トップ
>
静
>
じっ
ふりがな文庫
“
静
(
じっ
)” の例文
旧字:
靜
五日、
七日
(
なぬか
)
、
二夜
(
ふたよ
)
、三夜、観音様の前に
静
(
じっ
)
としていますうちに、そういえば、今時、
天狗
(
てんぐ
)
も
※々
(
ひひ
)
も居まいし、第一
獣
(
けもの
)
の
臭気
(
におい
)
がしません。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
朝、眼を覚して見ると、もう自分は起きていて、まだ
寝衣
(
ねまき
)
のまゝ、詰らなそうに、考え込んだ顔をして、
静
(
じっ
)
と黙って煙草を吸っていた。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
六
月目
(
つきめ
)
が
過
(
す
)
ぎると、
杜松
(
ねず
)
の
実
(
み
)
は
堅
(
かた
)
く、
肉
(
にく
)
づいて
来
(
き
)
ましたが、
女
(
おんな
)
はただ
静
(
じっ
)
として
居
(
い
)
ました。七
月
(
つき
)
になると、
女
(
おんな
)
は
杜松
(
ねず
)
の
実
(
み
)
を
落
(
おと
)
して、しきりに
食
(
た
)
べました。
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
彼女の唇からそうした
詞
(
ことば
)
が聞けるものなら、その場で生命を投出したところで惜しくはなかったでしょう、私はとても
静
(
じっ
)
と
沈着
(
おちつ
)
いては居られませんでした。
流転
(新字新仮名)
/
山下利三郎
(著)
成程
(
なるほど
)
地球の引力で物が下に
静
(
じっ
)
としているのだが、もし地球の運転が逆になったら
反
(
かえ
)
って宙を飛ぶのが並のもので下に
静
(
じっ
)
としているのが
怪物
(
ばけもの
)
になるかも知れない。
大きな怪物
(新字新仮名)
/
平井金三
(著)
▼ もっと見る
『初め僕は火山は近所を荒し廻る恐ろしい山だとばかり思つてゐましたが、今その仲々為めになる事が分りました。噴火口がなかつたら、地球は滅多に
静
(
じっ
)
としてゐないに違ひありませんね。』
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
それから汽車に乗っている間、窓の枠に頭を
凭
(
もた
)
して、
乗客
(
ひと
)
の顔の見えない方ばかりに眼をやって
静
(
じっ
)
と思いに耽っていた。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
と殊勝に正吉が、せめ念仏で畳掛けるに連れて、裂目が
鰭
(
ひれ
)
のように水を
捌
(
さば
)
いて
行
(
ゆ
)
く、と
小波
(
ささなみ
)
が立って、後を送って、やがて沼の中ばに、
静
(
じっ
)
と留まる。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
というのが——一人で離座敷に寝たには寝たが、どうしても
静
(
じっ
)
と枕をしている事が出来なくなってしまったんですね。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私は
静
(
じっ
)
と聞いていて、馬鹿にされているような気がしたが、自分もその大学生のように想われて、そうして苛められるだけ、苛められて見たくなった。
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
そして、唇の色が黒い。気が着くと、ものを云う時も、
奴
(
やつ
)
、
薄笑
(
うすわらい
)
をする時も、さながら
彫刻
(
ほりつ
)
けたもののようで
静
(
じっ
)
としたッきり、口も頬もビクとも動かぬ。
吉原新話
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
今更
遁出
(
にげだ
)
そうッたって
隙
(
すき
)
があるんじゃなし、また遁げようと思ったのでもないが、さあ、
静
(
じっ
)
としていられないから、手近の障子をがたりと
勢
(
いきおい
)
よく開けました。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ばたばたと駈出して、その時まで同じ
処
(
ところ
)
に、
画
(
え
)
に
描
(
か
)
いたように
静
(
じっ
)
として動かなかった
草色
(
くさいろ
)
の
半纏
(
はんてん
)
に
搦附
(
からみつ
)
く。
国貞えがく
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
座敷々々のお客人も
一時
(
いっとき
)
に
湧
(
わ
)
きましてな、一人として
静
(
じっ
)
となすっていらっしゃったお方はないので、手前どもにゃ
僥倖
(
しあわせ
)
と、怪我をなすった方もござりませんが。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ああ、時ならぬ、
簾越
(
すだれごし
)
なる紅梅や、みどりに紺
段々
(
だんだら
)
八丈の小掻巻を肩にかけて、お夏は
静
(
じっ
)
としていた。
式部小路
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
静
(
じっ
)
として赤蜻蛉が動かねえとなると、はい、時代違いで、何の気もねえ若い
徒
(
てやい
)
も、さてこの働きに
掛
(
かか
)
ってみれば、記念碑糸塚の因縁さ、よく聞いて知ってるもんだで。
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
とまた念じて、
静
(
じっ
)
と心を沈めると、この功徳か、蚊の声が無くなって、
寂
(
しん
)
として静まり返る。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
紳士 (
杖
(
ステッキ
)
をもって、その
裾
(
すそ
)
を
圧
(
おさ
)
う)ばさばさ騒ぐな。
槍
(
やり
)
で脇腹を突かれる外に、樹の上へ
得
(
え
)
上る
身体
(
からだ
)
でもないに、羽ばたきをするな、
女郎
(
めろう
)
、手を
支
(
つ
)
いて、
静
(
じっ
)
として口をきけ。
紅玉
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
紳士 (
杖
(
ステッキ
)
を以つて、其の
裾
(
すそ
)
を
圧
(
おさ
)
ふ)ばさ/\騒ぐな。
槍
(
やり
)
で脇腹を
突
(
つ
)
かれる
外
(
ほか
)
に、樹の上へ
得上
(
えあが
)
る
身体
(
からだ
)
でもないに、羽ばたきをするな、
女郎
(
めろう
)
、手を
支
(
つ
)
いて、
静
(
じっ
)
として口をきけ。
紅玉
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
坐ってる人が、ほんとに
転覆
(
ひっくりかえ
)
るほど、
根太
(
ねだ
)
から揺れるのでない証拠には、私が気を着けています
洋燈
(
ランプ
)
は、躍りはためくその畳の上でも、
静
(
じっ
)
として、ちっとも動きはせんのです。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
故郷も家も、くるくると玉に廻って、
生命
(
いのち
)
の
数珠
(
じゅず
)
が切れそうだった。が、三十分ばかり、
静
(
じっ
)
としていて辛うじて
起
(
た
)
った。——もっともその折は
同伴
(
つれ
)
があって、力をつけ、介抱した。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
静
(
じっ
)
と立ってると、
天窓
(
あたま
)
がふらふら、おしつけられるような、しめつけられるような、
犇々
(
ひしひし
)
と重いものでおされるような、
切
(
せつ
)
ない、
堪
(
たま
)
らない気がして、もはや! 横に倒れようかと思った。
星あかり
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
その
悪戯
(
いたずら
)
といったらない、長屋内は言うに及ばず、横町裏町まで
刎
(
は
)
ね廻って、片時の間も手足を
静
(
じっ
)
としてはいないから、余りその乱暴を憎らしがる
女房
(
かみさん
)
達は、金魚だ金魚だとそういった。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それなりに身を任せて、
静
(
じっ
)
として、しかも
入身
(
いれみ
)
に
娜々
(
なよなよ
)
としているじゃないか。
南地心中
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
静
(
じっ
)
としていると思うと、襦袢の緋が
颯
(
さっ
)
と冴えて、揺れて、
靡
(
なび
)
いて、蝋に
紅
(
あか
)
い影が
透
(
とお
)
って、
口惜
(
くやし
)
いか、
悲
(
かなし
)
いか、
可哀
(
あわれ
)
なんだか、ちらちらと白露を散らして泣く、そら、とろとろと煮えるんだね。
菎蒻本
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
来たのが口もあけず、
咽喉
(
のど
)
でものを云うように、顔も
静
(
じっ
)
と傾いたるまま
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
静
常用漢字
小4
部首:⾭
14画
“静”を含む語句
静寂
静粛
静止
沈静
静心
静謐
寂静
安静
閑静
寝静
静息
動静
静岡
静脈
静坐
物静
静子
幽静
静閑
静々
...