)” の例文
遂に望みを達し得ざるのみならず、舎弟は四肢しし凍傷とうしょうかかり、つめみな剥落はくらくして久しくこれに悩み、ち大学の通学に、車にりたるほどなりしという。
元の天下を得る、もとより其の兵力にると雖も、成功の速疾なるもの、劉の揮攉きかくよろしきを得るにるものまたすくなからず。秉忠は実に奇偉卓犖きいたくらくの僧なり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
わが父はさびしきひと、富み富みて失ひしひと、傲りかに育ちふるまひ、五十路過ぎよ、くにを離れて、年老ゆと、心弱ると、すべなみと子らにらしぬ。
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
男を持たなければ女の身は立てないものなら、一生の苦楽他人にるで、女の宝とするのはその夫ではないか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かれ、太素は杳冥えうめいたれども、本つ教に因りてくにはらみ島を産みたまひし時をり、元始は綿邈めんばくたれども、先の聖にりて神を生み人を立てたまひし世をあきらかにす。
定義を付する能わざるものとして我らが始め恐怖せし霊の土台にらざるを得ざらしむるものなり。
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
かくのごとく我々が苦しむのは、おのれの求めてす事にあらざる以上は、何事か天意のある事ならん。天父てんぷの慈愛にって、各自の任務に忠実なるより為すべき事はない
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
是は当時幕府の十人衆たりし河村伝右衛門の出力につたのだと云ふ。時に年二十五であつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
誠に三宝の威霊にりて、乾坤あめつち相泰あひゆたかに、万代の福業さきはひを修めて動植はことごとく栄えしめむと欲す。
君臣相念 (新字旧仮名) / 亀井勝一郎(著)
これは「人生婦人の身となかれ、百年の苦楽他人にる」とか、女はうじなくして玉の輿こしとかいう如き、東洋流の運命観から出た、弱竹なよたけの弱々しい頼他的根性から来たのである。
夫婦共稼ぎと女子の学問 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
存生ぞんじょう時の罪業に責められ、鶏と生まれ変り苦しむところを、常羅漢悔謝の賜ものにりて解脱したと言うと、これより郡人仏事をなすごとにこの僧が来れば冥助を得るとしたと。
草樹を日の光にりて発萌せしむるも、百花をみのらして菓実とならしめ、以て山野を富実ふうじつならしむるも、皆なこの精気の致すところなり、吾等人類をあひ協和せしめ、相擁護せしむるもまた。
トルストイ伯 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
その筋に向かいて詰問する所ありしかど何故なにゆえか答えなければ、妾の姉婿しせい某が県会議員常置委員たりしにりてその故をたずねしめけるに、理由は妾が自由党員と船遊びを共にしたりというにありて
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
然るに今や八十一歳にして既往を回顧する時は、数十回の天災人害は、思いいだすに於ても粟起ぞっきするを覚うる事あり。然れども今日こんにち迄無事に生活しるは、実に冥々裡めいめいりに或る保護にるを感謝するのみ。
関牧塲創業記事 (新字新仮名) / 関寛(著)
ああ若くしてるべなき寡婦やもめ
わが父はさびしきひと、富み富みて失ひしひと、傲りかに育ちふるまひ、五十路過ぎよ、くにを離れて、年老ゆと、心弱ると、すべなみと子らにらしぬ。
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
彼はこの色を売るの一匹婦いつひつぷも、知らずたれなんぢに教へて、死にいたるまでなほこのがたき義にり、守りかたき節を守りて、つひに奪はれざる者あるに泣けるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
何処までも弱い者を愛護かばふて下さる御仁慈おなさけ深い御分別にもり縋らいで一概に厭ぢやとは、仮令ば真底から厭にせよ記臆ものおぼえのある人間ひとの口から出せた言葉でござりまするか
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
あるいは有能ちからあるもの、あるいは今ある者、あるいはのちあらん者、或は高き或いは深き、また他の受造者はわれらを我主イエスキリストにれる神の愛よりはならすこと能わざる者なるを我は信ぜり。
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
るべきものがない以上は、古い道徳にらなくてはならない、むかしかえるが即ち醒覚せいかくであると云っている人だから、容貌も道学先生らしく窮屈に出来ていて、それに幾分か世とさかっている
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
どこまでも弱い者を愛護かぼうて下さるお仁慈なさけ深い御分別にもすがらいで一概に厭じゃとは、たとえば真底から厭にせよ記臆ものおぼえのある人間ひとの口から出せた言葉でござりまするか
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
あるじ夫婦をあはせて焼亡しようぼうせし鰐淵わにぶちが居宅は、さるほど貫一の手にりてその跡に改築せられぬ、有形ありがたよりは小体こていに、質素を旨としたれどもつぱさきの構造をうつしてたがはざらんとつとめしに似たり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
神辺にあつて江戸の消息を知るには、蘭軒にる外に途が無かつたのである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
社会改良事業は正義堂々主義一歩を譲らざるものの為し遂げべきものにあらず、必ず彼にふくし是を拝し、円滑完満の政略を取らざるを得ず、然り我は主義にのみり救世の事業を実行せんのみ
基督信徒のなぐさめ (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
帝曰く、かれみずから焚死ふんしすと。孝孺曰く、成王もし存せずんば、何ぞ成王の子を立てたまわざるやと。帝曰く、国は長君ちょうくんる。孝孺曰く、何ぞ成王の弟を立てたまわざるや。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
大聖威怒王だいしやうゐぬわう折伏しやくぶくの御劒をも借り奉り、迦楼羅かるらの烈炎の御猛威おんみやうゐにもり奉りて、直に我が皇の御敵を粉にも灰にもくだき棄て申すべし、さりながら皇の御敵の何処いづくの涯にもあらばこそ
二日物語 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)