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矮
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ひく
ふりがな文庫
“
矮
(
ひく
)” の例文
お宅は
下根岸
(
しもねぎし
)
もズッと末の方で
極
(
ご
)
く閑静な処、屋敷の
周囲
(
まわり
)
は
矮
(
ひく
)
い生垣になって居まして、其の外は
田甫
(
たんぼ
)
、其の
向
(
むこう
)
に
道灌山
(
どうかんやま
)
が見える。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
客舍の前にはたけ
矮
(
ひく
)
く
逞
(
たく
)
ましげなる男ありて、車の去るを見送りたるが、手に持てる鞭を揮ひて鳴らし、あたりの人に向ひていふやう。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
霜枯
(
しもが
)
れそめた
矮
(
ひく
)
い
薄
(
すすき
)
や
苅萱
(
かるかや
)
や他の枯草の中を、人が踏みならした路が
幾条
(
いくすじ
)
か
麓
(
ふもと
)
から
頂
(
いただき
)
へと通うて居る。余等は其一を伝うて上った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
長さ二町にも余る雪田の上には、雪崩の為に掻き取られた大きな土の塊が二つ三つ横たわって、
矮
(
ひく
)
い灌木などが生え茂っている。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
座の一隅には
矮
(
ひく
)
い脚を打った大きな
折敷
(
おしき
)
に
柳樽
(
やなぎだる
)
一
荷
(
か
)
置かれてあった。客が
従者
(
じゅうしゃ
)
に吊らせて来て此処へ
餉
(
おく
)
ったものに相違無い。
雪たたき
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
前石(つくばいに跼んで手を洗う踏石)の右に
矮
(
ひく
)
い熊笹を植えるのもよい、とくさは手洗いにつきすぎて陳腐であるから
庭をつくる人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
時計の
鏈
(
くさり
)
を
繻珍
(
しゆちん
)
の帯の上に閃かしたるちゞれ毛の束髪の顔は醜くたけ
矮
(
ひく
)
き夫人の六尺近き燕尾服の良人の面仰ぎつゝ何やらん甘へたる調子にて物尋ねらるゝ
燕尾服着初めの記
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
いつものやうに黄金色の花をつけた
矮
(
ひく
)
いゑにしだのほかには何もなかつた、が、海風を避けた低地へ足を入れると、すぐ新らしい美しい緑葉や、花をつけた
山櫨
(
さんざし
)
の
叢
(
しげみ
)
や
氷島の漁夫:01 氷島の漁夫
(旧字旧仮名)
/
ピエール・ロティ
(著)
矮
(
ひく
)
い天井に只一つ小さな
硝子
(
がらす
)
窓があつて寝ながら手を
延
(
のば
)
せば
開閉
(
あけたて
)
が出来る。昼は
其
(
その
)
窓から日光が直射し、雨の晩などは
直
(
す
)
ぐ顔の上へ音を立てて降り
掛
(
かゝ
)
る様で眠られない
相
(
さう
)
である。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
見かけだけは、岩にひらみついてゐる、
矮
(
ひく
)
い灌木かなにかのやうに思つてゐたのが、中へ入つて見ると、丈の高い熊笹が縦横に入り乱れてゐて、一足でも踏み入れさせまいとする。
伊良湖の旅
(新字旧仮名)
/
吉江喬松
(著)
トちょっと
更
(
あらた
)
まった
容子
(
ようす
)
をして、うしろ見られる
趣
(
おもむき
)
で、その
二階家
(
にかいや
)
の前から
路
(
みち
)
が
一畝
(
ひとうね
)
り、
矮
(
ひく
)
い
藁屋
(
わらや
)
の、屋根にも葉にも一面の、
椿
(
つばき
)
の花の
紅
(
くれない
)
の中へ入って、
菜畠
(
なばたけ
)
へ
纔
(
わずか
)
に
顕
(
あらわ
)
れ、
苗代田
(
なわしろだ
)
でまた絶えて
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
年
(
とし
)
は
十六
(
じふろく
)
なれども
不圖
(
ふと
)
見
(
み
)
る
處
(
ところ
)
は
一
(
いち
)
か
二
(
に
)
か、
肩幅
(
かたはゞ
)
せばく
顏
(
かほ
)
少
(
ちひ
)
さく、
目鼻
(
めはな
)
だちはきり/\と
利口
(
りこう
)
らしけれどいかにも
脊
(
せい
)
の
矮
(
ひく
)
ければ
人
(
ひと
)
嘲
(
あざけ
)
りて
仇名
(
あだな
)
はつけゝる、
御免
(
ごめん
)
なさい、と
火鉢
(
ひばち
)
の
傍
(
そば
)
へづか/\と
行
(
ゆ
)
けば
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
いぢけて
矮
(
ひく
)
い防雪林の杉並あたり
春と修羅 第二集
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
東京の街の
矮
(
ひく
)
い屋根を越えて
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
人食ふ人ら背も
矮
(
ひく
)
く
緑の種子
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
両側を限る山裾は刈り込んだように
矮
(
ひく
)
い灌木が叢生している許りで、あれ程人を苦めた絶壁はもう影も形も見せなくなった。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
此だな、と思って音なわすと、道側の
矮
(
ひく
)
い草葺の中から真黒な姿がぬっと出て「東京のお客さんじゃありませんか。御隠居が毎日御待兼ねです」
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
そこには大きな
矮
(
ひく
)
い机を横にしてこちらへ
向直
(
むきなお
)
っていた四十ばかりの日に
焦
(
や
)
けて
赭
(
あか
)
い顔の丈夫そうなズク
入
(
にゅう
)
が
観画談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
そして、彼女の戸口から、荒地の上を、
矮
(
ひく
)
いえにしだの中を、彼が往來するのを見掛けることも出來よう。さう思ふと、彼女はブルバラネクのこの土地が懷かしまれた。
氷島の漁夫:01 氷島の漁夫
(旧字旧仮名)
/
ピエール・ロティ
(著)
帽子のない、なりの
矮
(
ひく
)
い姿は、墨のように
滲
(
にじ
)
んだ影を、くらい軒燈の下に落して行った。
後の日の童子
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
とある
矮
(
ひく
)
い石垣の上に腰を掛けた九
里
(
り
)
は大きな
煙管
(
パイプ
)
を
啣
(
くは
)
へて
快
(
こゝろよ
)
さ
相
(
さう
)
に
燐寸
(
マツチ
)
を擦つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
その
矮
(
ひく
)
い、
蒼白
(
そうはく
)
なからだを
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
水の流れていそうな溝を探している中に大降りとなったので、
側
(
そば
)
にあった
矮
(
ひく
)
い白檜の下に逃げ込んで雨を避けた。
大井川奥山の話
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
そこには大きな
矮
(
ひく
)
い机を横にして此方へ向直つてゐた四十ばかりの日に焦けて赭い顔の丈夫さうなヅク入が
観画談
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
株立ちの
矮
(
ひく
)
い桜は落葉し尽して、からんとした中に、
山門
(
さんもん
)
の黄が勝った
丹塗
(
にぬり
)
と、八分の紅を染めた
楓
(
もみじ
)
とが、何とも云えぬ
趣
(
おもむき
)
をなして居る。余は御室が大好きである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
海面より低い
此
(
この
)
国は、
何処
(
どこ
)
へ行つても狭い
運河
(
カナル
)
が縦横に通じて、
小橋
(
こばし
)
と
色色
(
いろいろ
)
に塗つた美しい船との多いのが
他
(
た
)
に見られない景色である。建築は一体に
矮
(
ひく
)
い家ばかりで三
階
(
がい
)
以上の物は
少
(
すくな
)
い。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
晩秋の日の光りを浴びて返り吹きした
矮
(
ひく
)
いえにしだの香氣を漂はせてゐた。
氷島の漁夫:01 氷島の漁夫
(旧字旧仮名)
/
ピエール・ロティ
(著)
それで頂上の東寄りの岩の原が尽きた辺から、
矮
(
ひく
)
い
偃松
(
はいまつ
)
の中を下り始めたが路らしいものはない。偃松の丈は次第に高く、枝が張り出して動きがとれなくなる。
思い出す儘に
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
直ぐ急な登りが始まる、最初の
中
(
うち
)
は偃松が
矮
(
ひく
)
いので、岩の上も楽に歩けたが、五十米も登ると蒼黒い偃松の波が急に深くなって、腰から肩の辺まで押し寄せる。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
角
(
つの
)
ぐむ草の芽立ちがほの紅く匂ったりして、登山者の目を楽しませ、近くの
岳樺
(
だけかんば
)
や
深山榛
(
みやまはんのき
)
の
矮
(
ひく
)
い林の中では、鶯、駒鳥、
大瑠璃
(
おおるり
)
其他の小鳥が囀り交わして、快い響を漂わしている。
山の魅力
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
頂上から二十分
許
(
ばか
)
り黒木の中を北に進むと、尾根が痩せて大きな岩が露出し、木は拗けて丈が
矮
(
ひく
)
くなり、黒檜、
米栂
(
こめつが
)
、
米躑躅
(
こめつつじ
)
などが多い。大菩薩連嶺中で最も異彩を放っている場所である。
初旅の大菩薩連嶺
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
矮
漢検1級
部首:⽮
13画
“矮”を含む語句
矮小
矮人
矮鶏
矮樹
矮叢
矮躯
矮屋
矮小黒人種
矮林
矮短
矮樹林
矮檜
矮少
矮雞
矮草
短矮
矮陋
矮草帯
醜矮
矮虎
...