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粗相
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そそう
ふりがな文庫
“
粗相
(
そそう
)” の例文
村越 (
呆
(
あき
)
れたる
状
(
さま
)
して続く)小父さん、小父さん、どうなすった……どうなさるんです。おいくさん、お前
粗相
(
そそう
)
をしやしないかい。
錦染滝白糸:――其一幕――
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
家中
(
うちじゅう
)
のものが、そのために不自由をする。あたしゃ、お前さんが気の毒だから、万一の
粗相
(
そそう
)
がないように、そういってあげたまでだ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
いつもは女中をやるんですけれど、ゆうべに限って自分が二階へあがって行って、どうしたはずみか、そんな
粗相
(
そそう
)
をしてしまったんです
半七捕物帳:16 津の国屋
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
態
(
わざ
)
とでなければ出来ない様に、キチンと行儀よく、ななめにはってあるではありませんか。それは決して偶然の
粗相
(
そそう
)
なぞではないのです。
日記帳
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「お旗本のお使いと聞いたから、
滅多
(
めった
)
に
粗相
(
そそう
)
があっちゃならねえと思って断らせたんだが、なぜまともに、おきただといいなさらねえんだ」
歌麿懺悔:江戸名人伝
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
▼ もっと見る
もうこれ以上我慢をすると、女の身にとって顔から火の出るような
粗相
(
そそう
)
を演ずることになる。彼女は極度に
狼狽
(
ろうばい
)
していたのだ。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「妻はのうてもわしとて男でござりますわい。若い時に
粗相
(
そそう
)
をしてな。
落
(
おと
)
し
胤
(
だね
)
じゃ、落し胤じゃ。——伜よ。参ろうぞい」
旗本退屈男:08 第八話 日光に現れた退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
こんなに見事なものが一
打
(
ダース
)
そっくりあるのは非常に珍しいとあって、その家でも大いに大事にしていたところが、何かの
粗相
(
そそう
)
で一枚こわしてしまった。
踊る地平線:02 テムズに聴く
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
(一益ともあろう
老巧
(
ろうこう
)
が、亀山や峰の小城など
奪
(
と
)
るに、何で時も計らず
粗相
(
そそう
)
に兵を動かしおったか。愚かな沙汰よ)
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その手紙を枝の長い
荻
(
おぎ
)
につけて、そっと見せるようにとは言ったが、源氏の内心では
粗相
(
そそう
)
して少将に見つかった時、妻の以前の情人の自分であることを知ったら
源氏物語:04 夕顔
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「あれッ! とんだ、また、
粗相
(
そそう
)
をいたしまして! どうぞ殿様、どうぞ
御料簡
(
ごりょうけん
)
なされてくださりませ」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
忠義の道を欠く時は
矢張
(
やはり
)
孝行は立たない道理、一旦主人と頼みしお方を、
粗相
(
そそう
)
とは云いながら槍先にかけたは
私
(
わたくし
)
の
過
(
あやま
)
り、お
詫
(
わび
)
の為に此の場にて切腹いたして相果てます
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
今朝使ひの子供の
粗相
(
そそう
)
で卵が割れてしまつたので、食事が九時半になつた。体温が二分もさがつて気持のいい朝だつた。それに耳のせゐだらうか、今朝は海の音がはつきりと聞えた。
恢復期
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
「出て行けッ、
飛
(
ママ
)
んでもねえ
餓鬼
(
がき
)
だ、お客になんかねだりゃアがって、二度と店へ入って来やがったら
叩
(
たた
)
き殺……ヘッへッ、へ……いらっしゃいまし、どうも
飛
(
ママ
)
んでもない
粗相
(
そそう
)
を……」
雲南守備兵
(新字新仮名)
/
木村荘十
(著)
何も知らない
雛妓
(
おしゃく
)
時代に、座敷の客と先輩との間に交される露骨な話に笑い過ぎて畳の上に
粗相
(
そそう
)
をして仕舞い、座が立てなくなって泣き出してしまったことから始めて、囲いもの時代に
老妓抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
それに叔父が今日曲馬団に来ておりまして、あのように
妾
(
わたし
)
たちの仕事を察して、
粗相
(
そそう
)
のないように保護しているのを見ますと、叔父はもう、とっくに何もかも見破って、わたくし達三人を
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
余はこの雑誌の健在を喜ぶと共にたやすく
人言
(
じんげん
)
を信じたる
粗相
(
そそう
)
とを謝す。
墨汁一滴
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「とんだ
粗相
(
そそう
)
をいたしました。ホッ、ホッ、ホッ、ご免あそばせ」——で、スルリと抜けたのである。だがその瞬間に右の手が上がって、真白い腕が
肘
(
ひじ
)
の辺まで現われ、それが夕陽にひらめいた。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ああ、私が悪うございました、どうぞ赤瀬の大将には秘密にお願いいたします、酒癖が悪いため、とんだ
粗相
(
そそう
)
をしました、どうぞ、どうぞ、お許し願います。そう云って、ぺこぺこと頭を下げた。
糞尿譚
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
「何か
粗相
(
そそう
)
でもしたのか」
銭形平次捕物控:107 梅吉殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「わたしの牛は今まで一度もお客を落したことはねえのに、どうしてこんな
粗相
(
そそう
)
を仕出かしたのか。まあ、どうぞ勘弁しておくんなせえ。」
恨みの蠑螺
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
嘘
(
うそ
)
をつけ。
面
(
つら
)
を
洗
(
あら
)
った
奴
(
やつ
)
が、そんな
粗相
(
そそう
)
をするはずァなかろう。ここへ
来
(
き
)
て、よく
人形
(
にんぎょう
)
の
足
(
あし
)
を
見
(
み
)
ねえ。
甲
(
こう
)
に、こんなに
蝋
(
ろう
)
が
垂
(
た
)
れているじゃねえか
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「
粗忽者
(
そこつもの
)
共よ喃。みい。油ではないまるで水じゃ。
納戸
(
なんど
)
の者共が
粗相
(
そそう
)
致して水を差したであろう。取り替えさせい」
老中の眼鏡
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
「知らぬこととはもうせ、飛んだ
粗相
(
そそう
)
をいたした。どうかゆるしてくれい、そこで、あらためて聞きたいが、
御身
(
おんみ
)
はその手紙にある
果心居士
(
かしんこじ
)
のお
弟子
(
でし
)
か」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おまけに意地を張ってさ、自分の
粗相
(
そそう
)
は棚に上げて、他人に、あたしに、罪をなすくろうとする。こうなったら、あたしゃどこまでもお前さんをとっちめるよ。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
もう御到着になった頃です。
粗相
(
そそう
)
があっては一大事です。我々は舞台と木戸口は充分検べました。併し見物席はこの満員で、検べ様がありません。で、諸君に御願いです。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
その一人 おっと! これはこれは、とんだ
粗相
(
そそう
)
を。なにとぞ御容赦のほどを——。
稲生播磨守
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
されて、一つはそれでのぼせて
粗相
(
そそう
)
なこともするのでございましょう
源氏物語:26 常夏
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
「とんだ
粗相
(
そそう
)
をいたしました。ホッ、ホッ、ホッ、ごめんあそばせ」
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「世間の口に戸は
閉
(
た
)
てられねえ。
粗相
(
そそう
)
で死んだのか、身を投げたのか、自然に人が知っているのさ。高巌寺でもそんなことを云っていたっけ」
半七捕物帳:24 小女郎狐
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
何か
粗相
(
そそう
)
でもして、役目を取りあげられたようにでも考えたらしい。気の弱い眼にすぐ涙をいっぱい
溜
(
た
)
めた。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小僧
(
こぞう
)
の
粗相
(
そそう
)
は
番頭
(
ばんとう
)
の
粗相
(
そそう
)
、
手前
(
てまえ
)
から、どのようにもおわびはいたしましょうから、
御勘弁
(
ごかんべん
)
願
(
ねが
)
えるものでございましたら、この
幸兵衛
(
こうべえ
)
に
御免
(
ごめん
)
じ
下
(
くだ
)
さいまして。……
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
これが、洗濯だとか、なんとか、そういう大きな仕事は、まあ、半分の
粗相
(
そそう
)
ですむにしたところで、細かな仕事になると、こりゃもう、お前さんの手にゃおえない。
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
風船屋が
粗相
(
そそう
)
をして、ゴム風船を、一度に空へ飛ばしたものと分りましたが、その時分は、ゴム風船そのものが、今よりはずっと珍らしゅうござんしたから正体が分っても
押絵と旅する男
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「あアいや。
下女
(
げじょ
)
めの
粗相
(
そそう
)
、呼んで直させまするで、そのままに、そのままに」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「困るね。おまえ。こんなお客さん毎日のことだから、あとでもいいんだよ。御前さま、おまえにお目が止まったようだから、早くあちらへご挨拶にお行きよ!
粗相
(
そそう
)
があっちゃいけないよ」
山県有朋の靴
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
またいつもの
粗相
(
そそう
)
やさんがそんなことを
源氏物語:05 若紫
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
栄之丞もその話を聴いて
吐胸
(
とむね
)
をついた。まだ新参の身、殊に年のゆかない妹がこんな
粗相
(
そそう
)
をしでかしては、主人におめおめと顔を向けられまい。
籠釣瓶
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「
御大切
(
おたいせつ
)
なお
品
(
しな
)
ゆえ、
粗相
(
そそう
)
があってはならんよって、
速
(
はよ
)
うお
返
(
かえ
)
し
申
(
もう
)
すが
上分別
(
じょうふんべつ
)
と、
思
(
おも
)
い
立
(
た
)
って
参
(
さん
)
じました」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「よけいなお世話のようですが、さっき掛けた女衆が、
嬰児
(
あかご
)
に
粗相
(
そそう
)
をさせたんでまだ、
尿
(
しし
)
で
濡
(
ぬ
)
れている筈で、——お値だんは同じ事、こちらへ、お腰かけなさいまし」
無宿人国記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「何とも、誰の
粗相
(
そそう
)
でもねえんで——運でごわす。」
釘抜藤吉捕物覚書:12 悲願百両
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「イヤ、つい
粗相
(
そそう
)
をしました。
勘弁
(
かんべん
)
して下さい」
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
相手は侍、しかも
粗相
(
そそう
)
はこっちにある。それと気がついて綾鶴は
平
(
ひら
)
にあやまった。綾衣もにっこり笑って会釈した。侍も黙ってほほえんで行き過ぎた。
箕輪心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
これは
濁
(
にご
)
り井じゃ、これは
涸
(
か
)
れ井じゃなどと、だいじゅう(大衆)を
粗相
(
そそう
)
に見て、釣瓶の仕替えや
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「……いえ、やはり中村の姉へ帰しましょう。もしお
姑様
(
かあさま
)
などへ、
粗相
(
そそう
)
があるといけませんから」
新書太閤記:01 第一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「わたしの代りにあなたの命を取っても仕方がありません。わたしの亡い後に、老母や幼な児の世話をして下さるというならば、わたしは自分の
粗相
(
そそう
)
で滑り落ちたと申し立てます」
中国怪奇小説集:17 閲微草堂筆記(清)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
僧は、かぶっている法師
頭巾
(
ずきん
)
を
剥
(
は
)
いでみせた。哨兵たちは、
粗相
(
そそう
)
を詫びて、うしろの柵へ手合図を振った。木戸にはべつな一隊がかたまっている。僧はそこの番将へ向って何か話しかけた。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこで、燭を執って
起
(
た
)
ちあがる時、かれは
粗相
(
そそう
)
の振りをして、燭の火をかれらの着物にこすり付けると、着物の焦げるのがあたかも毛を燃やしたように匂ったので、もう疑うまでもないと思った。
中国怪奇小説集:04 捜神後記(六朝)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「分っております。ですから顔から離しません。早く高麗村へ帰って、御隠家様にこれを見せ、次郎の
粗相
(
そそう
)
をおわびした上に、改めてお
暇
(
いとま
)
をいただいて江戸の尾州様へこれを届けるつもりです」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
客に
仕
(
つか
)
え、自分に慎み、
低頭屈身
(
ていとうくっしん
)
、すこしの
粗相
(
そそう
)
もないように、終始、おのれの心を人の満足と歓びのために提供しきるなどという行いは、とても信長の
性
(
しょう
)
には合わぬことと思われもするのだが
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“粗相”の意味
《名詞》
粗 相(そそう)
不注意によりあやまちや失敗をおかすこと。
大小便を失禁すること。
(出典:Wiktionary)
“粗相”の解説
粗相
(出典:Wikipedia)
粗
常用漢字
中学
部首:⽶
11画
相
常用漢字
小3
部首:⽬
9画
“粗相”で始まる語句
粗相様
粗相千万