とん)” の例文
二三日にさんにちつて、とんさんにはなしをした。ちやう其日そのひおな白樺しらかば社中しやちうで、御存ごぞんじの名歌集めいかしふ紅玉こうぎよく』の著者ちよしや木下利玄きのしたりげんさんが連立つれだつてえてた。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
単に現代の作家諸氏を見ても、泉鏡花氏、正宗白鳥氏、里見とん氏、久米正雄氏、佐藤春夫氏、宇野浩二氏、菊池寛氏等を数へられるであらう。
小説家では、里見とん氏。中里介山かいざん氏。ともに教訓的なる点に於いて、純日本作家と呼ぶべきである。
古典竜頭蛇尾 (新字新仮名) / 太宰治(著)
最近谷崎潤一郎氏は「きのうきょう」の中で里見とん氏の会話の妙をたたえて、「小説界の圓朝」といわれているが圓朝の巧さはまことこうしたところに尽きているとおもう。
とんは?」
メフィスト (新字新仮名) / 小山清(著)
……ついあひだとんさんにつて、はなしると、十圓じふゑんおどかすより九九九くうくうくうはうが、音〆ねじめ……はいきぎる……耳觸みゝざはりがやはらかで安易あんいい。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
最も小説家らしい里見とん氏さへ幾篇かの詩を残してゐる筈である。
はなしを——或時あるときとんさんと一所いつしよえたことのある志賀しがさんがいて、西洋せいやう小説せうせつに、狂氣きやうきごと鉛筆えんぴつけづ奇人きじんがあつて、をんなのとはかぎらない
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひとあしさき幹事かんじえない。やがて、二十分にじつぷんばかりにして、たう幹事かんじとんさんは、飛車ひしやかれたやうなかほをして
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とんさんは、手拭てぬぐひ喧嘩被けんくわかぶり、白地しろぢ浴衣ゆかた尻端折しりぱしよりで、いま逃出にげだしたとかたちだが、いて……はなかつた。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あとくと、とんさんの苦心くしんは、大根だいこんおろし。まだ御馳走ごちそうもないまへに、あへ消化せうくわたすけるためではない。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
てんときあめながら、案内あんない美人びじんたぞと、もう山葵漬わさびづけはしさきで、鯛飯たひめし茶漬ちやづけにしたいきほひで、つい此頃このごろ筋向すぢむかひとんさんにをしへをうけた、いち見附みつけはとじるしと
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
木下きのしたさんのはうは、とんさんより三四年さんよねん以前いぜんからよくつてたが——當日たうじつ連立つれだつてえた。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こゑけた一人ひとりがあつた。……可懷なつかしこゑだ、とると、とんさんである。
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
読者どくしやるや、とんさんと芥川あくたがは……あゝ、面影おもかげえる)さんが、しか今年ことしぐわつ東北とうほくたびしたときうみわたつて、函館はこだてまづしい洋食店やうしよくてんで、とんさんが、オムレツをふくんで、あゝ、うまい、とたん
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)