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自覺
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じかく
卯平はそれと
共に
其の
乾燥した
肌膚が
餘計に
荒れて
寒冷の
氣が
骨に
徹したかと
思ふと
俄に
手の
自由を
失つて
來たやうに
自覺した。
心のなかで、
是は
神經衰弱の
結果、
昔の
樣に
機敏で
明快な
判斷を、すぐ
作り
上げる
頭が
失くなつた
證據だらうと
自覺した。
久しぶりで
孤獨の
生活を
行つて
居る、これも
病氣のお
蔭かも
知れない。
色々なことを
考へて
久しぶりで
自己の
存在を
自覺したやうな
氣がする。これは
全く
孤獨のお
蔭だらうと
思ふ。
腦髓や、
視官、
言語、
自覺、
天才などは、
終には
皆土中に
入つて
了つて、
旋て
地殼と
共に
冷却し、
何百萬年と
云ふ
長い
間、
地球と一
所に
意味もなく、
目的も
無く
廻り
行くやうになるとなれば
「
來るのは
厭なんでせう」と
御米が
答へた。
御米には、
自分が
始めから
小六に
嫌はれてゐると
云ふ
自覺があつた。
又併ながら
此の
變化したる
經濟上の
事情に
對し
國民の
自覺が
出來て
居ないからである。
宗助は
坂井から
取つて
來た
品が、
御米の
嗜好に
合つたので、
久し
振りに
細君を
喜ばせて
遣つた
自覺があるばかりだつたから、
別段そこには
氣が
付かなかつた。