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瓜実顔
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うりざねがお
ふりがな文庫
“
瓜実顔
(
うりざねがお
)” の例文
旧字:
瓜實顏
浜龍は
東金
(
とうがね
)
の姉娘の養女で、東京の
蠣殻町
(
かきがらちょう
)
育ちだったが、ちょっと
下脹
(
しもぶく
)
れの
瓜実顔
(
うりざねがお
)
で、
上脊
(
うわぜい
)
もあり、きっそりした好い芸者だった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
真面目
(
まじめ
)
な顔になっている。美しい
瓜実顔
(
うりざねがお
)
が正面になって、かすかな社燈の光に浮き出たとき、マンは、あッと、思いだした。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
如何
(
いか
)
にも色の白かったこと、眉が三日月形に細く整って、
二重瞼
(
ふたえまぶた
)
の目が如何にも涼しい、面長な、鼻の高い、
瓜実顔
(
うりざねがお
)
であったことを覚えている。
幼い頃の記憶
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
眼が大きく、唇が厚く、そして何処までも純日本式の、浮世絵にでもありそうな細長い鼻つきをした
瓜実顔
(
うりざねがお
)
の
輪廓
(
りんかく
)
でした。
痴人の愛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
お染は
鄙
(
ひな
)
に稀なる——と形容された方で、色白で
瓜実顔
(
うりざねがお
)
で、夢みるような眼や、赤い唇や、小野小町を生んだ国から出ただけの魅力は充分でした。
奇談クラブ〔戦後版〕:17 白髪の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
昔しの
髷
(
まげ
)
を今の世にしばし許せと
被
(
かぶ
)
る
瓜実顔
(
うりざねがお
)
は、花に臨んで風に
堪
(
た
)
えず、
俯目
(
ふしめ
)
に人を避けて、名物の団子を
眺
(
なが
)
めている。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
五
(
いつ
)
ツ
衣
(
ぎぬ
)
で
檜扇
(
おうぎ
)
をさしかざしたといったらよいでしょうか、王朝式といっても、丸いお顔じゃありません、ほんとに輪郭のよくととのった、
瓜実顔
(
うりざねがお
)
です。
九条武子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
極めて色が白く、肌のこまやかな
瓜実顔
(
うりざねがお
)
で、薄くひき緊った唇が紅をさしたように赤く、黒眼の大きな
双眸
(
そうぼう
)
は、いかにも賢そうな、澄んだ光を
湛
(
たた
)
えていた。
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その
半面
(
よこがお
)
を文三が
窃
(
ぬす
)
むが如く眺め
遣
(
や
)
れば、眼鼻口の美しさは常に
異
(
かわ
)
ッたこともないが、月の光を受けて些し蒼味を
帯
(
お
)
んだ
瓜実顔
(
うりざねがお
)
にほつれ掛ッたいたずら髪
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
顴骨
(
かんこつ
)
も出ていない。
下顎
(
したあご
)
にも癖がない。その幅のある
瓜実顔
(
うりざねがお
)
の両側に大きな
耳朶
(
みみたぶ
)
が少し位置高く開いている。
九代目団十郎の首
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
姉の勝美は
瓜実顔
(
うりざねがお
)
の美人であるが、次女のミドリは丸顔の美人で、目にも鼻にも共通点がない。勝美はオチョボ口でうけ唇だが、ミドリは大口で時々カラカラ笑っている。
心霊殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
それは昔風の形容の詞句を胸のうちに思い
泛
(
うか
)
べさせる美人だなと思った。いわゆる
瓜実顔
(
うりざねがお
)
に整った目鼻立ちが、描けるように位置の坪に
嵌
(
はま
)
っていて、
眉
(
まゆ
)
はやや迫って濃かった。
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
似絵
(
にせえ
)
師のことばでよく、“藤原顔”というあの
瓜実顔
(
うりざねがお
)
ではあるが、
鳳眼
(
ほうがん
)
するどく、濃いおん眉、意志のつよげなお唇もと、また、ひげ痕も青々と、皇系にはまれな男性的な御風貌であった。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
どちらかと云えば昔風の
瓜実顔
(
うりざねがお
)
で、
眉
(
まゆ
)
も鼻も口も首筋も、肩も、
悉
(
ことごと
)
くの線が優に弱々しく、なよなよとしていて、よく昔の小説家が形容した様な、
触
(
さわ
)
れば消えて行くかと思われる
風情
(
ふぜい
)
であった。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
坐ると一緒に
首垂
(
うなだ
)
れたが、細い首には保ち兼ねるようなたっぷりとした黒髪に、
瓜実顔
(
うりざねがお
)
をふっくりと包ませ、パラリと下がった
後
(
おく
)
れ毛を時々掻き上げる細い指先が白魚のように白いのだけでも
三甚内
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
顔は色の浅黒い、左の
眼尻
(
めじり
)
に
黒子
(
ほくろ
)
のある、小さい
瓜実顔
(
うりざねがお
)
でございます。
藪の中
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
高島田の
金元結
(
きんもとゆい
)
の
艶
(
なま
)
めかしい、黒い大きな瞳を一パイに見開いた人形のような
瓜実顔
(
うりざねがお
)
が、月の光りに
浮彫
(
うきぼ
)
りされたまま、半分以上雨樋の蔭から覗き出して、彼の姿を一心に凝視しているのであった。
笑う唖女
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その可愛らしい
瓜実顔
(
うりざねがお
)
は新らしい玉子のような
円味
(
まるみ
)
をもち
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
瓜実顔
(
うりざねがお
)
の優しい眼と眉を持った琴子の顔なのです。
ハムレット
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
その男の、髭をはやしている
瓜実顔
(
うりざねがお
)
を見た。
二つの庭
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
円
(
まる
)
き顔
瓜実顔
(
うりざねがお
)
や松の内
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「身上くらいは潰し度くなりますよ。
瓜実顔
(
うりざねがお
)
で眼が大きくて、鼻筋が通って、口許が可愛らしくて、そりゃもう——」
銭形平次捕物控:213 一と目千両
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
額
(
ひたい
)
のひろい、上品な
瓜実顔
(
うりざねがお
)
の、のっぺりした皮膚が優雅な目鼻立ちを包んでいて、寝顔で判断すると、武士と云うよりは公卿のような印象を受ける。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「目の
凜
(
りん
)
とした、一の字眉の、
瓜実顔
(
うりざねがお
)
の、
裳
(
すそ
)
を引いたなり薄い片膝立てで黒縮緬の羽織を着ていた、
芸妓島田
(
げいこしまだ
)
の。」
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
けれど、やはり
瓜実顔
(
うりざねがお
)
の
下
(
しも
)
ぶくれ——鶏卵形が尊重され、
角
(
かく
)
ばったのや、
額
(
ひたい
)
の出たのや、
顎
(
あご
)
の突出たのをも異国情緒——個性美の現われと悦ぶようなことはなかった。
明治美人伝
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
瓜実顔
(
うりざねがお
)
で富士額、
生死
(
いきしに
)
を含む眼元の塩にピンとはねた
眉
(
まゆ
)
で
力味
(
りきみ
)
を付け、
壺々口
(
つぼつぼぐち
)
の
緊笑
(
しめわら
)
いにも
愛嬌
(
あいきょう
)
をくくんで
無暗
(
むやみ
)
には
滴
(
こぼ
)
さぬほどのさび、
背
(
せい
)
はスラリとして風に
揺
(
ゆら
)
めく
女郎花
(
おみなえし
)
の
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
イベットはもともと南欧ラテン民族の抜ける様な白い
額
(
ひたい
)
から頬へかけうっすり素焼の
赭土
(
あかつち
)
色を帯びた下ぶくれの
瓜実顔
(
うりざねがお
)
を持つ女なのだが彼女が斯うした無心の態度に入る時には
ドーヴィル物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
白痴の女房はこれも
然
(
しか
)
るべき家柄の然るべき娘のような品の良さで、眼の細々とうっとうしい、
瓜実顔
(
うりざねがお
)
の古風の人形か能面のような美しい顔立ちで、二人並べて眺めただけでは、美男美女
白痴
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
きわだって白い女の
瓜実顔
(
うりざねがお
)
が、かれの視線を受けとって
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
瓜実顔
(
うりざねがお
)
の色の白いのが、おさげとかいう、うしろへさげ髪にした濃い
艶
(
つや
)
のある
房
(
ふっさ
)
りした、その黒髪の
鬢
(
びん
)
が、わざとならずふっくりして、優しい眉の、目の涼しい、引しめた唇の
瓜の涙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
お屋敷風とも町家風ともつかぬ、十八九の賢そうな
瓜実顔
(
うりざねがお
)
、どこかお
侠
(
きゃん
)
なところはありますが、育ちは
良
(
い
)
いらしく、相応に美しくも可愛らしくもあるうちに何となく品があります。
銭形平次捕物控:008 鈴を慕う女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
父は鏡子の明治型の
瓜実顔
(
うりざねがお
)
の面だちから、これを日本娘の典型と
歓
(
よろこ
)
び、母は父が初老に近い男でも、永らく外国生活をして
灰汁抜
(
あくぬ
)
けのした
捌
(
さば
)
きや、エキゾチックな性格に興味を持ち
母子叙情
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
糸織の筒袖に博多の献上の帯を締め、黄八丈の羽織を着てきゃらこの白足袋に
雪駄
(
せった
)
を穿いた様子が、色の白い
瓜実顔
(
うりざねがお
)
の
面立
(
おもだち
)
とよく似合って、今更品位に打たれたように、私はうっとりとして了った。
少年
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
母は眼は少し窪んでいましたが
瓜実顔
(
うりざねがお
)
に肉附きのよい美人で、その当時はやりの花月巻というのを結って黒襟の小紋
縮緬
(
ちりめん
)
の
袷
(
あわせ
)
でも着たら品もあり仇っぽくもあり、誰でもみな
顧
(
ふりかえ
)
りました。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
今日伝わっている春琴女が三十七歳の時の写真というものを見るのに、
輪郭
(
りんかく
)
の整った
瓜実顔
(
うりざねがお
)
に、一つ一つ
可愛
(
かわい
)
い指で
摘
(
つ
)
まみ上げたような
小柄
(
こがら
)
な今にも消えてなくなりそうな
柔
(
やわら
)
かな目鼻がついている。
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
彼はやゝ
下膨
(
しもぶく
)
れの
瓜実顔
(
うりざねがお
)
の、こんもり高い鼻の根に迫らぬやう切れ目正しくついてゐる両眼の黒い瞳に、長い
睫毛
(
まつげ
)
を煙らせて、地を見入つてゐるときには、何を考へてゐるか誰も察しがつかなかつた。
過去世
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
瓜
漢検準1級
部首:⽠
6画
実
常用漢字
小3
部首:⼧
8画
顔
常用漢字
小2
部首:⾴
18画
“瓜実”で始まる語句
瓜実
瓜実型
瓜実形