国境こっきょう)” の例文
旧字:國境
けものきばをならべるように、とお国境こっきょうほうからひかったたか山脈さんみゃくが、だんだんとひくくなって、しまいにながいすそをうみなかへ、ぼっしていました。
しいたげられた天才 (新字新仮名) / 小川未明(著)
汽車は西へ西へと走って、日の夕暮ゆうぐれ十勝とかち国境こっきょう白茅はくぼうの山を石狩いしかりの方へとのぼった。此処の眺望ながめは全国の線路にほとんど無比である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
かれ前方ぜんぽうえるとお国境こっきょう山影やまかげなどをながめて、そのやまいただきんでいるくものあたりに空想くうそうはしらせていたのであります。
白い影 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれは、いつもかえ時分じぶんに、れたそらにくっきりとかびた、国境こっきょう山々やまやま姿すがたるのが、なによりのたのしみだったのです。
夕焼けがうすれて (新字新仮名) / 小川未明(著)
くまさんは、旅人たびびとのいったことに、みみかたむけていましたが、西にし国境こっきょうえるたかやまを一つすと、極楽ごくらくだということをくと、びっくりして
熊さんの笛 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるときの戦争せんそうに、こうくにおつくにやぶられて、おつ軍勢ぐんぜいは、どしどし国境こっきょうえて、こうくにはいってきました。
酒倉 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「きっと、子供こどものことをおもって、あのやまあらわれたのだろう。」と、みんなは口々くちぐちにいいました。子供こどもらは、天気てんきのいい晩方ばんがたには、西にし国境こっきょうやまほう
牛女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いつしかおつ軍勢ぐんぜい国境こっきょうえてわがくにかえり、とうとうこの戦争せんそうは、こう勝利しょうりしてしまいました。
酒倉 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちょうど、国境こっきょうのところには、だれがえたということもなく、一株ひとかぶばらがしげっていました。そのはなには、朝早あさはやくからみつばちがんできてあつまっていました。
野ばら (新字新仮名) / 小川未明(著)
子供こどもたちが、さむかぜなか口々くちぐちに、こんなことをいって、かけまわりました。いつしか、国境こっきょうたか山々やまやまのとがったいただきは、ぎんかんむりをかぶったようにゆきがきました。
愛は不思議なもの (新字新仮名) / 小川未明(著)
物師ものしは、たびからもやってきました。毎年まいねんそのわすれずに、国境こっきょうえてやってくるのでした。かれは、あるのこと、ひとにもまれながら、てら境内けいだいはいりました。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ここはみやこからとおい、国境こっきょうであります。そこには両方りょうほうくにから、ただ一人ひとりずつの兵隊へいたい派遣はけんされて、国境こっきょうさだめた石碑せきひまもっていました。おおきなくに兵士へいし老人ろうじんでありました。
野ばら (新字新仮名) / 小川未明(著)
今度こんどこうくにちつづけて、その軍勢ぐんぜいは、国境こっきょうえておつくに侵入しんにゅうしたのであります。
酒倉 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるふゆのこと、子供こどもは、むらはずれにって、かなたの国境こっきょう山々やまやまをながめていますと、おおきなやま半腹はんぷくに、はは姿すがたがはっきりと、しろゆきうえくろしてえたのであります。
牛女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
国境こっきょうには、ただ一人ひとり老人ろうじんだけがのこされました。青年せいねんのいなくなったから、老人ろうじんは、茫然ぼうぜんとしておくりました。ばらのはないて、みつばちは、がると、れるころまでむらがっています。
野ばら (新字新仮名) / 小川未明(著)
このあいだここへやってきた緑色みどりいろは、なつのはじめのころ、なんでもおおぜいがれをつくって、あの国境こっきょうたか山々やまやまえて七十も、八十も、あちらのほうからたびをしてきたといっていました。
冬のちょう (新字新仮名) / 小川未明(著)