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おとめ
ふりがな文庫
“
処女
(
おとめ
)” の例文
旧字:
處女
……登子、形どおりな祝言や初夜の式もすんだが、まことの
夫婦
(
めおと
)
のちぎりまではしていない。申さばそなたはまだ
処女
(
おとめ
)
の肌のままよ。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
近づくにしたがって、この蒼ざめた科学者はいかにも勝ち誇ったような態度で、美しい青年と
処女
(
おとめ
)
とを眺めているように思われた。
世界怪談名作集:08 ラッパチーニの娘 アウペパンの作から
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
顧みれば娘の桂は、涙の顔を挙げて、二つ三つ
点頭
(
うなず
)
いて見せるのです。涙に
薫蒸
(
くんじょう
)
されて、匂いこぼるる
処女
(
おとめ
)
の顔の美しさ——
奇談クラブ〔戦後版〕:09 大名の倅
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼女は、丁度
嬰児
(
あかんぼ
)
が母親の
懐
(
ふところ
)
に抱かれる時の様な、又は、
処女
(
おとめ
)
が恋人の
抱擁
(
ほうよう
)
に応じる時の様な、甘い優しさを以て私の椅子に身を沈めます。
人間椅子
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
処女
(
おとめ
)
のさかりを思わせるようなその束ねた髪と、柔かでしかも豊かな肩のあたりの後姿とは、言いあらわしがたい女らしさを彼女に与えた。
桜の実の熟する時
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
▼ もっと見る
「誓った言葉に背きはしませぬ。
処女
(
おとめ
)
のままの娘として、お紅殿をお返しいたしましょう。お信じなされ、お信じなされ」
血ぬられた懐刀
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
奥方とはいうけれども、そこに
処女
(
おとめ
)
のような可憐なところが残っていました。その可憐な中には迷わしいような
濃艶
(
のうえん
)
な色香が萌え立っていました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そうだ! あんな
卑
(
いや
)
しい人間に
怯
(
おそ
)
れてなるものか。
彼
(
あ
)
の男こそ、自分の清浄な
処女
(
おとめ
)
の
誇
(
ほこり
)
の前に、
愧
(
は
)
じ怯れていゝのだ。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「
嫁
(
とつ
)
ぎ行く
処女
(
おとめ
)
よ。お前の喜びの涙に祝福あれ。この月桂樹は僧正によって祭壇から特にお前に
齎
(
もた
)
らされたものだ。僧正の好意と共に受けおさめるがいい」
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
荒浪に取り捲かれた紫色の
大磐
(
おおいわ
)
の上に、夕日を受けて血のように輝いている
処女
(
おとめ
)
の背中の
神々
(
こうごう
)
しさ…………。
瓶詰地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
で、哀れな金髪娘は、十六七の
処女
(
おとめ
)
がたまさか母親から受ける、あの不快極まる
tête-à-tête
(
テートアテート
)
(膝詰談判)の憂目を忍ばなければならなかった。
死せる魂:02 または チチコフの遍歴 第一部 第二分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
けれどまず第一に人の眼に
注
(
と
)
まるのは夜目にも
鮮明
(
あざやか
)
に若やいで見える一人で、言わずと知れた
妙齢
(
としごろ
)
の
処女
(
おとめ
)
。
武蔵野
(新字新仮名)
/
山田美妙
(著)
優しい
処女
(
おとめ
)
の声が、患者控室に当てた玄関を
距
(
へだ
)
てて薬局に
相対
(
むきあ
)
った部屋の中から漏れて来たが、廊下を歩く気配がして、しばらくすると、中庭の木戸が開いた。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
山部赤人が下総葛飾の
真間娘子
(
ままのおとめ
)
の墓を見て詠んだ長歌の反歌である。
手児名
(
てこな
)
は
処女
(
おとめ
)
の義だといわれている。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
ほやり/\水蒸気立つ土には
樹影
(
こかげ
)
黒々と落ち、
処女
(
おとめ
)
の
袖
(
そで
)
の様に青々と晴れた空には、夏雲が白く光る。戸、障子、窓の限りを
開放
(
あけはな
)
して存分に日光と風とを
容
(
い
)
れる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
衆徳
(
しゅうとく
)
備り給う
処女
(
おとめ
)
マリヤに
御受胎
(
ごじゅたい
)
を告げに来た天使のことを、
厩
(
うまや
)
の中の御降誕のことを、御降誕を告げる星を便りに
乳香
(
にゅうこう
)
や
没薬
(
もつやく
)
を
捧
(
ささ
)
げに来た、
賢
(
かしこ
)
い東方の
博士
(
はかせ
)
たちのことを
おしの
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
わたくしは色香が
闌
(
すが
)
れたようにも思われ、また元の
処女
(
おとめ
)
に戻ったようにも思われて、9415
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
妻はその
処女
(
おとめ
)
時代に、毛沼博士とは親しい友人のように、自由に交際していました。私は羨望と、嫉妬に身を顫わしながら、それをうち眺めているより仕方がなかったのです。
血液型殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
そのついでに車を廻して、そこからあまり遠くない所にある「
処女
(
おとめ
)
の木」を見物した。
処女の木とアブ・サルガ
(新字新仮名)
/
野上豊一郎
(著)
あるいは生一本な
処女
(
おとめ
)
が、家庭を持ってその主婦となり、周囲の煩瑣な事件や境遇にひどくいたぶられた時、それに呼応して起った心内の愛欲苦悶が素直にはけ口を得ずして鬱屈し
仏教人生読本
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
かれが窓から下の町を通る
処女
(
おとめ
)
をみおろした時、その処女はすべて小説ちゅうの人物ならざるはなく、彼女の影が遠く街路樹のうちに消え去るまで、それを考えつづけているのである。
世界怪談名作集:16 鏡中の美女
(新字新仮名)
/
ジョージ・マクドナルド
(著)
岸の岩に
項
(
うなじ
)
を預けて、
彼女
(
かれ
)
は深く湯に浸かっている。十九の
処女
(
おとめ
)
の裸形は、白く、青く湯のなかに伸びて、桜貝を並べたような足の爪だ。小さな花びらが流れ付いたと見える乳首である。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その表情はまだ子ども子どもしていて、腰つきも細っそりと
華奢
(
きゃしゃ
)
だったが、いかにも
処女
(
おとめ
)
らしいすでにふっくらと発達した胸は、美しく健康そうで、青春を、まぎれもない青春を物語っていた。
イオーヌィチ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
巷
(
ちまた
)
にさまようかの怪しい姿をながめていると、異国の男もその眇目で若い
艶
(
あで
)
やかな
処女
(
おとめ
)
を見付けたらしく、これも立ち停まってこちらをじっと見つめていたが、眼に見えない糸にひかれたように
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
並木通
(
なみきどお
)
りを片っぱしから乗り
尽
(
つく
)
して、
処女
(
おとめ
)
が
原
(
はら
)
もしばらく乗り回し、
垣根
(
かきね
)
も
幾
(
いく
)
つか
跳
(
と
)
び
越
(
こ
)
して(初めは跳び越すのが
怖
(
こわ
)
かったけれど、父が
臆病者
(
おくびょうもの
)
を
軽蔑
(
けいべつ
)
するので、やがてわたしも怖がらなくなった)
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
無意識のゆえに麗しく、沈黙のために芳しい花の姿でなくて、どこに
処女
(
おとめ
)
の心の解ける姿を想像することができよう。原始時代の人はその恋人に初めて花輪をささげると、それによって獣性を脱した。
茶の本:04 茶の本
(新字新仮名)
/
岡倉天心
、
岡倉覚三
(著)
ひい、殺して下さい殺して。と、死を決したる
処女
(
おとめ
)
の心。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
艶
(
つや
)
やかな
処女
(
おとめ
)
のにおい
古寺巡礼
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
近所の窓が明いたり、奥の父や母にまで聞えるような大声を出されては、
処女
(
おとめ
)
ごころは、本意なくても、
居堪
(
いたた
)
まれるわけはなかった。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
平次はしばらく黙って見ておりましたが、誇りを傷つけられた
処女
(
おとめ
)
に、何を言ってやったところで、無駄だと思ったものか
銭形平次捕物控:060 蝉丸の香炉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
若い思春期の
処女
(
おとめ
)
でさえあれば、誰でも持つところの傾向なのであるが、それが呉服には特に烈しかったのであった。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
花でも摘もうとするような年若な女学生がよくその草原へ歩きに来ると想像して見よとも言った。風の持って行く吟声は容易に
処女
(
おとめ
)
の心を
捉
(
とら
)
えたとも言った。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
その、
処女
(
おとめ
)
にして同時に脱兎の如き文字通りの退却ぶりを見て、白雲はあいた口がふさがらないのです。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
この老人の老い先をどんな運命が待っているのだろう。この
処女
(
おとめ
)
の行く末をどんな運命が待っているのだろう。未来はすべて暗い。そこではどんな事でも起こりうる。
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
そう思うと、瑠璃子は
処女
(
おとめ
)
にふさわしい勇気を振い
興
(
おこ
)
して、
孔雀
(
くじゃく
)
のような誇と美しさとを、そのスラリとした全身に
湛
(
たた
)
えながら、落着いた冷たい態度で、玄関へ現れた。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
いずくの
処女
(
おとめ
)
であるだろうと、私は深く心に思うて見たがさすがに
同職
(
なかま
)
に聴いて見るのも気羞かしいのでそのままふかく胸に秘めて、毎朝さまざまの空想をめぐらしていた。
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
真間に美しい
処女
(
おとめ
)
がいて、多くの男から求婚されたため、入水した伝説をいうのである。伝説地に来ったという旅情のみでなく、評判の伝説娘子に赤人が深い同情を持って詠んでいる。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
それかといって、
処女
(
おとめ
)
の純情と、老師の恩愛は、一片の理では断ち切れぬ。
煩悩秘文書
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
われは死なむ
処女
(
おとめ
)
の愛に……
世界怪談名作集:16 鏡中の美女
(新字新仮名)
/
ジョージ・マクドナルド
(著)
何たる宿命の生れかと、そのときふと、かの女は、世間なみの感傷的な一
処女
(
おとめ
)
になって、独り、顔じゅうを涙にぬらして、
佇
(
たたず
)
んでいた。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
八方に篝を焚いて、湧き起る唄と音楽の中を、
翩翻
(
へんぽん
)
として踊りに踊る
処女
(
おとめ
)
の大群は、全く前代未聞の不思議な観物でした。
奇談クラブ〔戦後版〕:10 暴君の死
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「いい娘じゃ! こりゃどうじゃ! ……
処女
(
おとめ
)
の、
未通女
(
きむすめ
)
の、お手本じゃ! ……俺
決定
(
きめ
)
た! 俺のものにする!」
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
分別ざかりの叔父の身で自分の
姪
(
めい
)
を
無垢
(
むく
)
な
処女
(
おとめ
)
の知らない世界へ連れて行ったような心の醜さは、この悲痛な詩の一節の中にも似よりを見出すことが出来る。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「神の
御名
(
みな
)
によりて命ずる。
永久
(
とこしえ
)
に神の清き
愛児
(
まなご
)
たるべき
処女
(
おとめ
)
よ。腰に帯して立て」
クララの出家
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「しかし神尾は小人じゃ、まんいち拙者が故障を言えば、きっと拙者を恨むに違いない、恨まれるのは苦しくないが、何も知らぬ
処女
(
おとめ
)
が、悪い計略に落ちるようじゃと気の毒の至り」
大菩薩峠:13 如法闇夜の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
其処
(
そこ
)
には、もう優しい
処女
(
おとめ
)
の姿はなかった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
この
処女
(
おとめ
)
のような眸のどこにきのう講堂で吐いたような大胆な、そして強い信念がかくされているのかと覚明はあやしくさえ思う。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
見ると、台の上に立ったお静はいつの間にやら、黒装束の魔僧達の手で、十七
処女
(
おとめ
)
の若々しい肌へ、ベタベタと金箔を置かれているところだったのです。
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「今宵一夜は貝十郎、織江殿の清浄保たせましょう。……その間にお浦をお返しくださらば、
処女
(
おとめ
)
のままにてご返上! ……今宵過ぎればもはや織江殿……」
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お仙は母の言うなりに
従順
(
すなお
)
に動いた。最早
処女
(
おとめ
)
の盛りを思わせる年頃で、背は母よりも高い位であるが、子供の時分に一度
煩
(
わずら
)
ったことがあって、それから
精神
(
こころ
)
の発育が遅れた。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
“処女”の解説
処女(しょじょ)とは、性行為の経験がない女性のこと。また、その女性の状態。広義には男女を問わず性行為をしたことがない人や状態のことを指す。「バージン、ヴァージン(en: virginから)」とも呼ぶ。対義語は非処女。女性に対して聖女な価値と重要性を置く文化的および宗教的伝統があり、個人的な純度、名誉、および価値の概念に関連付けられている。
(出典:Wikipedia)
処
常用漢字
小6
部首:⼏
5画
女
常用漢字
小1
部首:⼥
3画
“処女”で始まる語句
処女心
処女子
処女宮
処女林
処女時代
処女作
処女評判善悪鑑
処女色
処女檀
処女気