたに違いない。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女はぐたぐたして
手応
(
てごた
)
えのない赤ん坊を手際よく抱き上げて、その丸い
頬
(
ほお
)
へ自分の唇を持って行った。すると自分から出たものはどうしても自分の物だという気が理窟なしに起った。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「たしかに
手応
(
てごた
)
えはあったのだが……」
半七捕物帳:69 白蝶怪
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
一人の警官が、いくら
雨霰
(
あめあられ
)
と飛んでゆく機関銃の
弾丸
(
たま
)
を
喰
(
く
)
らわせてもビクとも
手応
(
てごた
)
えがないのに
呆
(
あき
)
れてしまって、こんなことを叫びました。しかしその証明は、
立
(
た
)
ち
処
(
どころ
)
につきました。
崩れる鬼影
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「
手応
(
てごた
)
えがあった」
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうして三発の弾丸を
空
(
むな
)
しくつかいはたして、なんの
手応
(
てごた
)
えもなかった。
幽霊船の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
闇の中に、たしかに
手応
(
てごた
)
えがあった。それっきり
呻
(
うな
)
り声はしなくなった。
幽霊船の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それはすこし乱暴すぎる行いではあったが、たしかに
手応
(
てごた
)
えはあった。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
応
常用漢字
小5
部首:⼼
7画
“手”で始まる語句
手
手拭
手前
手巾
手繰
手許
手向
手綱
手際
手燭