トップ
>
二条
>
ふたすじ
ふりがな文庫
“
二条
(
ふたすじ
)” の例文
旧字:
二條
はっと袖で囲ってお縫は屋根裏を仰ぐと、引窓が
開
(
あ
)
いていたので、
煤
(
すす
)
で
真黒
(
まっくろ
)
な壁へ
二条
(
ふたすじ
)
引いた白い縄を、ぐいと手繰ると、かたり。
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、たちまち眼の前の、ぼーっとした
仄暗
(
ほのぐら
)
い空を切り裂いて、青光りのする稲妻が、
二条
(
ふたすじ
)
ほどのジグザグを、
竪
(
たて
)
にえがいた。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
彼はその際
盔
(
かぶと
)
のいただきへ、
二条
(
ふたすじ
)
まで矢をうけて一度は落馬したが、すぐとび乗って、物ともせず将士の先頭に立った。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
表と裏とに階段が、
二条
(
ふたすじ
)
設けられていたものらしい。表の階段から逃げ上がり、裏の階段から逃げ下りたらしい。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
舟とどめて互いに何をか語りしと問えど、酔うても言葉すくなき彼はただ
額
(
ひたい
)
に深き
二条
(
ふたすじ
)
の
皺
(
しわ
)
寄せて笑うのみ、その笑いはどことなく悲しげなるぞうたてき。
源おじ
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
石原はそこへ雁を持ち込む道筋を手短に説明した。先ずここから石原の所へ往くには、
由
(
よ
)
るべき道が
二条
(
ふたすじ
)
ある。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
彼は世渡りの道に裏と表の
二条
(
ふたすじ
)
あるを見ぬきて、いかなる場合にも
捷径
(
しょうけい
)
をとりて進まんことを誓いぬ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
お菊さんは
庖厨
(
かって
)
の出入口の前のテーブルにつけた椅子に腰をかけていた。出入口には
二条
(
ふたすじ
)
の白い
暖簾
(
のれん
)
がさがって、それが
藍
(
あい
)
色の
衣
(
きもの
)
を着たお菊さんの背景になっていた。
萌黄色の茎
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その翌日は日曜だったが、月曜日に米沢君の手を見ると、果して甲に掻き疵が
二条
(
ふたすじ
)
ついていた。
髪の毛
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
今迄頼りに歩いて来た
二条
(
ふたすじ
)
の線路は見えなくなった。枕木も隠れてしまった。太吉の笠や着物は重くなるまで雪が積った。
益々
(
ますます
)
夜嵐は吹き募って、雪は目となく耳となく、襟元となく入り込んだ。
越後の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
今この
襖
(
ふすま
)
へでも、障子へでも、
二条
(
ふたすじ
)
ばかり水の形を
曳
(
ひ
)
いて、紫の花をあしらえば、何村、どの里……それで様子がよく分るほどに思うのです。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
陽は沈んで、刻々、三方ヶ原の
野末
(
のずえ
)
には、白い
夕靄
(
ゆうもや
)
と夜の闇とが、
二条
(
ふたすじ
)
に濃くわかれていた。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、電燈の明るいバーが眼に
注
(
つ
)
いた。彼は急いでその中へ入った。
二条
(
ふたすじ
)
か
三条
(
みすじ
)
かに
寒水石
(
かんすいせき
)
の
食卓
(
テーブル
)
を
据
(
す
)
えた店には、
数多
(
たくさん
)
の客が立て込んでいた。彼はその右側へ往って腰をかけた。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
何や、この
二条
(
ふたすじ
)
の蛇が可恐い云うて?……両方とも、言合わせたように、
貴方
(
あんた
)
二人が、自分たちで、心願掛けたものどっせ。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
坂の上の古い
通路
(
とおり
)
は
二条
(
ふたすじ
)
になっていて、むこう側には杉の
生垣
(
いけがき
)
でとり
廻
(
ま
)
わした寺の墓地があった。彼は右の方を見たり、左の方を見たりした。淋しい
通路
(
とおり
)
には歩いている人もなかった。
赤い花
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
心持
(
こころもち
)
西と、東と、
真中
(
まんなか
)
に山を一ツ置いて
二条
(
ふたすじ
)
並んだ路のような、いかさまこれならば
槍
(
やり
)
を立てても行列が通ったであろう。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
御存じの烈しい
流
(
ながれ
)
で、
棹
(
さお
)
の立つ瀬はないですから、綱は
二条
(
ふたすじ
)
、
染物
(
そめもの
)
をしんし
張
(
ばり
)
にしたように
隙間
(
すきま
)
なく
手懸
(
てがかり
)
が出来ている。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「やあ、やあ、かしが、」と
呟
(
つぶや
)
きざま
艫
(
とも
)
を左へ
漕
(
こ
)
ぎ開くと、
二条
(
ふたすじ
)
糸を引いて
斜
(
ななめ
)
に描かれたのは
電
(
いなづま
)
の
裾
(
すそ
)
に似たる
綾
(
あや
)
である。
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
辻には——ふかし芋も売るから、その湯気と、
烏賊
(
いか
)
を丸焼に
醤油
(
したじ
)
の
芬々
(
ぷんぷん
)
とした香を立てるのと、
二条
(
ふたすじ
)
の煙が濃淡あい
縺
(
もつ
)
れて雨に
靡
(
なび
)
く中を抜けて来た。
卵塔場の天女
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その
摺
(
す
)
れ違った時、袖の縞の
二条
(
ふたすじ
)
ばかりが傘を持った手に触れたのだったが、その手が
悚然
(
ぞっ
)
とするまで冷え
透
(
とお
)
る。……
雪柳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
尽
(
ことごと
)
く顔に
蓋
(
ふた
)
して、露を
厭
(
いと
)
える笠のなかより、
紅
(
くれない
)
の笠の紐、
二条
(
ふたすじ
)
しなやかに、肩より橋の上にまがりて垂れたり。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お珊に詰寄る世話人は、また不思議にも、蛇が、蛇が、と
遁惑
(
にげまど
)
うた。その数はただ
二条
(
ふたすじ
)
ではない。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
もう私、
二条
(
ふたすじ
)
針を刺されたように、背中の両方から
悚然
(
ぞっ
)
として、足もふらふらになりました。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
真うつむけに背ののめった手が腕のつけもとまで、
露呈
(
あらわ
)
に白く
捻上
(
ねじあ
)
げられて、半身の
光沢
(
つや
)
のある真綿をただ、ふっくりと
踵
(
かかと
)
まで畳に裂いて、
二条
(
ふたすじ
)
引伸ばしたようにされている。
鷭狩
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あすこのな、蛇屋に蛇は多けれど、貴方がたのこの
二条
(
ふたすじ
)
ほど、
験
(
げん
)
のあったは外にはないやろ。私かて、親はなし、
稚
(
ちいさ
)
い時から
勤
(
つとめ
)
をした、辛い事、悲しい事、
口惜
(
くや
)
しい事、恋しい事
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
路はここで
二条
(
ふたすじ
)
になって、
一条
(
いちじょう
)
はこれからすぐに坂になって
上
(
のぼ
)
りも急なり、草も両方から
生茂
(
おいしげ
)
ったのが、
路傍
(
みちばた
)
のその
角
(
かど
)
の処にある、それこそ
四抱
(
よかかえ
)
、そうさな、
五抱
(
いつかかえ
)
もあろうという一本の
檜
(
ひのき
)
の
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
橘之助は
垢
(
あか
)
の着かない綺麗な手を胸に置いて、
香
(
こう
)
の
薫
(
かおり
)
を聞いていたが、
一縷
(
いちる
)
の煙は
二条
(
ふたすじ
)
に細く分れ、
尖
(
さき
)
がささ波のようにひらひらと、
靡
(
なび
)
いて枕に
懸
(
かか
)
った時、白菊の方に枕を返して横になって
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あれに
真白
(
まっしろ
)
な足が、と疑う、緋の袴は一段、
階
(
きざはし
)
に
劃
(
しき
)
られて、
二条
(
ふたすじ
)
の
紅
(
べに
)
の霞を
曳
(
ひ
)
きつつ、上紫に下
萌黄
(
もえぎ
)
なる、蝶鳥の
刺繍
(
ぬい
)
の
狩衣
(
かりぎぬ
)
は、緑に透き、葉に
靡
(
なび
)
いて、柳の中を、するすると、容顔美麗なる白拍子。
伯爵の釵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
あれに真白な足が、と疑ふ、緋の袴は一段、
階
(
きざはし
)
に
劃
(
しき
)
られて、
二条
(
ふたすじ
)
の
紅
(
べに
)
の
霞
(
かすみ
)
を
曳
(
ひ
)
きつゝ、
上
(
うえ
)
紫
(
むらさき
)
に
下
(
した
)
萌黄
(
もえぎ
)
なる、
蝶
(
ちょう
)
鳥
(
とり
)
の
刺繍
(
ぬい
)
の
狩衣
(
かりぎぬ
)
は、緑に透き、葉に
靡
(
なび
)
いて、柳の中を、する/\と、容顔美麗なる
白拍子
(
しらびょうし
)
。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そこに絶望の声を放つと、
二条
(
ふたすじ
)
ばかり、筒先を格子に向けた。
日本橋
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
二
常用漢字
小1
部首:⼆
2画
条
常用漢字
小5
部首:⽊
7画
“二条”で始まる語句
二条殿
二条三条
二条良基
二条三門記