ふる)” の例文
新字:
わたしのその家に入つたのは初めてゞしたが、わたしの家とはふるくからの知合で、この家の人でわたしを知つてゐるのが二三人ありました。
金比羅参り (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
またラ・サンネルラ及びラルカの家長いへをさ、ソルダニエーリ、アルディンギ、及びボスティーキ等のそのふるきがごとく大いなるを見たり 九一—九三
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
どうだ、最早もはや皈途きとむかふのだが、これからすこみちへんじてすゝんでは、ふるみちかへるより、あたらしい方面ほうめんからかへつたら、またいろ/\珍奇めづらしことおほからう。
とうさんはこゝでお前達まへたちに、自分じぶんうまれたおうちのこともすこしおはなししようとおもひます。とうさんのおうちむかし本陣ほんぢんひまして、むらでもふるい/\おうちでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
そして自分がふるい責任と云ふ責任をすべて果し得て新たに活動し初めるその勇ましい姿のかたわらに
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
勘次かんじいま開墾かいこん仕事しごとためはるまでには主人しゆじんから三四十ゑんかねあたへられるやうにまでつた。大部分だいぶぶん借財しやくざいふるあなめてもかれふところ窮屈きうくつかんじない程度ていどすゝんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
モン長 このふる爭端さうたんをば何者なにものあたらしうひらきをったか? をひよ、おぬしは最初はじめからそばにゐたか?
其の着想ちやくそうすでふるいロマンチツクのにほいを帶びてゐる、何も新しいといふほどの物でもない。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
その歌は舞臺の上にも珍らしき出來なりき。されど夫人はふるく相識り給ふことなれば、定めて屡〻その技倆を試み給ひしならん。夫人。(ほゝ笑みつゝ)まことに屡〻聞きたり。
ふるい街道は是れは街道ではない、廢道になつてしまつて居るのである、荊棘いばらが一杯生えて居つて、それを古學者連が刈除いて道にしようと思つたけれども、人民は從つて行かない。
仮名遣意見 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
確かに交際社會では日常の些事さじに過ぎないだらう——しかし、彼が現在の滿ち足りた氣持ちと、このふる建物たてものと、それをめぐるものゝ中に新らしくよみがへつた悦びを話してゐたときに
ちやうど郷家のふるい財寶はあの花火の揚る、堀端のなつかしい柳のかげで無慘にも白日競賣のはづかしめを受けたといふ母上の身も世もあられないやうな悲しい手紙に接した時であつた。
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
なぜならば、少しもそれらの運動うんどう宣言せんこく共鳴きようめいを感ずることが出來ませんでしたから。ひそかに自分達じぶんたちの考へはもうふるいのだろうとうなづきました。さうしてその舊さに滿足まんぞくを感じ、光榮くわうえいを感じました。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
ふるい悔恨が、チクチクと胸に喰ひ入る姿です。
この安らけき樂しき國、ふるき民新しき民の群居むれゐる國は、目をも愛をも全く一の目標めあてにむけたり 二五—二七
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
そのうちに一そらからりたかとおもふと、なんといふつばめが一むらりてます。そしてたがひうれしさうなこゑつて、ふる馴染なじみ軒塲のきばたづがほに、おもひ/\にわかれてんできます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
あたらしいどくませてふるどくくがよい。
ふるいむかしの遊女屋ノスカイヤ
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
ふるきしらべと
藤村詩抄:島崎藤村自選 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)