即興詩人 (旧字旧仮名) / ハンス・クリスチャン・アンデルセン(著)
大正二年「みみずのたはこと」の出版をさながらのきっかけに、日一日、歩一歩、私は死に近づいて来ました。死にたくない。逭れたい、私は随分もがきました。
「では君は、君が犯人でないと言う証拠を提出しない限り当面の容疑者たらざるを得ない。又池内君は、完全なるアリバイがない限り、又被疑者たるを逭れないだろう」
即興詩人 (旧字旧仮名) / ハンス・クリスチャン・アンデルセン(著)
よき機会があり、それを逭さなければ、それは重要な価値を生ずる。ことによれば、雅楽頭を取って押えることができるかもしれない。
樅ノ木は残った:03 第三部 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「それは逭れることのできないものですか」と主水が初めて口をきった、「なにか逭れる方法はないのですか」
樅ノ木は残った:04 第四部 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「もしも貴女が、柿崎どのの手から逭れて、平安な暮しにはいりたいと思うなら」と玄四郎が云った。
樅ノ木は残った:03 第三部 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
樅ノ木は残った:04 第四部 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
そうすればこの苦しみから逭れられる、でもそうしたらお母上はどうなさるだろう、あんなによろこんでいらっしゃるお母上はどうあそばすか、……云ってはならない
「お下屋敷へ伺候したときのことです、幸い供の者と、良源院どのの機転で、危ういところを逭れましたが、その人間がなぜ私を刺そうとしたか、おわかりでしょうか」
樅ノ木は残った:03 第三部 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
泣こうと喚こうと逭れるすべのないことは三歳の童でも知って居りましょう、多少なり御国のために働くほどの者が、其の場に臨んで、命が惜しくて泣くと思召しますか
船岡はいま家中からにらまれており、いかなる動静もその注目から逭れることはできません、また、一ノ関さまについてどう陳弁するかは、船岡がよく心得ていると存じます。
樅ノ木は残った:04 第四部 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
その胸のむかつきから逭れるように、十兵衛のようすを診よう、と彼は云った。
赤ひげ診療譚:06 鶯ばか (新字新仮名) / 山本周五郎(著)