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素
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そ
ふりがな文庫
“
素
(
そ
)” の例文
「仙人になる術を知っているのは、おれの
女房
(
にょうぼう
)
の方だから、女房に教えて貰うが
好
(
い
)
い。」と、
素
(
そ
)
っ
気
(
け
)
なく横を向いてしまいました。
仙人
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
その内に思案して、
明
(
あか
)
して相談をして可いと思ったら、
謂
(
い
)
って見さっせえ、この
皺面
(
しわづら
)
あ突出して成ることなら
素
(
そ
)
ッ首は要らねえよ。
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
川長のお米にそれほど思われているとは、夢にも知らなければ、また
素
(
そ
)
ぶりにも気づかない弦之丞は、心もち
天蓋
(
てんがい
)
の
頭
(
ず
)
を下げて
慇懃
(
いんぎん
)
に
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「よッ、先程の釣り侍じゃな? 七十三万石の太守に
対
(
むか
)
って、もぐり大名とは何ごとじゃッ、何事じゃッ、
雑言申
(
ぞうごんもう
)
さるると
素
(
そ
)
ッ
首
(
くび
)
が飛び申すぞッ」
旗本退屈男:05 第五話 三河に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「けっして余人には、もらさぬな?……一言でももらしたが最後、貴様の
素
(
そ
)
っ首を、そのままにはしておかぬぞ!」
亡霊怪猫屋敷
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
▼ もっと見る
女は
素
(
そ
)
つ
気
(
け
)
ない調子で低くかう云ふと、
蒼褪
(
あをざ
)
めた顔に、かすかな小皺を
漾
(
たゞよは
)
せて冷やかに笑つた。そして「まあ御馳走の遅いこと。どうしたんだらう。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
その顔には、例の
素
(
そ
)
っ
気
(
け
)
ない愛想のいい表情が
浮
(
うか
)
んだ。——「乗りたけりゃ、一人でお行き。そして、わたしは行かないからって、
別当
(
べっとう
)
にそう言っとくれ」
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
思うに恒産なくして恒心を失わず、貧賤に
素
(
そ
)
しては貧賤に処し、患難に素しては患難に処し、いっさいの境に入るとして自得せざるなきは君子のことである。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
その調子があんまり
素
(
そ
)
ッ
気
(
け
)
ないので、千種は、脇の下にぢゆつと汗をかいた。しかし、気を取り直して
双面神
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
本筋の芸はただ几帳面な味も
素
(
そ
)
ッ
気
(
け
)
もないパサパサのものでいいのだと思い込んでしまっていた。
初看板
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
「ほか場所ならばともかくも、渡し場近所で何事かあったのを
素
(
そ
)
知らん顔をしていては、後日に何かの迷惑にならねえとも限らねえ。念のために届けて置くがよかろう。」
廿九日の牡丹餅
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
〔評〕維新の
業
(
げふ
)
は三藩の兵力に由ると雖、抑之を養ふに
素
(
そ
)
あり、曰く
名義
(
めいぎ
)
なり、曰く
名分
(
めいぶん
)
なり。或は云ふ、維新の
功
(
こう
)
は
大日本史
(
だいにつぽんし
)
及び外史に
基
(
もと
)
づくと、亦
理
(
り
)
無
(
な
)
しとせざるなり。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
けれども夫婦となった以上は、お前、いくら
旦那
(
だんな
)
が
素
(
そ
)
っ
気
(
け
)
なくしていたって、こっちは女だもの。
直
(
なお
)
の方から少しは
機嫌
(
きげん
)
の直るように仕向けてくれなくっちゃ困るじゃないか。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
富岡は
素
(
そ
)
つけなく云つた。娘は寝たまゝ暫く黙つてゐたが、むつくり起きあがると、黙つて、枕もとに散らかしたスカートをはき、小さい風呂敷包みを持つて廊下へ出て行つた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
しかしその頃とは
異
(
ちが
)
っていた。金銀財宝珍器異類、
夥
(
おびただ
)
しかったそれらのものが、今は一つも見られない。ガランとした灰色のだだっぴろい部屋が、味も
素
(
そ
)
っ
気
(
け
)
もなく広がっていた。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
私が殆んど
紙挾
(
かみはさみ
)
の紐を結ばないうちに、彼は自分の時計を見ると
素
(
そ
)
つ
氣
(
け
)
なく云つた——
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
思い切って
素
(
そ
)
っ
気
(
け
)
ない夫婦で、ときどき、
夜半
(
よなか
)
ごろになって、すさまじい団六の怒号がきこえてくるようなこともあったが、青木の前では、互いに猫撫で声でものを言い合っていた。
昆虫図
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
弥八 (得物を投じ、長脇差へ手をかける)
抵抗
(
てむか
)
いすると、
素
(
そ
)
ッ
首
(
くび
)
を、叩き落すぞ。
一本刀土俵入 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
見給え、この
闖入者
(
ちんにゅうしゃ
)
は薄と厚とを知らない、醤と油とをわきまえない、清と濃との分も、
葷
(
くん
)
と
素
(
そ
)
との別も頓着しない——およそ口腹を満たし得るものは、皆ひっかき廻して口に送る。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
濠をめぐり、目まぐるしくも變化なく、
素
(
そ
)
つ
氣
(
け
)
なく、單調に、單色に
展望
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
仙「何うせ
素
(
そ
)
ッ首の飛ぶ身体じゃアねえか、云わねえと
打
(
たゝ
)
ッ殺すぞ」
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「だから見たも同じだといっておるじゃないか。ただし、柳生家においても、何もそう訪ねてくる者を、
素
(
そ
)
ッ
気
(
け
)
なく追い返すというわけではない」
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「もう好いから、あちらへ行つてくれ」と、今度は如何にも
素
(
そ
)
つ
氣
(
け
)
なく、云ひつけるのでございます。
地獄変
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
女は
素
(
そ
)
っ
気
(
け
)
ない調子で低くこういうと、
蒼
(
あお
)
ざめた顔に、かすかな小じわをよせて冷ややかに笑った。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
「よし、これからもう一度引っ返して行って、あいつの
素
(
そ
)
っ首を叩き落してやろう」
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それでゐて、誰かゞ問を出すか、返答をしなくちやならないやうなことを云ふと、
素
(
そ
)
つ
氣
(
け
)
ない返辭ぢやないが、少くとも、思ひ切つた返答をづけ/\云つてしまふ。それはどんな意味です。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
健三は
素
(
そ
)
ッ
気
(
け
)
ない
挨拶
(
あいさつ
)
をしたなり、その人の顔を
凝
(
じっ
)
と見守った。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「うーム。ようもじゃま立てをいたしたな!
老
(
お
)
いたりといえども
穴山梅雪
(
あなやまばいせつ
)
、その
素
(
そ
)
ッ首をはねとばしてくれよう」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「もう好いから、あちらへ行つてくれ」と、今度は如何にも
素
(
そ
)
つ
気
(
け
)
なく、云ひつけるのでございます。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
さつきから物蔭で
窃
(
そつ
)
と立聞きをして居りましたら、お菊どのが大切のお皿を割つたとやら、砕いたとやら、そりやもうお菊殿の落度は重々、そのかぼそい
素
(
そ
)
つ
首
(
くび
)
をころりと打落されても
番町皿屋敷
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それは近頃、茶々の
素
(
そ
)
ぶりからも読むことができる。しかし茶々は、秀吉によく
馴
(
な
)
ついてはいたが、その点だけは
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
彼女は彼の帰つた
後
(
のち
)
、肩の
凝
(
こ
)
りの
癒
(
なほ
)
つたやうに感じた。が、翌日になつて見ると、親子の情などと云ふことを考へ、何か彼に
素
(
そ
)
つ
気
(
け
)
なかつたのをすまないやうにも感じ出した。
貝殻
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
『家名に代えても、数右衛門の
素
(
そ
)
ッ
首
(
くび
)
申し受ける。云い条あらば、これへ出て、武士らしゅう云ってみよ』
濞かみ浪人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
俊助はとうとう
我
(
が
)
を折って、渋々その切符を受取りながら、
素
(
そ
)
っ
気
(
け
)
ない声で礼を云った。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
とにかく、怪しい奴と睨みましたので、ツカツカと側へ寄って、じッと
挙動
(
きょどう
)
をみつめておりますと、格別、あわてて逃げる
素
(
そ
)
ぶりもなく、そのまま山を下りて行く様子。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こう云う
素
(
そ
)
っ気ないY中尉に不思議にも親しみを感じながら。………
三つの窓
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
さるを、かつて菊王に托してやった自分の遺書同様な書状にも、以後なんの返しもないし、また船木頼春が訪ねて行っても、それにも、
素
(
そ
)
ッ
気
(
け
)
ない門前払いをくわせたという。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
男は感動を
蔽
(
おお
)
うように、妙に
素
(
そ
)
っ
気
(
け
)
のない声を出した。
母
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
だが、——いまは、どこまで
盲
(
めくら
)
の
態
(
てい
)
をみせて
蛾次郎
(
がじろう
)
にゆだんをさせ、その
素
(
そ
)
ッ
首
(
くび
)
をひンねじってやろうと、心の
奥
(
おく
)
にためきって、かれの
悪口雑言
(
あっこうぞうごん
)
を、いうがままにこらえている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それは、どういうわけだ。いい加減なことをぬかしたら、
素
(
そ
)
ッ
首
(
くび
)
をひき抜くぞよ」
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
奸賊
(
かんぞく
)
、
和田呂宋兵衛
(
わだるそんべえ
)
、
伊那丸方
(
いなまるがた
)
にさる者ありと知られたる
木隠
(
こがくれ
)
が
素
(
そ
)
ッ首もらった」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、この納所は、武蔵を追っ払おうとするのが肚か、いよいよ
膠
(
にべ
)
も
素
(
そ
)
っ
気
(
け
)
もない。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そやつの挨拶とは、何かいいがかりをつけて
酒代
(
さかて
)
をねだるつもりであろう。押しの太い尺八乞食め、見せしめに
素
(
そ
)
ッ
首
(
くび
)
をぶち落してくれるから召し連れて来い」ひどく
癇
(
かん
)
にさわったらしく
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いくら酒の上にいたせ、よいほどに引っ込まぬと、
素
(
そ
)
ッ
首
(
くび
)
を
刎
(
は
)
ね落すぞ」
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「こりゃ平次、いつもの仕事場とはちがうぞ、ゆるし難い
狼藉
(
ろうぜき
)
、きょうこそ、その
素
(
そ
)
っ首を打ち落してやるから立てっ」
襟
(
えり
)
がみを
引摺
(
ひきず
)
ると、平次郎はもう痩せ犬のように身を縮めているだけだった。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「わからないの? ……この間からの私の
素
(
そ
)
ぶりでも」
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
といわぬばかりな顔つきを、
素
(
そ
)
ッ
気
(
け
)
なく振り向けた。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
素
常用漢字
小5
部首:⽷
10画
“素”を含む語句
平素
素直
素性
素人
素裸
素馨
質素
素地
素振
素破
素見
素絹
素生
素描
要素
素敏
素姓
素面
素袍
素通
...