空中くうちゅう)” の例文
ほこりは、これらのうまくるまがいってしまったあとでも、なお空中くうちゅうにただよっていましたが、ついに昨日きのうのびっこのうまとおりませんでした。
びっこのお馬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
からだの中にはいった食べ物がそのまま空中くうちゅういてみえるなんて、考えただけでもぞっとすることだろう。ぼくはそんなことになるのはいやだ。
そんなおしゃべりをしていますと、突然とつぜん空中くうちゅうでポンポンとおとがして、二がんきずついて水草みずくさあいだちてに、あたりのみずあかそまりました。
午後ほんを読んで居ると、空中くうちゅうに大きな物のうなり声が響く。縁から見上げると、夏に見る様な白銅色の巻雲けんうんうしろにして、南のそらに赤い大紙鳶おおだこが一つあがって居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
それはしろっぽい、幾分いくぶんふわふわしたもので、そして普通ふつう裸体はだかでございます。それが肉体にくたい真上まうえ空中くうちゅうに、おな姿勢しせい横臥おうがしている光景ありさまは、けっしてあまりよいものではございませぬ。
そのうちに、あらしは、だんだんきちがいじみてきた。しまいにはねげて、空中くうちゅうといっしょに、ばしたのでした。
寒い日のこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
透明人間とうめいにんげんだなんておそろしいやつのことを、新聞がでかでか書きたてたと思うと、金貨が空中くうちゅうをとびまわる。おれはなんとなくおそろしくてしかたがないよ
そのうちあきて、もりはオレンジいろ黄金色おうごんいろかわってました。そして、だんだんふゆちかづいて、それがると、さむかぜがその落葉おちばをつかまえてつめた空中くうちゅうげるのでした。
正直しょうじきな、やさしいかみなりは、くろい、ふと一筋ひとすじ電線でんせんが、空中くうちゅうにあるのをつけました。そして、注意深ちゅういぶかく、そのせんうえりました。
ぴかぴかする夜 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あのときふいに空中くうちゅうから声がきこえてきたような気がしたが……そら耳だと思っていたが、もしかすると、ほんとに空中からきこえたのかもしれないぞ。
これは、まったく、びはなれたわざであります。たかい、たかい、空中くうちゅうから、りて、はるかしたられた一ぽんふとつなをつかむのであります。
二人の軽業師 (新字新仮名) / 小川未明(著)
人間にんげんは、はなよりも、かえって、ちょうちょうといって、ほめそやしたものだ。ちょっとおおげさだが、空中くうちゅういっぱいちょうだといってよかったんだ。
冬のちょう (新字新仮名) / 小川未明(著)
つぎに、こうは、どうして、たか空中くうちゅうから、りて、一ぽんつな大胆だいたんにつかむかをはなしたのです。
二人の軽業師 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、ちょうはどこへりたらいちばん安全あんぜんだろうと、しばらく空中くうちゅうまよっていました。そのとき、なんともいわれない、やさしいいい音色ねいろがきこえてきたのであります。
ちょうと怒濤 (新字新仮名) / 小川未明(著)
指先ゆびさきでつまんで、これが、みずなかにいる時分じぶん姿すがた想像そうぞうして、空中くうちゅうおよがしてみました。
真昼のお化け (新字新仮名) / 小川未明(著)
たかい、たかい、空中くうちゅうから、ぶらさがっているまりはなして、あちらにがっているまりにつかまる、あぶない芸当げいとうは、ほんとうに、ているものをひやひやさせました。
二人の軽業師 (新字新仮名) / 小川未明(著)
大地だいちをゆるがす砲車ほうしゃのきしりと、ビュン、ビュンとなく空中くうちゅうくような銃弾じゅうだんおとと、あらしのごとくそばをぎて、いつしかとおざかる馬蹄ばていのひびきとで、平原へいげん静寂せいじゃくやぶられ
戦友 (新字新仮名) / 小川未明(著)
たちまち、どっと、おそって、このあかいガラスの宮殿きゅうでんにぶっつかったかとおもうと、さながらこおりをくだいたようなひびきをたて、みごとな建物たてものは、さんらんとして、空中くうちゅうに、ってしまいました。
赤いガラスの宮殿 (新字新仮名) / 小川未明(著)