親類しんるい)” の例文
ただの町獣医まちじゅういつまでは親類しんるいわせる顔もないと思うから、どう考えてもあきらめられない。それであけてもれてもうつうつたのしまない。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
ガンはもっとじぶんたちガチョウによくていて、もっと近い親類しんるいだとばかり思っていたのです。ところが、どうでしょう。
親類しんるいの人たちは、むすこをあざけってわらいました。そして、みんなは、なにひとつのみも食べもしないで、かえらなければなりませんでした。
わたしはこんなふうでいつか自分の親類しんるいを見つけることができるであろうか。いつかほんとの父親と、ほんとの母親に会うことになるであろうか。
親類しんるい縁者えんじゃは遠出の出迎、村では村内少年音楽隊を先に立て、迎何々君之帰還なになにくんのきかんをむかうの旗押立てゝ、村界まで迎いに出かける。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「このいえへは、親類しんるい叔父おじさんがはいるのだから、ぼく、またあそびにくるよ。」と、ゆうちゃんはいいました。
海が呼んだ話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しばらくすると、おとうさんは、親類しんるいやお友達ともだちにすすめられるまま、二めの奥方おくがたをもらいました。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
木村氏はそのおり臼井の邸に向いし一人なりしが、刃にちぬるに至らず、六郎が東京に出でて勤学きんがくせんといいしときも、親類しんるいのちなみありとて、共に旅立たびだつこととなりぬ。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
親類しんるいかほうつくしきもければたしとおもねんもなく、裏屋うらや友達ともだちがもとに今宵こよひ約束やくそく御座ござれば、一まついとまとしていづ春永はるなが頂戴ちやうだい數々かず/\ねがひまする、をりからお目出度めでたき矢先やさき
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それからこちらの世界せかいからの見舞者みまいては、だい一が、ははよりもきへ歿なくなったちち、つづいて祖父じじ祖母ばば肉身にくしん親類しんるい縁者えんじゃしたしいお友達ともだち、それからはは守護霊しゅごれい司配霊しはいれい産土うぶすな御神使おつかい
「花前は保証人ほしょうにんがあるでしょうか、なんでも大島おおじま若衆わかしゅうの話では、親類しんるい身内みうちもないひとりものだということですから、保証人はないかもしれませんよ」
(新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
そして、じぶんがだまされたことを知って、親類しんるいの人たちにあやまりました。親類の人たちは、きたときとおなじように、貧乏びんぼうのままでかえっていきました。
おまえはわたしのめいだから、おまえをうちへ連れて行って、おじさんにいやな顔をされても、わたしは『でも親類しんるいだから』と言って通してしまうつもりだ。
灰色ガンたちは、ガンの姿すがたを見ますと、びっくりしました。なぜなら、じぶんたちの親類しんるいにあたるガンという鳥は、陸地りくちの上ばかりを飛ぶものだと思っていたのですからね。
このむらにはなにかおまつりでもあるのかね。だいぶにぎやかなようじゃあないか。だがその中で一けん、たいそう陰気いんきしずみこんだいえがあったが、あれは親類しんるい不幸ふこうでもあったのかね。
しっぺい太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「いかぬことがあるものか、六ねんちかくもいって、やっと、このあいだかえってきたのさ。るすにいえけ、親類しんるいにあずけておいたいもうとは、ゆくえがわからなくなって、かわいそうだよ。」
どこかで呼ぶような (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたし如何いかにも放蕩のらをつくしてうちへとてはりつかぬやうにつたを、もらふべきころもらものもらはぬからだと親類しんるいうちわからずやが勘違かんちがひして、れならばと母親はゝおや眼鏡めがねにかけ、是非ぜひもらへ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
親類しんるいの人たちも、みんなのふけるまであつまっていて、だれもかれも大よろこびで、たのしんでいました。
わたくしどもは、その大富村おおとみむらからでましてございますが、ご親類しんるい善右衛門ぜんえもんさんのおばさんが、けさそのなくなりましたものでございますから、びとにでましたしだいでございます。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
ちょうど、そのころ、他国たこくからかえった、親類しんるいのおじさんがありました。
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
「そうすると、小人こびと親類しんるいですかね?」と、隊長たいちょうはききました。
「パリにだれか友だちか親類しんるいでもあるのかい」
おっと病気びょうきをしてんでしまいました。まもなくわたしわずらって、両方りょうほうともえなくなってしまいました。わたしは、二人ふたり子供こども親類しんるいにあずけました。その親類しんるいは、しんせつではありませんでした。
塩を載せた船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、あの、なつかしい親類しんるいのおじさんを。
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)