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傲慢
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ごうまん
ふりがな文庫
“
傲慢
(
ごうまん
)” の例文
どうも
傲慢
(
ごうまん
)
らしい! 見るからに険のあるまなざし、
傲然
(
ごうぜん
)
とした態度、何か尋ねたら、お直参であるのを唯一の武器にふりかざして
右門捕物帖:19 袈裟切り太夫
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
陸
(
おか
)
の麦畑の間にある
路
(
みち
)
から、
中脊
(
ちゅうぜい
)
の
肥満
(
ふと
)
った
傲慢
(
ごうまん
)
な顔をした長者が、
赤樫
(
あかがし
)
の
杖
(
つえ
)
を
引摺
(
ひきず
)
るようにしてあるいて来るところでありました。
宇賀長者物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
謙遜
(
けんそん
)
か、
傲慢
(
ごうまん
)
か、はた彼の国体論は
妄
(
みだり
)
に仕うるを欲せざりしか。いずれにもせよ彼は依然として饅頭焼豆腐の境涯を離れざりしなり。
曙覧の歌
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
……こっちは酔い
痺
(
しび
)
れてうらがなしくなって、だからこそつけ元気でやけくそな歌をうたったり
傲慢
(
ごうまん
)
なことを喚いたりしているんだ。
陽気な客
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
これがあの
傲慢
(
ごうまん
)
無礼な英国官吏を
懲
(
こら
)
して王室の威厳を御保持になった方とも思われないくらい、女にもしたいほどのお優しさでした。
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
▼ もっと見る
同人種の多くの人たちの露骨な無遠慮さにたいする反動から、
傲慢
(
ごうまん
)
が多く宿ってる極端な遠慮さのために、彼らは犠牲となっていた。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「かわいそうなマリユスだと! あの男はばかだ、悪党だ、恩知らずの
見栄坊
(
みえぼう
)
だ。不人情な、心無しの、
傲慢
(
ごうまん
)
な、けしからん男だ!」
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
場所といえば、これが、彼の云う東京の
傲慢
(
ごうまん
)
さかも知れない。力車を利用するようなことがすでに距離をつくった第一歩なのだろう。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
他人をそっとしておこうという望みは、気弱い感傷でなければ、極度の
傲慢
(
ごうまん
)
な態度と言えよう。僕が死を選んでから、得たこの悪い癖。
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
王給諌は長く待っていたが王侍御が出て来ないので、これは王侍御が
傲慢
(
ごうまん
)
で出て来ないだろうと思って、腹を立てて帰ろうとした。
小翠
(新字新仮名)
/
蒲 松齢
(著)
不幸にも女子の気に
適
(
かな
)
う面貌があるが、この男のかおつきはまったくその一ツで、桃色で、清らかで、そしてきわめて
傲慢
(
ごうまん
)
そうで。
あいびき
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
この少年の
傲慢
(
ごうまん
)
無礼を、
打擲
(
ちょうちゃく
)
してしまおうと決意した。そうと決意すれば、私もかなりに兇悪酷冷の男になり得るつもりであった。
乞食学生
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
傲慢
(
ごうまん
)
で云うんじゃない。当り前の頭があって、相当に動いて居りさえすれば、君時代に
後
(
おく
)
れるなどいうことがあるもんじゃないさ。
浜菊
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
運転手達は、
傲慢
(
ごうまん
)
な調子で、いい捨てたまま、部屋を出て行ってしまった、ガラガラと閉める
頑丈
(
がんじょう
)
な扉、カチカチと鍵のかかる音。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
綺羅子が席へ交ってから、ナオミはさっきの
傲慢
(
ごうまん
)
にも似ず、冷やかすどころか
俄
(
にわ
)
かにしんと黙ってしまって、一座はしらけ渡りました。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
張蘊は眼を斜めにして、そういう孔明を見やりながら、わざとほかへ話をそらしては、
大人
(
たいじん
)
を気どって、
傲慢
(
ごうまん
)
な笑い方をしていた。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
汝らは情欲と
傲慢
(
ごうまん
)
とを捨て、平和と謙遜とを保たねばならぬ。——かく言って、イエスのお話は、最初の出発点に帰りました。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
それも内気な、はにかみやというわけではなくて、反対に彼は
傲慢
(
ごうまん
)
な性質で、人をすべて軽蔑しているようなところがあった。
カラマゾフの兄弟:01 上
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
眼鼻、口耳、皆立派で、眉は少し手が入っているらしい、代りに、髪は高貴の身分の人の如くに、
綰
(
わが
)
ねずに垂れている、其処が
傲慢
(
ごうまん
)
に見える。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
側廊の一つにはあの
傲慢
(
ごうまん
)
なエリザベスの墓があり、別のほうには、彼女の犠牲となった、美しい薄幸なメアリーの墓がある。
ウェストミンスター寺院
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
性格も強くて
傲慢
(
ごうまん
)
なほど自信があった人であろう。それだからこそ諸大名や武将を向うに廻して、彼らを手玉に取ったほどの
遣
(
や
)
り
手
(
て
)
であった。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
団十郎はその
傲慢
(
ごうまん
)
が増長して法外の暴利をむさぼると言うものもあった。またそれに対して、由来芸術に定まった価はない。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
すぐにその態度が変わり
昨日
(
きのう
)
まで
同僚
(
どうりょう
)
交際であった者を急に見下したり、にわかに
傲慢
(
ごうまん
)
尊大
(
そんだい
)
になる場合も僕はしばしば見た。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
罪を犯さぬつもりでいる
過
(
あやま
)
ちのない
傲慢
(
ごうまん
)
な者より救われやすいという意味が、罪その物を肯定する教と見なされたことも当然なことであったが
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
或る日、ナポレオンはその
勃々
(
ぼつぼつ
)
たる
傲慢
(
ごうまん
)
な虚栄のままに、いよいよ国民にとって最も苦痛なロシア遠征を決議せんとして諸将を宮殿に集合した。
ナポレオンと田虫
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
世間からは
傲慢
(
ごうまん
)
一方の人間に、また自分たち家族に対しては
暴君
(
タイラント
)
の良人が、食物に係っているときだけ、
温順
(
おとな
)
しく無邪気で子供のようでもある。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
お雪ちゃんの待つ弁信は容易に来ないのに、あの
傲慢
(
ごうまん
)
な貴婦人は、待っていた気苦労もないうちに迎えの人が来て、さっさと行ってしまいます。
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そうしてそれら俗流は、彼ら「麗人族」に奉仕するべく、この世に現われた者どもであると、こう
傲慢
(
ごうまん
)
に思ってさえいた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
加之
(
それに
)
妙にねち/\した
小意地
(
こいぢ
)
の惡い點があツて、
些
(
ちつ
)
と
傲慢
(
ごうまん
)
な點もあらうといふものだから、
何時
(
いつ
)
も空を向いて歩いてゐる
學生
(
がくせい
)
等
(
ら
)
には嫌はれる筈だ。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
牛や馬以上に従順であっても
此
(
こ
)
の通り、モシ、従順でなかったら、
傲慢
(
ごうまん
)
な百姓達は恐らく
此
(
こ
)
の「あまり者」を打ち殺して
了
(
しま
)
うだろうと私は思った。
あまり者
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
だから、私はとうとう彼の不愉快な監督にすっかり憤慨してしまい、私には我慢ならないその
傲慢
(
ごうまん
)
さを、日ごとにますます公然と憎むようになった。
ウィリアム・ウィルスン
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
そのまん中の薄くなった頭とデップリ肥満した
身体
(
からだ
)
の中に包まれている魂は、貴族的の
傲慢
(
ごうまん
)
と、官僚的の専制慾に充ち満ちているかのように見える。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
この口もきけないで当惑している有様は、表面上はただ
傲慢
(
ごうまん
)
さのように思えて、Kをいっそういらつかせるのだった。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
神経質で孤高で
傲慢
(
ごうまん
)
なほどプライドのつよい山口が、そのぼくの押売りじみた親切に、虚心にこたえてくれっこないという判断であり、おそれだった。
煙突
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
運命の前に驚きあわてることは、ひよつとすると人間の
傲慢
(
ごうまん
)
さなのかも知れません。それをどうぞお考へください。
死児変相
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
この点において愛は名誉心と
対蹠
(
たいせき
)
的である。愛は謙虚であることを求め、そして名誉心は最もしばしば
傲慢
(
ごうまん
)
である。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
そして、結局は昨日に比べてはるかに
傲慢
(
ごうまん
)
な豹一に
呆
(
あき
)
れてしまった。彼女の傲慢さの上を行くほどだったが、しかし彼女は
余裕綽々
(
よゆうしゃくしゃく
)
たるものがあった。
雨
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
そしてそれがまた父をして私を、この上もない不真実な生意気な
傲慢
(
ごうまん
)
な「
不肖
(
ふしょう
)
の子」だと思わせたに相違なかった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
よしんば
傲慢
(
ごうまん
)
や冷酷はあっても、あれほど整美された人格が、真性の孤独以外に求められようとは思われませんな。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
傲慢
(
ごうまん
)
で利かん気で、苦虫を
噛
(
か
)
み
潰
(
つぶ
)
したような顔を看板にしている親の利助とは、似も付かぬ優しさのある娘です。
銭形平次捕物控:014 たぬき囃子
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
それほど可愛らしさというもののない、ただ憎たらしい
傲慢
(
ごうまん
)
なヒネクレ者であった。いくらか環境のせいもあっても、大部分は生れつきであったと思う。
石の思い
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
彼女はほかの草木の頂きを六間ちかくも抜いてそびえていましたので、下にいる植物たちは彼女を憎みうらやんで、なんて
傲慢
(
ごうまん
)
な女だろうと思っていました。
アッタレーア・プリンケプス
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
文士卓にはもう大勢
団欒
(
まとい
)
をしていて、隅の方には銀行員チルナウエルもいた。そこへ竜騎兵中尉が這入って来て、平生の無頓着な、
傲慢
(
ごうまん
)
な調子でこう云った。
世界漫遊
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ユリウス・ダビット
(著)
但
(
ただ
)
し己を愛するとは何事を示すのであろう。私は己れを愛している。そこには
聊
(
いささ
)
かの虚飾もなく誇張もない。又それを
傲慢
(
ごうまん
)
な云い分ともすることは出来ない。
惜みなく愛は奪う
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
遺憾ながらこの錯覚から免れている人は
尠
(
すくな
)
い。古典や古仏を語る人間の口調をみよ。
傲慢
(
ごうまん
)
であるか、感傷的であるか、勿体ぶっているか、わけもなく甘いか。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
こう
和尚
(
おしょう
)
さんにいわれると、さすがに
傲慢
(
ごうまん
)
な
悪右衛門
(
あくうえもん
)
も、
少
(
すこ
)
し
勇気
(
ゆうき
)
がくじけました。
和尚
(
おしょう
)
さんはここぞと
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
求めずに、ただ与えようとすることは
傲慢
(
ごうまん
)
な、そして不可能なるのみならず、願わしからぬことと思われます。愛されたいねがいこそ人間と人間とを結びます。
青春の息の痕
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
純潔と清澄と快活と、それから
傲慢
(
ごうまん
)
で同時に素朴な、犯しがたい冷淡とのまざったものを思わせる、あの種類として等しいからだった。……彼は二人を眺めた。
トニオ・クレエゲル
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
それはまるで人を見下げた、
傲慢
(
ごうまん
)
な調子だった。そして帰りに一緒になることにしていたのに、そのおかみさんはさッさと自分だけ先きに帰って行ってしまった。
母たち
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
疑いもなしに受け
容
(
い
)
れられるし、労働者とか人民とかいえば純真で善良だが、資本家とか官僚とかはすべて
傲慢
(
ごうまん
)
で
邪悪
(
じゃあく
)
だというような言い方が、平気で通用する。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
“傲慢”の解説
傲慢(ごうまん)は、他人を侮り、思い上がった態度をとること。
(出典:Wikipedia)
傲
常用漢字
中学
部首:⼈
13画
慢
常用漢字
中学
部首:⼼
14画
“傲慢”で始まる語句
傲慢不遜
傲慢無礼
傲慢心
傲慢者
傲慢偏僻