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雨傘
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あまがさ
ふりがな文庫
“
雨傘
(
あまがさ
)” の例文
問屋
(
といや
)
の
九太夫
(
くだゆう
)
をはじめ、
桝田屋
(
ますだや
)
の儀助、
蓬莱屋
(
ほうらいや
)
の新七、梅屋の
与次衛門
(
よじえもん
)
、いずれも
裃
(
かみしも
)
着用に
雨傘
(
あまがさ
)
をさしかけて松雲の一行を迎えた。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「どうもそうらしいんだ。黒い羽織を着て
雨傘
(
あまがさ
)
を差して、手に包みか何かもっているらしかった。原稿書きに行ったんかもしれない。」
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
けれども、たとい他の者は皆
雨傘
(
あまがさ
)
の下にいようとも、恋人らがながめる幸福の
蒼天
(
そうてん
)
は、常に空の片すみに残ってるものである。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
背戸
(
せど
)
に干した
雨傘
(
あまがさ
)
に、小犬がじゃれかかって、
蛇
(
じゃ
)
の目の色がきらきらする所に
陽炎
(
かげろう
)
が燃えるごとく
長閑
(
のどか
)
に思われる日もあった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
帽子と
雨傘
(
あまがさ
)
とを手にしていた。彼は何気ない様子でクリストフの方へやっていった。クリストフは
椅子
(
いす
)
の上にぼんやりしていたが、驚いて飛び上がった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
雨傘
(
あまがさ
)
と、懐中電燈の
電池
(
でんち
)
を買って、電車で新宿に往った。
追分
(
おいわけ
)
で下りて、停車場前の陸橋を渡ると、一台居合わした車に乗った。若い車夫はさっさと
挽
(
ひ
)
き出す。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
住居
(
すまゐ
)
はつひ
構内
(
こうない
)
の
長屋
(
ながや
)
の一つであるけれど、『せい/″\
氣
(
き
)
を
利
(
き
)
かしてお
役
(
やく
)
に
立
(
た
)
つてみせます』と
言
(
い
)
つてるやうな
娘
(
むすめ
)
の
心
(
こゝろ
)
をいぢらしく
思
(
おも
)
ひながら、
彼女
(
かのぢよ
)
はぱちりと
雨傘
(
あまがさ
)
をひらく。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
恰度
(
ちょうど
)
、雨が降りしきっていましたが、向うから
赤錆
(
あかさ
)
びたトタンの切れっぱしを頭に
被
(
かぶ
)
り、ぼろぼろの着物を
纏
(
まと
)
った
乞食
(
こじき
)
らしい男が、
雨傘
(
あまがさ
)
のかわりに
翳
(
かざ
)
しているトタンの切れから
廃墟から
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
と
母親
(
はゝおや
)
よりの
言
(
い
)
ひつけを、
何
(
なに
)
も
嫌
(
い
)
やとは
言
(
い
)
ひ
切
(
き
)
られぬ
温順
(
おとな
)
しさに、
唯
(
たゞ
)
はい/\と
小包
(
こづゝ
)
みを
抱
(
かゝ
)
へて、
鼠小倉
(
ねづみこくら
)
の
緒
(
を
)
のすがりし
朴木齒
(
ほうのきば
)
の
下駄
(
げた
)
ひた/\と、
信如
(
しんによ
)
は
雨傘
(
あまがさ
)
さしかざして
出
(
いで
)
ぬ。
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
ばたばたと風になぶられる
前幌
(
まえほろ
)
を車夫がかけようとしているすきから、
女将
(
おかみ
)
がみずみずしい
丸髷
(
まるまげ
)
を雨にも風にも思うまま打たせながら、女中のさしかざそうとする
雨傘
(
あまがさ
)
の陰に隠れようともせず
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
六メートルばかり前の岩穴の前に、
雨傘
(
あまがさ
)
ほども頭があるすばらしい大きな蛸が、
錨
(
いかり
)
の鎖にも似た、
疣
(
いぼ
)
だらけの手を四本岩にかけて、残りの四本で何やら妙な大きな魚のやうなものを押へてゐます。
動く海底
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
僕がちょうど濡れた
雨傘
(
あまがさ
)
を持って部屋へはいって行ったもんですから、先生は自分でそいつを僕の手から奪い取るようにして玄関に持って行かれました。それから、僕たちは、いろんな話をしました。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
雨傘
(
あまがさ
)
打並べて歩み行くさま
何
(
な
)
にとなく江戸らしい
好
(
よ
)
い心持なり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
にわかに夕立でも来そうな空の日には、私は娘の
雨傘
(
あまがさ
)
を小わきにかかえて、それを学校まで届けに行くことを忘れなかった。
嵐
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
脊戸
(
せど
)
に
干
(
ほ
)
した
雨傘
(
あまがさ
)
に、
小犬
(
こいぬ
)
がじやれ
掛
(
か
)
ゝつて、
蛇
(
じや
)
の
目
(
め
)
の
色
(
いろ
)
がきら/\する
所
(
ところ
)
に
陽炎
(
かげろふ
)
が
燃
(
も
)
える
如
(
ごと
)
く
長閑
(
のどか
)
に
思
(
おも
)
はれる
日
(
ひ
)
もあつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
時々その
頤
(
あご
)
が震え動いていた。やせた首筋のしわは見るも痛ましいほどだった。時としては、天気の悪い時など、腕の下に
雨傘
(
あまがさ
)
を抱えていたが、それを開いてることはなかった。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
庸三は銀座の
到
(
いた
)
る
処
(
ところ
)
に和髪とも洋髪ともつかない葉子独特の髪で、紺の
雨傘
(
あまがさ
)
をさして、春雨のなかを歩いている彼女の幻を追っていた。が、するうち胸が
圧
(
お
)
されるようになって来た。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
このジュリアンは、トゥールーズ生まれの若い医者で、最近クリストフと同階の隣人となり、ときどきアルコールランプや
雨傘
(
あまがさ
)
やコーヒー
皿
(
ざら
)
などを借りに来ては、いつもこわして返すのだった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
青い木綿の
雨傘
(
あまがさ
)
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
と節子はわざと
格子戸
(
こうしど
)
の外で
雨傘
(
あまがさ
)
を手にしながら言って見せて、玄関先まで一緒に出て見た彼の方を
一寸
(
ちょっと
)
振向いた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
彼は
携
(
たずさ
)
えている竹の
洋杖
(
ステッキ
)
を眺めて、この代りに
雨傘
(
あまがさ
)
を持って来ればよかったと思い出した。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いつも腕の下に
雨傘
(
あまがさ
)
を抱えて出かけた。そしてその雨傘は長く彼の円光の一部となった。左官や庭師や医者などの心得も多少あった。馬から落ちた御者に
刺胳
(
しらく
)
をしてやったこともある。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
宗太はじめ、三郎、益穂らはいずれも
雨傘
(
あまがさ
)
をさしかけて、その前後を
護
(
まも
)
って行った。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
先が
雨傘
(
あまがさ
)
になってる
王笏
(
おうしゃく
)
だ。実際今日のような天気では、僕はこう思うんだ。ルイ・フィリップはその王位を利用することができる。すなわち
笏
(
しゃく
)
の方を人民に差し伸べ、
雨傘
(
あまがさ
)
の方を空に開くことだ。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
定刻
(
ていこく
)
になつて、代助は
出掛
(
でか
)
けた。
足駄穿
(
あしだばき
)
で
雨傘
(
あまがさ
)
を
提
(
さ
)
げて電車に
乗
(
の
)
つたが、一方の
窓
(
まど
)
が
締
(
し
)
め
切
(
き
)
つてある
上
(
うへ
)
に、
革紐
(
かはひも
)
にぶら
下
(
さ
)
がつてゐる
人
(
ひと
)
が一杯なので、しばらくすると
胸
(
むね
)
がむかついて、
頭
(
あたま
)
が
重
(
おも
)
くなつた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
会所の小使いが
雨傘
(
あまがさ
)
をつぼめてはいって来た。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
雨
常用漢字
小1
部首:⾬
8画
傘
常用漢字
中学
部首:⼈
12画
“雨”で始まる語句
雨
雨戸
雨滴
雨露
雨風
雨漏
雨乞
雨気
雨垂
雨脚