“前幌”の読み方と例文
読み方割合
まえほろ100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
車夫が片足で梶棒を踏まえて、風で車のよろめくのを防ぎながら、前幌まえほろをはずしにかかると、まっ暗だった前方からかすかに光がもれて来た。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
自分の住んでいた家を他所よそながら見て通りたい心持ちになっていたからだった。前幌まえほろのすきまからのぞくのだったけれども、一年の後にもそこにはさして変わった様子は見えなかった。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
ばたばたと風になぶられる前幌まえほろを車夫がかけようとしているすきから、女将おかみがみずみずしい丸髷まるまげを雨にも風にも思うまま打たせながら、女中のさしかざそうとする雨傘あまがさの陰に隠れようともせず
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)