トップ
>
駒形
>
こまがた
ふりがな文庫
“
駒形
(
こまがた
)” の例文
打てばひびく、たたけば応ずるというので、
鼓
(
つづみ
)
の名を取ったほど、
駒形
(
こまがた
)
でも顔の売れた遊び人。色の浅黒い、ちょいとした男。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
駒形
(
こまがた
)
まで回ってみやげに買ってまいりましたところ、いかほど呼んでも、ととさまのご返事がござりませなんだゆえ、捜すうちにこの庭先で
右門捕物帖:20 千柿の鍔
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
前の年の暮に露領の方へ行く中根の送別会が
駒形
(
こまがた
)
の
鰻屋
(
うなぎや
)
であった折なぞは未だ嫂はピンピンしていた。岸本はそのことを兄の前に言出して見た。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
駒形
(
こまがた
)
の、何とか云う一中の師匠——紫蝶ですか——あの女と出来たのもあの頃ですぜ。」と小川の旦那も口を出した。
老年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
銀座
(
ぎんざ
)
駒形
(
こまがた
)
人形町通
(
にんぎょうちょうどおり
)
の柳の
木
(
こ
)
かげに夏の
夜
(
よ
)
の露店
賑
(
にぎわ
)
う有様は、
煽風器
(
せんぷうき
)
なくとも天然の凉風自在に
吹通
(
ふきかよ
)
う星の
下
(
した
)
なる一大
勧工場
(
かんこうば
)
にひとしいではないか。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
で、そこまで
行
(
ゆ
)
くと、途中は
厩橋
(
うまやばし
)
、
蔵前
(
くらまえ
)
でも、
駒形
(
こまがた
)
でも下りないで、きっと雷門まで、一緒に
行
(
ゆ
)
くように信じられた。
妖術
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
岩手県では一般にこれをシットギと謂い、風の神送りの日に作って
藁苞
(
わらづと
)
に入れて
供
(
そな
)
え、または山の神祭の際に、田の
畔
(
くろ
)
に立てる
駒形
(
こまがた
)
の札に塗りつけた。
木綿以前の事
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
その人は、
吾妻橋
(
あずまばし
)
を渡って並木の方から東雲師の店(当時は
駒形
(
こまがた
)
に移っていた)を差してやって来たのでした。
幕末維新懐古談:33 蠑螺堂百観音の成り行き
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
駒形
(
こまがた
)
の並木倶楽部で派手にやろうと云う人もいたが、近いところで三の輪の新世界でやることにきまった。
桜林
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
そのおよんちゃんの間借りしている煙草屋からの帰りみち、
駒形
(
こまがた
)
の四つ辻まで来ると、ある薬屋の上に、大きな
仁丹
(
じんたん
)
の看板の立っているのが
目
(
ま
)
のあたりに見えた。
幼年時代
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
駒形
(
こまがた
)
のあたりまで走るうちに、その失敗の動かしがたさが、しだいにはっきりとわかってきた。佐平は金を持って家へゆくであろう、そして父がこの話を聞いたら。
雪と泥
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
浅草橋から
駒形
(
こまがた
)
へ出、そして
吾妻橋
(
あづまばし
)
のかたわらを過ぎて、とうとう彼等の愛の巣のある山の宿に入った。所はかわれども、荒涼たる焼野原の景は一向かわらずであった。
棺桶の花嫁
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
駒形
(
こまがた
)
の材木問屋で、当時江戸長者番付の前頭から二三枚目に据えられた布袋屋万三郎、馴染の
芸妓奴
(
げいしゃやっこ
)
と、町内の踊りの師匠お才をつれて、その晩駒形から涼み船を出しました。
銭形平次捕物控:004 呪いの銀簪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
枳園はしばしば保を
山下
(
やました
)
の
雁鍋
(
がんなべ
)
、
駒形
(
こまがた
)
の
川桝
(
かわます
)
などに連れて往って、酒を
被
(
こうむ
)
って世を
罵
(
ののし
)
った。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
私は、この女の為に、本所区東
駒形
(
こまがた
)
に一室を借りてやった。大工さんの二階である。肉体的の関係は、そのとき迄いちども無かった。故郷から、長兄がその女の事でやって来た。
東京八景:(苦難の或人に贈る)
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
……いろいろお話いたしたいことがございますから、
使
(
つかい
)
の者とごいっしょに、眼だたないようにそっとお
出
(
い
)
でを願います……などと書いてあった。それは
駒形
(
こまがた
)
の女から来たものであった。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
うすく陰った空は
午
(
ひる
)
から少しずつ剥げて来て、
駒形
(
こまがた
)
堂の屋根も明るくなった。
半七捕物帳:05 お化け師匠
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
駒形
(
こまがた
)
の、静かな町を、小刻みな足どりで、
御蔵前
(
おくらまえ
)
の方へといそぐ、
女形
(
おやま
)
風俗の美しい
青年
(
わかもの
)
——
鬘下地
(
かつらしたじ
)
に、紫の
野郎帽子
(
やろうぼうし
)
、
襟
(
えり
)
や
袖口
(
そでぐち
)
に、赤いものを
覗
(
のぞ
)
かせて、
強
(
きつ
)
い黒地の
裾
(
すそ
)
に、
雪持
(
ゆきもち
)
の
寒牡丹
(
かんぼたん
)
を
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
駒形
(
こまがた
)
のどじょう屋の近く、ホウリネス教会の隣りの隣り、ちもとと云う店。まず家の前を二三度行ったり来たりして様子をうかがってみる。昨夜の塩の山が崩れてみじん。薄陽の射した板塀。
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
勢多郡の
駒形
(
こまがた
)
という処だ。前橋から二里ばかりの処さ。
一本刀土俵入 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
駒形
(
こまがた
)
のどぜうやであります。
浅草風土記
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
云ならば二三年以前に出て
何所
(
いづこ
)
に
住居
(
すまひ
)
いたせしぞと
尋問
(
たづね
)
られしかば庄兵衞は何處迄も
云張
(
いひはる
)
了見
(
れうけん
)
にてハイ國者の所に
居
(
を
)
りしと云にその所は何所にて名は何と云やと
尋問
(
たづね
)
られしに淺草
邊
(
へん
)
なりしが其の淺草は
駒形
(
こまがた
)
にて名は兵右衞門と申すとかシテ其の兵右衞門は只だいま以つて其の所ろに住居
致
(
いた
)
すやと問
詰
(
つめ
)
られしに庄兵衞ヘイ
其者
(
そのもの
)
當時は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
軒堤燈
(
のきぢょうちん
)
がすうっとならんで、つくり
桜花
(
ばな
)
や風鈴、さっき出た
花車
(
だし
)
はもう
駒形
(
こまがた
)
あたりを押していよう。
木履
(
ぽっくり
)
の音、物売りの声、たいした人出だ。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
種夫に着物を着更えさせて、電車で
駒形
(
こまがた
)
へ行った時は、橋本とした
軒燈
(
ガス
)
が石垣の上に光り始めていた。三吉は子供を抱き
擁
(
かか
)
えて、
勾配
(
こうばい
)
の急な石段を上った。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
学校の事も
何
(
なに
)
も
彼
(
か
)
も忘れて、
駒形
(
こまがた
)
から
蔵前
(
くらまへ
)
、
蔵前
(
くらまへ
)
から
浅草橋
(
あさくさばし
)
………
其
(
そ
)
れから
葭町
(
よしちやう
)
の方へとどん/\歩いた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
自分は浅草
駒形
(
こまがた
)
の「大平」に住込んでいるが、とあって終りに、おさんのことが書いてあったのだ。
おさん
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
或る時も三枝未亡人が
駒形
(
こまがた
)
の師匠の宅へ見えられ、娘のことについて師匠に相談をされている。
幕末維新懐古談:51 大隈綾子刀自の思い出
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
駒形
(
こまがた
)
に屋敷を持っている、旗本大村兵庫。
銭形平次捕物控:040 大村兵庫の眼玉
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
三々五々人の往来する蔵前の通りを、はるか
駒形
(
こまがた
)
から
雷門
(
かみなりもん
)
をさしていそぐ栄三郎の姿が、豆のようにぽっちりと見える。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
駒形
(
こまがた
)
から川について
厩橋
(
うまやばし
)
の横を通り、あれから狭い裏町を折れ曲って、更に蔵前の通りへ出、長い並木路を三吉叔父の家まで、正太は非常に静かに歩いた。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
五人はぐずぐずとそこをはなれ、なにかあくたいをつきながら、
駒形
(
こまがた
)
のほうへ逃げていった。
落葉の隣り
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
何処
(
どこ
)
の店も、大小料理店いずれも
繁昌
(
はんじょう
)
で、
夜透
(
よどお
)
しであった。前にいい落したが、その頃小料理屋で、
駒形
(
こまがた
)
に
初富士
(
はつふじ
)
とか、茶漬屋で
曙
(
あけぼの
)
などいった店があってこんな時に客を呼んでいた。
幕末維新懐古談:42 熊手を拵えて売ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「おれは
駒形
(
こまがた
)
の者だ、おふくろが神田にいるんでゆくところだが、焼けているのはお
厩
(
うまや
)
の渡しからこっちで、あれから向うは、煙も立っちゃあいない、逃げるんならあっちだ」
柳橋物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
同じ河の傍でも、三吉や直樹の住むあたりから見ると、正太の家は
厩橋
(
うまやばし
)
寄の方であった。その位置は
駒形
(
こまがた
)
の町に添うて、小高い石垣の上にある。前には埋立地らしい往来がある。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
浅草
(
あさくさ
)
は
駒形
(
こまがた
)
の
兄哥
(
あにい
)
、つづみの与吉とともに、彼の仲間の
大姐御
(
おおあねご
)
、尺取り横町の
櫛巻
(
くしまき
)
お
藤
(
ふじ
)
の意気な住居に、こけ猿、くだらないがらくたのように、ごろんところがっているんです。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
現今の浅草橋(浅草
御門
(
ごもん
)
といった)に向って南に取って行くと、最初が並木(並木裏町が材木町)それから
駒形
(
こまがた
)
、諏訪町、
黒船町
(
くろふねちょう
)
、それに接近して
三好町
(
みよしちょう
)
という順序、これをさらに南へ越すと
幕末維新懐古談:11 大火以前の雷門附近
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
猪之は手を振りながら
遮
(
さえぎ
)
った。
慥
(
たし
)
かに自分はそう思った、ところがこのあいだ、お松に暇が出たので、さそい合わせて浅草寺へ参詣にゆき、その帰りに
駒形
(
こまがた
)
の
鰻屋
(
うなぎや
)
で飯を
喰
(
た
)
べた。
赤ひげ診療譚:04 三度目の正直
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「はい。
駒形
(
こまがた
)
のほうでございましょう。何でも、小間物のほうでは
老舗
(
しにせ
)
だとか——」
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そうか、おせい様はな、
駒形
(
こまがた
)
の
猿屋町
(
さるやちょう
)
、
陸尺
(
ろくしゃく
)
屋敷のとなりにあった、
雑賀屋
(
さいがや
)
と申した小間物問屋の後家なのだ。いまは、
下谷同朋町
(
したやどうぼうちょう
)
の拝領
町屋
(
まちや
)
に、女だけの住まいをかまえておる。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「へっへっへっへっ」
隅
(
すみ
)
で
頓狂
(
とんきょう
)
に笑い出したのは、
駒形
(
こまがた
)
の遊び人与吉だ。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
“駒形”の解説
駒形(こまがた)は、東京都台東区の町名。現行行政地名は駒形一丁目および駒形二丁目。郵便番号は111-0043。
(出典:Wikipedia)
駒
常用漢字
中学
部首:⾺
15画
形
常用漢字
小2
部首:⼺
7画
“駒形”で始まる語句
駒形堂
駒形橋
駒形町
駒形通
駒形並木
駒形明神
駒形水神
駒形河岸