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庇護
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かば
ふりがな文庫
“
庇護
(
かば
)” の例文
自分の愛児を殺された上に、その犯人を
庇護
(
かば
)
って自ら死刑になろうとする、花の心に私は打たれました。そんな事をさせてはなりません。
美人鷹匠
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
まだ
癖
(
くせ
)
が
止
(
や
)
まないかと一
度
(
ど
)
は
腹
(
はら
)
を
立
(
たて
)
ても
見
(
み
)
たり
惘
(
あき
)
れもしたりしたが、
然
(
しか
)
し
何處
(
どこ
)
といつて
庇護
(
かば
)
つてくれるものが
無
(
な
)
いので
恁
(
か
)
うして
來
(
く
)
るのだと
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
岸本は節子を
庇護
(
かば
)
うように言った。
長火鉢
(
ながひばち
)
を間に置いて岸本と
対
(
むか
)
い合った嫂の視線はまた、娘のさかりらしく成人した節子の方へよく向いた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
庇護
(
かば
)
ってくれなきゃいけない人なのに、先生は私を突き落とすようなことをしたのよ。先生の言葉一つで、私の運命は狂わせることもできるのよ。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
右の方は、
深紅
(
しんく
)
の
窓掛
(
カアテン
)
の
襞
(
ひだ
)
が私の
視野
(
しや
)
を遮り、左の方は、透明な窓硝子が私を
庇護
(
かば
)
つて呉れたが、
荒凉
(
くわうりやう
)
たる十一月の日から私を引き離しては呉れなかつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
▼ もっと見る
しかし宗助の様子にどこと云って、
他
(
ひと
)
を激させるような
鋭
(
する
)
どいところも、
自
(
みずか
)
らを
庇護
(
かば
)
うような
卑
(
いや
)
しい点もないので、
喰
(
く
)
ってかかる勇気はさらに出なかった。ただ
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「これ、
蕨
(
わらび
)
とは違いますって言うつもりやったんやなあ」信子がそんなに言って
庇護
(
かば
)
ってやった。
城のある町にて
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
見透かしても旦那の前は
庇護
(
かば
)
ふて呉るゝであらう、おゝ朝飯がまだらしい、三や何でもよいほどに御膳を其方へこしらへよ、湯豆腐に
蛤鍋
(
はまなべ
)
とは行かぬが新漬に煮豆でも構はぬはのう
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
若し
相愛
(
あいあい
)
していなければ、
婚姻
(
こんいん
)
の相談が有った時、お勢が
戯談
(
じょうだん
)
に
托辞
(
かこつ
)
けてそれとなく文三の
肚
(
はら
)
を探る筈もなし、また叔母と
悶着
(
もんちゃく
)
をした時、他人
同前
(
どうぜん
)
の文三を
庇護
(
かば
)
って真実の母親と抗論する
理由
(
いわれ
)
もない。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
私
(
わたくし
)
は
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
を
背部
(
うしろ
)
に
庇護
(
かば
)
つて、キツと
猛狒
(
ゴリラ
)
の
瞳孔
(
ひとみ
)
を
睨
(
にら
)
んだ。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
祖母は傍らから、
庇護
(
かば
)
うように言った。
緑の芽
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
私と印度人を
庇護
(
かば
)
うつもりらしかった。
冥土行進曲
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
庇護
(
かば
)
つてゐるやうに見える。
晶子詩篇全集拾遺
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
こんなことを
言
(
い
)
って
袖子
(
そでこ
)
を
庇護
(
かば
)
うようにする
婦人
(
ふじん
)
の
客
(
きゃく
)
なぞがないでもなかったが、しかし
父
(
とう
)
さんは
聞
(
き
)
き
入
(
い
)
れなかった。
娘
(
むすめ
)
の
風俗
(
なり
)
はなるべく
清楚
(
せいそ
)
に。
伸び支度
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「わし
等
(
ら
)
※
(
あね
)
はお
内儀
(
かみ
)
さん、
碌
(
ろく
)
でなしですかんね」
彼
(
かれ
)
は
恥
(
は
)
ぢてさうして
自分
(
じぶん
)
を
庇護
(
かば
)
ふやうに
其
(
そ
)
の
※
(
あね
)
といふのを
卑下
(
くさ
)
して
僻
(
ひが
)
んだやうな
苦笑
(
くせう
)
を
敢
(
あへ
)
てした。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「お庄ちゃん、あなたにはすまないが、お察しの通りよ。」とお増は磯野を
庇護
(
かば
)
うようにして落ち着きはらっていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
叔母の態度は、叔父を
窘
(
たしな
)
めるよりもむしろお延を
庇護
(
かば
)
う方に傾いていた。しかしそれを
嬉
(
うれ
)
しがるには、彼女の胸が、あまり自分の感想で、いっぱいになり過ぎていた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
姉の家へ引取られてからも、お島の口にはまだ鶴さんの
悪口
(
あっこう
)
が絶えなかった。おゆうに
庇護
(
かば
)
われている男の心が、
歯痒
(
はがゆ
)
かったり、
妬
(
ねた
)
ましく思われたりした。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「どうでがしたかねそれは」
勘次
(
かんじ
)
は
先刻
(
さつき
)
の
容子
(
ようす
)
とは
違
(
ちが
)
つて、
俄
(
にはか
)
に
庇護
(
かば
)
ひでもするやうな
態度
(
たいど
)
でいつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
こういう場合に側に居るものの顔を見比べて、母を
庇護
(
かば
)
おうとするのは何時でもお新だった。
ある女の生涯
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
小六
(
ころく
)
は
兄
(
あに
)
の
平氣
(
へいき
)
な
態度
(
たいど
)
を
心
(
こゝろ
)
の
中
(
うち
)
では
飽足
(
あきた
)
らず
眺
(
なが
)
めた。
然
(
しか
)
し
宗助
(
そうすけ
)
の
樣子
(
やうす
)
に
何處
(
どこ
)
と
云
(
い
)
つて、
他
(
ひと
)
を
激
(
げき
)
させる
樣
(
やう
)
な
鋭
(
する
)
どい
所
(
ところ
)
も、
自
(
みづか
)
らを
庇護
(
かば
)
ふ
樣
(
やう
)
な
卑
(
いや
)
しい
點
(
てん
)
もないので、
喰
(
く
)
つて
掛
(
かゝ
)
る
勇氣
(
ゆうき
)
は
更
(
さら
)
に
出
(
で
)
なかつた。たゞ
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうなると分けの染福より丸の晴子を
庇護
(
かば
)
うのが、
姐
(
あね
)
芸者の気持であり、春次も染福を抑え
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
中には月あかりの中を
馳出
(
かけだ
)
して行くのもあった。三吉は姪を
庇護
(
かば
)
うようにして、その側を盗むように通った。表の門から入って、
金目垣
(
かなめがき
)
と窓との狭い間を庭の方へ抜けると、裏の女教師の家でも寝た。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
別に葉子に当てつけるわけでもなかったが、彼女の感情を
庇護
(
かば
)
う余地はなくなっていた。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
堅い口留をして、ふとそれ等の事をお鈴に
洩
(
もら
)
したお島は、それを又お鈴から聞いて、
宛然
(
さながら
)
姦通
(
かんつう
)
の
手証
(
てしょう
)
でも押えたように騒ぎたてる、隠居の病的な
苛責
(
かしゃく
)
からおゆうを
庇護
(
かば
)
うことに骨がおれた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
お千代婆さんは、お増を蔭に
庇護
(
かば
)
うようにしながら言った。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
お銀は笹村を
庇護
(
かば
)
うようにしては、花が引きづらかった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
庇
漢検準1級
部首:⼴
7画
護
常用漢字
小5
部首:⾔
20画
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庇護者