其邊そのへん)” の例文
新字:其辺
其邊そのへんには』とひながらねこは、其右そのみぎ前足まへあしつてえがき、『帽子屋ぼうしやんでる、それから其方そつちはうには』とほか前足まへあしつて
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
たちまち、うしほ泡立あわだち、なみ逆卷さかまいて、其邊そのへん海嘯つなみせたやう光景くわうけいわたくし一生懸命いつせうけんめい鐵鎖てつさにぎめて、此處こゝ千番せんばん一番いちばんんだ。
唱歌しやうかうたふて朝寐坊あさねばうする人物じんぶつ學校がくかうからるやうになりてはなんやくにもつまじく、其邊そのへん御賢慮ごけんりよ願上候ねがひあげさふらふ
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
日本で云ひらされたバツカスとかヸーナスとか云ふのは英吉利イギリスよみにされたと見えますから其邊そのへん一寸ちよつと讀者に注意して置いてらないと惡いだらうと思ひます。
『伝説の時代』序 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はか這入はいるまで八ゑん月給げつきうではるまいとおもひますに、其邊そのへん格別かくべつ御心配ごしんぱいなくと見事みごとへば、母親はゝおやはまだらにのこくろして、るほど/\立派りつぱきこえました
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
江戸にて知己ちかづきの者故其邊そのへんにてあひたれども愚妻ぐさい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
公爵こうしやく水谷氏みづたにしも、大概たいがい其邊そのへん獲物えもの
船室キヤビン中央ちゆうわうつるしてある球燈きゆうとうひかり煌々くわう/\かゞやいてるが、どうも其邊そのへんなに魔性ませうでもるやうで、空氣くうきあたまおさへるやうにおもく、じつ寢苦ねぐるしかつた。
無量庵に葬り呉られ候と云に大岡殿シテ其邊そのへんに男の首はなかりしやと申されければ安五郎否男の首は見當みあたり申さず候へ共其後大井川邊に男女首なき死骸是ある趣き承まはりし故同所へ罷越見候處女の方は妻の恰好かつかう似寄により候へども衣類相違仕つり居により不思議ふしぎに存じ候中右の死骸は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
スパスパやりながら餘念よねんもなく其邊そのへん見廻みまわしてうちるといま葉卷はまきはこつゝんであつた新聞紙しんぶんし
呼出し其來歴らいれき或は遭難さうなん始末等しまつとう逐一尋られたるに傳吉與惣次の口と符合ふがふなしければ尚たづねられたるに源次郎夫は其處そこより上の方三里ほどへだてし所に男女の死體ありとの風聞其邊そのへん夫婦ふうふの者の由其ころうはさ仕つりしなり大岡殿其方は其のへんにて傳吉と云へる者にあひしと申が傳吉方へたづねたるや源次郎成程傳吉は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)