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誼
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よし
ふりがな文庫
“
誼
(
よし
)” の例文
彼は総理大臣になったかもしれないが、私にとってはただの芦田君で、逢えばお前仕掛で話すのも、旧友の
誼
(
よし
)
みというものだろう。
随筆銭形平次:18 平次読む人読まぬ人――三人の政治家――
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しかし片岡という武士は、さすがに、同宿の
誼
(
よし
)
みある浪人の悲運を、見殺しに出来ないと思ったか、夢中のように、紙帳へ斬り付けた。
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
恩義もあるし、同宗の
誼
(
よし
)
みもあるし、などと口のなかで繰り返している。それを見て、
侍将
(
じしょう
)
のひとり
劉巴
(
りゅうは
)
、
字
(
あざな
)
は
子初
(
ししょ
)
というものが
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その節は、亡父の
誼
(
よし
)
みもあり、東海道愛好者としても
呉々
(
くれぐれ
)
も
一臂
(
いっぴ
)
の力を添えるよう主人に今から頼んで置くというのであった。
東海道五十三次
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
勿論僕はいわゆる昔の
誼
(
よし
)
みで今でも彼のことを気にかけてはいるが、このごろはずっとあの男にめったに会ったことがない。
ジーキル博士とハイド氏の怪事件
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
▼ もっと見る
そこは隣同士の
誼
(
よし
)
みで、詰らんことまで一々私の所へ相談に来るようになりました。そこで私が色々と極りをつけて、智慧を貸してやる……。
女房ども
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
クリストフはオックスの
凡庸
(
ぼんよう
)
なことを感じてはいたが、同僚の
誼
(
よし
)
みから、自分の音楽会にその作品を一つ加えたのであった。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
山崎の宝寺に日頃
誼
(
よし
)
みのある僧を頼って行ったが、寺から伏見へ訴え出たので、
頓
(
やが
)
て検使が立ち、主人秀次と同じ七月の十五日に腹を切った。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
一杯売の外には多量に分けられぬというのを、近所の
誼
(
よし
)
みでと無理に頼み込んで、時々一升
壜
(
びん
)
を持たせて買いに遣る。
夢は呼び交す:――黙子覚書――
(新字新仮名)
/
蒲原有明
(著)
……おい、仙波、永らくすっ恍けていやがったが、今度こそは
年貢
(
ねんぐ
)
の納めどき、昔の
誼
(
よし
)
みで、この藤波友衛が曳いて行ってやる。観念してお繩をいただけ
顎十郎捕物帳:16 菊香水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
持山 貧友の
誼
(
よし
)
みといふやつさ。こつちは、何処で
断
(
ことわ
)
るのもおんなじだ。相手の顔が違ふだけさ。あたりが、馬鹿に静かになつた。おい、炭は何処にある?
雅俗貧困譜
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
それからまた、このやうな百姓の素朴な心情に
誼
(
よし
)
みを求めてゐる今日のある種の教へのことなどを思つた。
生活の探求
(旧字旧仮名)
/
島木健作
(著)
ヴィルプール国もまたその一つであったが、これらの各国王は、英政府の離間政策によって隣国との
誼
(
よし
)
みを結ぶことも許されず、
印度総督
(
ヴァイスロイ
)
の派遣する
駐在官
(
レジデント
)
副知事
(
レフテナント・ガヴァナー
)
代官
(
エイゼント
)
等は
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
田崎と云うのは、父と同郷の
誼
(
よし
)
みで、つい此の
間
(
あいだ
)
から
学僕
(
がくぼく
)
に住込んだ十六七の少年である。
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
何を悲しもうようもございませぬ、それで、私は友達の
誼
(
よし
)
みに、せめてあの子の
後生追善
(
ごしょうついぜん
)
を営みたいと思いまして、
今夕
(
こんせき
)
こうやって出て参りました、私の背中をごらん下さいまし
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その
誼
(
よし
)
みに頼る心持を飾りなく面にあらわして、お茂登は息子の身の上をたのんだ。
その年
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
私
(
わたくし
)
は連れて参ります、
媒介人
(
なこうど
)
は有りますが、まだ結納の
取替
(
とりかわ
)
せも婚礼も致しません、只許嫁の
誼
(
よし
)
みで病気中看病に遣しただけです、合せ物は離れ物だから私は上げる気は有りません
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
市川とねと名のっていたから、同門の
誼
(
よし
)
みで、華々しく迎えたのだった。
市川九女八
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
現にその翌日「ブル公さまへ御礼」として牛肉が二斤台所へ届いた。ブル公は善隣の
誼
(
よし
)
みとして生垣の隙間から入り込み頻りに吠え立てたのである。泥棒は拵えた包を置いたまま逃げてしまった。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そんな風で重吉はそれが道楽のように十年、二十年、遠くは五六十年の昔の
誼
(
よし
)
みをさぐりだしては手桶やすしはんぼを配った。やりたい所は次々と出てきた。時には
藁
(
わら
)
を買ってきて
飯櫃入
(
めしびつい
)
れを作った。
暦
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
「
厳白虎
(
げんぱくこ
)
を捕えて、孫策に献じ、彼と
誼
(
よし
)
みをむすんで、国の安全をおはかりなさい。——それが時代の方向に沿うというものです」
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いっさい何んのご謀反あろうぞ! ……この一点に心づかば、行動に間違いなかったであろうに! ……が、国長一族の
誼
(
よし
)
みに
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
平次と同年配で、日頃平次の腕や人柄に推服して居る喜三郎は、十手捕繩の
誼
(
よし
)
みを超えて、平次に親みを持つて居たのです。
銭形平次捕物控:120 六軒長屋
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
先年当家は将軍家の御扱ひに依て薬師寺家と縁者の
誼
(
よし
)
みを結び、良く水魚の交りを
可致由
(
いたすべきよし
)
誓紙をかはし侍りしに、今度薬師寺家の滅亡を見ながら和泉守の不義不忠を其儘に
捨置
(
すておき
)
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
政「親方何にも有りませんが、一口
献
(
あ
)
げて兄弟同様の
誼
(
よし
)
みを結びとうござりまする」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
粗悪な紙に誤植だらけの印刷も結構至極と喜ぼう。それに対する
粗忽千万
(
そこつせんばん
)
なジゥルナリズムの批評も聞こう。同業者の
誼
(
よし
)
みにあんまり黙っていても悪いようなら議論のお相手もしよう。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
ついに兵馬の決心がここまで上りつめ、多年の仇敵に向ける
刃
(
やいば
)
を、
己
(
おの
)
れには罪も恨みもない、むしろ新撰組以来の
誼
(
よし
)
みのある山崎譲に向けようとする兵馬の心には、天魔が
魅入
(
みい
)
りました。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
富樫 僕は、誰に頼まれたわけでもないんですが、
旧
(
ふる
)
くからの
誼
(
よし
)
みもあり、見るに見かねて再三忠告めいたことを云つてみたんです。全然
効目
(
きゝめ
)
がありません。丸で子供扱ひにされて駄目です。
ママ先生とその夫
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
そして二、三日のうちに、近隣の
誼
(
よし
)
みによるふだんの関係から、戦争に先立つ
挑発
(
ちょうはつ
)
的な調子に変わっていった。この状況に驚く者は、理性が世界を統べるという幻のうちに生きてる人々ばかりだった。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
と卓造君は隣村の
誼
(
よし
)
みで大いに推賞した。
村の成功者
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
甲斐
(
かい
)
の武田信玄など、もう
姻戚
(
いんせき
)
の
誼
(
よし
)
みなどは顧みていられないように、頻りと策動の気はいが見える。北条家も油断ならない存在である。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「さう仰しやらずに同町内の
誼
(
よし
)
み、御面倒でもございませうが、人一人目鼻を明けてやつて下さい。なア、八、
手前
(
てめえ
)
からもよくお願ひをしな」
銭形平次捕物控:080 捕物仁義
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
たとえ隣家の
誼
(
よし
)
みはあろうとそれはそれこれはこれ、かりにも武士の邸内を家探ししようとは出過ぎた振る舞い! そもそも医師は
長袖
(
ながそで
)
の身分
大鵬のゆくえ
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
われら
駈落者
(
かけおちもの
)
を捕へ候とて、さほど貴殿の御手柄になり候
訳
(
わけ
)
にてもあるまじく候間、何とぞ日頃の
誼
(
よし
)
みにこのまゝお見逃し下されよと、
袂
(
たもと
)
に
縋
(
すが
)
り、地に
額
(
ひたい
)
を
摺
(
す
)
り付けて頼み候様子なれど
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
御返金がならなければ
止
(
や
)
むを得んから、旧来御懇意の君でも
勧解
(
かんかい
)
へ持出さなければならぬが、どうも君を被告にして僕が
願立
(
ねがいた
)
てるというのは
甚
(
はなは
)
だ旧友の
誼
(
よし
)
みに
悖
(
もと
)
るから、したくはないが
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかし日頃の
誼
(
よし
)
みを以て、御辺の首は某がつないで上げたのだと、重ねて申されましたので、兵部殿は顔色を変えられ、何と云われるぞ、
不肖
(
ふしょう
)
ながら某のことを御前に於いて
悪様
(
あしざま
)
に申すような者は
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「いやすでに、前代楠木正遠が、北河内の
玉櫛
(
たまくし
)
ノ
庄
(
しょう
)
の出屋敷にあって、あの辺りの散所を支配していた頃からの
誼
(
よし
)
みでおざった」
私本太平記:03 みなかみ帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「知つてゐるの段ぢやありません。去年友達と江の島へ行つた歸り、川崎の萬年屋から使ひをやつて、旅籠代と小遣を借りましたよ。十手の
誼
(
よし
)
みでね」
銭形平次捕物控:154 凧の詭計
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「司馬又助は俺の仲間、
汝
(
うぬ
)
らを屋敷へ引き入れたも、汝らをここへ引き出したも、仲間同志の
誼
(
よし
)
みと知らぬか!」
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
二と及ぶ者のない名高い稻垣小左衞門が左様の横死を致したかと同流の
誼
(
よし
)
みでござるゆえ誠に惜しい事をしたと思い、見ず
識
(
し
)
らずの方なれども余り力が落ちましてツイ落涙をいたしました
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
友達の
誼
(
よし
)
みに他言は致さぬ故、半分山分けに致せと申出で候。
榎物語
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
これは伊勢亀山の城主で、神戸信孝に仕えていたが、
夙
(
つと
)
に、
誼
(
よし
)
みを秀吉に通じ、伊勢ではかくれもない“異心のある者”と見られていた。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今更
鎌
(
かま
)
いたちでも濟されず、俺も今度といふ今度は
兜
(
かぶと
)
を脱いだよ。日頃の
誼
(
よし
)
み、何んとか智惠を貸してはくれまいか
銭形平次捕物控:136 鐘五郎の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
伊予一円を領するところの
能島大掾
(
のしまのだいじょう
)
清行殿こそ愚老が主君にござり申すわ! 十年
以前
(
まえ
)
、我が君と、そなた弾正太夫殿と、同盟の
誼
(
よし
)
み結ぶにつき使者として参ったがすなわち
拙者
(
せっしゃ
)
。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
昔馴染
(
むかしなじみ
)
の
誼
(
よし
)
みもあると春見の所へ無心に参れば、打って変った
愛想
(
あいそ
)
づかし、実に
悪
(
にく
)
むべきは丈助にて、それには引替え、娘おいさの慈悲深く恵んでくれた三円で重二郎は借金の目鼻を附け
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
忘られし恋と消失せし友の
誼
(
よし
)
みと
珊瑚集:仏蘭西近代抒情詩選
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
事実、ここの太守陶謙はかねてから曹操の盛名を慕って、折あれば曹操と
誼
(
よし
)
みを結びたいと思っていたが、よい機会もなかったのである。
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
打つて引つ立てても、文句の出る氣づかひはねえが、十手の
誼
(
よし
)
みてえのもあるから、一應錢形の親分の耳に入れて置かうと思つて、わざ/\やつて來たんだが
銭形平次捕物控:188 お長屋碁会
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
師弟の
誼
(
よし
)
みももうこれまで、千葉道場はもちろん破門、立ち廻らば
用捨
(
ようしゃ
)
せぬぞ
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「御意を伺った上でなければ、応とも否ともいえないことだ。——がしかし、同国の
誼
(
よし
)
み、和殿のことばだけはお伝えしよう」
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
誼
漢検準1級
部首:⾔
15画
“誼”を含む語句
交誼
情誼
友誼
好誼
仕誼
厚誼
御厚誼
呪誼
恩誼
高誼
辞誼
実誼
友誼的
賈誼
旧誼
空辞誼
誼深
芳誼
御好誼
時誼
...