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追従
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ついしょう
ふりがな文庫
“
追従
(
ついしょう
)” の例文
旧字:
追從
されど軽卒にあちらへ行ってはお
追従
(
ついしょう
)
をいい、こちらへ来ては体裁能くやっている小才子を以て、教育の目的を遂げた者とはいわぬ。
教育の目的
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「これは改まった……御貴殿の御分別は城内一と……ハハ……
追従
(
ついしょう
)
では御座らぬ。それに
上越
(
うえこ
)
す知恵なぞはトテモ拙者に……ハハ……」
名君忠之
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
わしはあの
吉助
(
きちすけ
)
が心からきらいなのだ。腹の悪いくせにお
追従
(
ついしょう
)
を使って。この春だってそ知らぬ顔で
宅
(
うち
)
の田地の境界を
狭
(
せば
)
めていたのだ。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
主人の僧は先客があってもその上にどうかしてこの連中を泊めようとして、道に出て頭を
掻
(
か
)
きながら、ひょこひょこと
追従
(
ついしょう
)
をしていた。
源氏物語:22 玉鬘
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
私の方でも一遍切り出したからにはお世辞やお
追従
(
ついしょう
)
で申してるわけではございませんから、いかがです、越前屋さん、もう五円色を
蒲団
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
▼ もっと見る
祖父はいつまでも立止って、低くお辞儀をし、やたらに
追従
(
ついしょう
)
的なお世辞を並べたてた。子供はそれを見て、なぜともなく顔を赤くした。
ジャン・クリストフ:03 第一巻 曙
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「お
追従
(
ついしょう
)
は止して下さい。ひとりの姜維を得たとて、街亭の大敗は
補
(
おぎな
)
えません。いわんや失った蜀兵をや。
諂
(
へつら
)
いは軍中の禁物です」
三国志:11 五丈原の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それはそうだろうが、いつぞやも申したとおり、私立中学校は
玉石混淆
(
ぎょくせきこんこう
)
です。無礼を働くものがあると
追従
(
ついしょう
)
以上にめいわくいたします」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
私が大金持になった時には、世辞も
追従
(
ついしょう
)
もしますけれど、一旦貧乏になって御覧なさい。
柔
(
やさ
)
しい顔さえもして見せはしません。
杜子春
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「そのような武将の
冠
(
かぶ
)
り物を折りまするは、わたくしの職の
誉
(
ほま
)
れでござりまする」と、千枝太郎は
追従
(
ついしょう
)
でもないらしく言った。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
お
追従
(
ついしょう
)
を並べていないが、大塩中斎あたりが、雪は
潔
(
きよ
)
し聖君立旗の野、風は
腥
(
なまぐさ
)
し
豎子
(
じゅし
)
山を走るの路なんぞとお太鼓を叩いているのが心外じゃ
大菩薩峠:33 不破の関の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
最初わたしは彼をほんとうに怒らせたかと思ったが、彼は怒りをおさえて再び腰をおろして、ほとんど
追従
(
ついしょう
)
に近い様子でわたしの腕をとった。
世界怪談名作集:09 北極星号の船長 医学生ジョン・マリスターレーの奇異なる日記よりの抜萃
(新字新仮名)
/
アーサー・コナン・ドイル
(著)
「全部読んだよ。面白かった。つくしって、いいひとだね。僕は、好きになっちゃった。」心にもない、あさはかなお
追従
(
ついしょう
)
ばかり言っている。
パンドラの匣
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
はい、はい、いえ、御坊様の前で申しましては、お
追従
(
ついしょう
)
のようでござりますが、仏様は御方便、
難有
(
ありがた
)
いことでござります。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
近所の
碁会所
(
ごかいしょ
)
のようになっている土蔵裏の二階で
追従
(
ついしょう
)
たらたらの手代とでもこっそり碁の手合わせをしているほうがどんなにましだったか解らない。
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
だが、この渡世を知って夫婦になったんでござんしょうから
冗
(
むだ
)
なお
追従
(
ついしょう
)
は抜きにしておきます。ご免なすっておくんなさいまし。(入口から出て行く)
沓掛時次郎 三幕十場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
「では、貴殿のところへだけ参ってごきげん取り結ぶために、ひとつおせじを使いますかな。お
追従
(
ついしょう
)
を申しておくと、これからさき憎まれますまいからな」
右門捕物帖:21 妻恋坂の怪
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
お
追従
(
ついしょう
)
とおべんちゃらに馴らされてマイルドになった頭には、なんのことやら、よくのみこめないふうだった。
我が家の楽園
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
あの美しい夫人は、彼女を囲む
阿諛
(
あゆ
)
や
追従
(
ついしょう
)
や甘言や、戯恋に倦き/\しているのかも知れない。実際彼女は純真な男性を、心から求めているかも知れない。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
格太郎は、それがいたいけな子供の精一杯の
追従
(
ついしょう
)
の様な気がして、涙ぐましいいじらしさと、同時に自分自身に対する不快とを感じないではいられなかった。
お勢登場
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ただ、彼は、上級生の
一寸
(
ちょっと
)
した冗談をさも面白そうに笑ったりする私達の態度の中に「卑屈な
追従
(
ついしょう
)
」を見出して、それを苦々しく思っているに違いないのだ。
虎狩
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「おのぶのことだよ」と棒立ちになった男が、まだ右手を振りながら、
追従
(
ついしょう
)
するような口ぶりで答えた、「すみよしにいるおのぶだ、そう云えばわかるだろう」
さぶ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
ことによると、実は自分自身の中にも、そういうふうに外国人に
追従
(
ついしょう
)
を売るようなさもしい情け無い弱点があるのを、平素は自分で無理にごまかし押しかくしている。
試験管
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
かくて、女性がこれぞと思う作家に
狙
(
ねら
)
いをつけて、これをサロンに手なずけておこうという段になると、彼女はお世辞、お愛想、お
追従
(
ついしょう
)
の限りをつくして包囲攻撃を加える
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
決して心にもない
世辞
(
せじ
)
追従
(
ついしょう
)
をいうて他を
傲慢
(
ごうまん
)
ならしめる必要を感ぜぬごとく、両方が一致して対等の位地を保ちながら、ともに国のために力をつくしているように見受ける。
理想的団体生活
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
追従
(
ついしょう
)
と暗中飛躍と
賄賂
(
わいろ
)
とがあまりによく
利
(
き
)
くのに愛想をつかして、隠退する者が多くあった。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
もうお得意の
追従
(
ついしょう
)
口を、こう利きながら鬼火の姥は、さらにいっそう
煽
(
あお
)
るように云った。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
公卿たちは、自分の身に直接関わりのないことなので口々に勝手な
追従
(
ついしょう
)
をいっていた。
現代語訳 平家物語:06 第六巻
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
追従
(
ついしょう
)
、暗闘、——それから事務員某の醜悪見るに堪えないかっぽれ踊り、それから、そうだ、間もなく誰かと何かしきりに
罵
(
ののし
)
り合ってあげくの果てが
殴
(
なぐ
)
り合いとなり、
皿
(
さら
)
類のこわれる音
六月
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
「日本ラインという名称は感心しないね、卑下と
追従
(
ついしょう
)
と生ハイカラは
止
(
よ
)
してもらいたいな。
毛唐
(
けとう
)
がライン川をドイツの木曾川とも
蘇川
(
そせん
)
峡とも呼ばないかぎりはね。お
恥
(
はず
)
かしいじゃないか」
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
罵
(
ののし
)
りながら軒先へ出て来た店の者は、軍曹の姿に慌てて
追従
(
ついしょう
)
笑いをした。
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
まるで
狐
(
きつね
)
みたいに狡そうに肩を
揺
(
ゆ
)
すりながら、彼女のそばへ寄って行って、彼女の掛けている
椅子
(
いす
)
の背に、
伊達
(
だて
)
な
格好
(
かっこう
)
をしてもたれかかり、さも得意げな、
追従
(
ついしょう
)
たらたらの
薄笑
(
うすわら
)
いを
浮
(
うか
)
べながら
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
亭主の弥助は、額を叩いて
追従
(
ついしょう
)
らしく深々とお辞儀をしております。
銭形平次捕物控:066 玉の輿の呪い
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
とお
追従
(
ついしょう
)
笑いをされまして、新しく、煙管を吸いつけられました。
ながうた勧進帳:(稽古屋殺人事件)
(新字新仮名)
/
酒井嘉七
(著)
と、顔には
追従
(
ついしょう
)
笑いをうかべて、心にはさげすむ長崎屋三郎兵衛
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
趙が、ありったけの
追従
(
ついしょう
)
笑いをしながらいった。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
(歩み寄り、メフィストフェレスに
追従
(
ついしょう
)
す。)
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
聞こえよがしのお
追従
(
ついしょう
)
を言った。
円朝花火
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
五歳
(
いつつ
)
になるよしが
追従
(
ついしょう
)
した。
土竜
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
そしてだれも皆、印象派の画を集め、
頽廃
(
たいはい
)
派の書物を読み、彼らの思想とは大敵である極端に貴族的な芸術を、
追従
(
ついしょう
)
的に味わっていた。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
「むだな
追従
(
ついしょう
)
、いくら賞めても、おれの眼にとまったからには、生かして帰すわけにはゆかん。——この国境を生きてもどる気か」
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いかに大尽の力を以てしても、雇人たちの
追従
(
ついしょう
)
を以てしても、病気ばかりは医者の手を借らなければならないのであります。
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
小桶
(
こおけ
)
に
玉網
(
たも
)
を持ち添えてちょこちょこと店へやって来て、金魚屋の番頭にやたらにお辞儀をしてお
追従
(
ついしょう
)
笑いなどしている。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
俊寛 (
衾
(
ふすま
)
を地になげうつ)わしはあなたを友とは思わぬ。早く
都
(
みやこ
)
に帰るがいい。そして自分の敵に
追従
(
ついしょう
)
するがいい。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
幾分はお
追従
(
ついしょう
)
もまじっているであろうが、若旦那の勘平をぜひ拝見したいというので、この前の幕があく頃から遅れ馳せの見物人がだんだんに詰めかけて来た。
半七捕物帳:03 勘平の死
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
とたんに「や! この女は!」という色が文次の
表情
(
かお
)
にゆらいだが、たちまち
追従
(
ついしょう
)
笑いとともに、文次は米つき
飛蝗
(
ばった
)
のように二、三度首を縮めておじぎをした。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
追従
(
ついしょう
)
するような笑いに、一種の皮肉なものが感じられた。それから約半年、おれは「すばらしい花」という言葉をそのまま信じ、
藩主
(
はんしゅ
)
の
参覲
(
さんきん
)
の供で江戸へいった。
薊
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「ああ、いや、
追従
(
ついしょう
)
とばかし思うまい。わしのこの心が物を選りわくる主となって、人の性を
能
(
よ
)
く見別くるようになってからは、おぬしに無上という印を
捺
(
お
)
した」
ハムレット
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
槌
(
つち
)
で庭掃く
追従
(
ついしょう
)
ならで、手をもて畳を掃くは
真実
(
まこと
)
。美人は
新仏
(
しんぼとけ
)
の身辺に坐りて、死顔を
恐怖
(
こわごわ
)
覗
(
のぞ
)
き
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
明智のするどい眼に
睨
(
にら
)
みつけられて、虎男はオドオドしながら、また例のお
追従
(
ついしょう
)
笑いをした。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“追従”の意味
《名詞》
追 従(ついじゅう、ついしょう)
(ついじゅう)人のあとについて従うこと。
(語義1より転じて;ついしょう)人の機嫌をとり、こびへつらうような発言・行動をすること。
(出典:Wiktionary)
追
常用漢字
小3
部首:⾡
9画
従
常用漢字
小6
部首:⼻
10画
“追従”で始まる語句
追従笑
追従口
追従術
追従負