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琥珀色
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こはくいろ
ふりがな文庫
“
琥珀色
(
こはくいろ
)” の例文
形にして
穹窿型
(
きゅうりゅうがた
)
、光にして
琥珀色
(
こはくいろ
)
、それが
朦朧
(
もうろう
)
と現われたのである。すなわち広太郎の正面へ、別の部屋が姿を現わしたのである。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
城隍廟
(
じょうこうびょう
)
のそば、
観音庵
(
かんのんあん
)
の家にもどると、彼はすぐさま身支度にかかった。胸に銀甲を当て、
琥珀色
(
こはくいろ
)
の
袍
(
ほう
)
に、
兜巾
(
ときん
)
をつけ髪をしばる。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お召物は純白で、
琥珀色
(
こはくいろ
)
のスカーフが肩からかゝつて胸を蔽ひ、腰のところで結ばれ、長い
縁
(
ふち
)
を縫つた
端
(
はし
)
の方は膝の下まで垂れてゐました。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「これは
樽麦酒
(
たるビール
)
だね。おい君樽麦酒の祝杯を一つ
挙
(
あ
)
げようじゃないか」と青年は
琥珀色
(
こはくいろ
)
の底から
湧
(
わ
)
き上がる
泡
(
あわ
)
をぐいと飲む。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
女でもああ云ふ顔をしたのは、存外人を食つてゐるものだ。その上色も白い方ぢやない、浅黒いとまでは行かなくつても、
琥珀色
(
こはくいろ
)
位な所はあるな。
好色
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
甲斐は箱膳をひきよせ、蓋を盆にして、茶碗を二つ出すと、
自在鍵
(
じざいかぎ
)
に掛っている茶釜から、
琥珀色
(
こはくいろ
)
の茶のようなものを
汲
(
く
)
んで、一つを周防にすすめた。
樅ノ木は残った:02 第二部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
しかし純一の目に強い印象を与えたのは、
琥珀色
(
こはくいろ
)
の薄皮の底に、表情筋が透いて見えるようなこの女の顔と、いかにも鋭敏らしい
目
(
ま
)
なざしとであった。
青年
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ただ泣いておいで、おまへの
琥珀色
(
こはくいろ
)
の涙へ、わたしは
指環
(
ゆびわ
)
の
印
(
しるし
)
を押してあげる、
後
(
あと
)
の思出の
種
(
たね
)
として。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
もろもろの陰は深い
瑠璃色
(
るりいろ
)
に、もろもろの明るみはうっとりした
琥珀色
(
こはくいろ
)
の二つに統制されて来ると、道路側の
瓦
(
かわら
)
屋根の一角がたちまち
灼熱
(
しゃくねつ
)
して、
紫白
(
しはく
)
の
光芒
(
こうぼう
)
を
撥開
(
はっかい
)
し
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
と、ロッセ氏は、
琥珀色
(
こはくいろ
)
の液体の入ったグラスを高くさしあげて、唇へ持っていった。
のろのろ砲弾の驚異:――金博士シリーズ・1――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
末の妹のカロラインが、つきまとわるサン・ベルナール種のレックスを押しのけながら、
逸早
(
いちはや
)
く戸を開けると、石油ランプの
琥珀色
(
こはくいろ
)
の光が焔の剣のような一筋のまぶしさを広縁に投げた。
フランセスの顔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
琥珀色
(
こはくいろ
)
の雲が二つ三つ空にうかび、風はそよりともせず、雲は動かなかった。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
凍
(
こお
)
ったような姿勢で、
琥珀色
(
こはくいろ
)
の
干涸
(
ひか
)
らびた身体に向いあって立っている。
木乃伊
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
家系に黒人の血でも混入しているのか、浅黒い
琥珀色
(
こはくいろ
)
の皮膚をしていて、それがまた、魅惑を助けて相手の好奇心を
唆
(
そそ
)
る。
倦
(
けだる
)
い光りを放つ、
鳶色
(
とびいろ
)
の大きな眼。強い口唇に漂っている
曖昧
(
あいまい
)
な微笑。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
彼の足を持ち上げていてくれるその西洋人は、
漸
(
ようや
)
く意識を回復しだした彼の上にかがみながら、ボオイの持ってきたらしい
琥珀色
(
こはくいろ
)
のグラスを彼の
唇
(
くちびる
)
に押しあてた。彼はそれを一息に飲み干した。
恢復期
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
そしてここに住む者の冷静でむらのない気質に相応した波だちのない永久的なおちつきが、
琥珀色
(
こはくいろ
)
の夕方の空におけるごとくそこを支配している。天はわれわれの頭上のみならず
足下
(
あしもと
)
にもあるのだ。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
かの女たちは小指のような微生物まで
琥珀色
(
こはくいろ
)
の液体で染めた。
戦争のファンタジイ
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
琥珀色
(
こはくいろ
)
に優にやさしくたなびいている。
俊寛
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
老人は
首肯
(
うなずき
)
ながら、
朱泥
(
しゅでい
)
の
急須
(
きゅうす
)
から、緑を含む
琥珀色
(
こはくいろ
)
の
玉液
(
ぎょくえき
)
を、二三滴ずつ、茶碗の底へしたたらす。清い
香
(
かお
)
りがかすかに鼻を
襲
(
おそ
)
う気分がした。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と思って眠る夜ごとに、彼の
瞼
(
まぶた
)
には、
琥珀色
(
こはくいろ
)
の鷹の眼と、
憂
(
うれ
)
いに腫れているお光の眼とが、こもごもに見えて、その間に、母の姿が明滅していた。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
眉目
(
びもく
)
端正な顔が、迫り
視
(
み
)
るべからざる程の気高い美しさを具えて、
新
(
あらた
)
に浴を出た時には、
琥珀色
(
こはくいろ
)
の光を放っている。豊かな肌は
瑕
(
きず
)
のない玉のようである。
魚玄機
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
髮にも亦
琥珀色
(
こはくいろ
)
の花をつけてゐらつしやいましたが、それが捲毛の眞黒な
房
(
ふさ
)
によく引き立つてゐました。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
それは
括
(
くく
)
り
頤
(
あご
)
の、眼の大きい、
白粉
(
おしろい
)
の下に
琥珀色
(
こはくいろ
)
の
皮膚
(
ひふ
)
が
透
(
す
)
いて見える、健康そうな娘だった。
路上
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
水戸が酒壜を持ってホーテンスの盃に
琥珀色
(
こはくいろ
)
の液体を注ぎそえた。
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
だが、鷹の眼は、彼が良家の女を
窺
(
うかが
)
う時のように冷智に澄ましていた。夕月に光る
琥珀色
(
こはくいろ
)
の双眸が星のように光る。
御鷹
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それから十分ばかりたった
後
(
あと
)
の事である。白葡萄酒のコップとウイスキイのコップとは、再び無愛想なウェエタアの手で、
琥珀色
(
こはくいろ
)
の液体がその中に
充
(
みた
)
された。いや、そればかりではない。
西郷隆盛
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
琥珀色
(
こはくいろ
)
を帯びた円い顔の、目の
縁
(
ふち
)
が薄赤い。その目でちょいと花房を見て、直ぐに下を向いてしまった。
Cliente
(
クリアント
)
としてこれに対している花房も、ひどく
媚
(
こび
)
のある目だと思った。
カズイスチカ
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
白い男は、
何
(
な
)
にも云わずに、手に持った
琥珀色
(
こはくいろ
)
の
櫛
(
くし
)
で軽く自分の頭を
叩
(
たた
)
いた。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
蔽
(
おほひ
)
をかぶせた
燈火
(
あかり
)
が
卓子
(
テエブル
)
の上に据ゑてあつた。もう暗くなりかけてゐるのだ。そこには昔の通りに、
琥珀色
(
こはくいろ
)
の
帷
(
とばり
)
の掛つた大きな四本柱の
寢臺
(
ベッド
)
があり、化粧机があり、肘掛椅子があり、足臺があつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
そういって帆村は、何か恐ろしいことでも思い出したらしく、大きい溜息をつくと、ビールを口にもっていって、
琥珀色
(
こはくいろ
)
の液体をグーッと
呑
(
の
)
み
乾
(
ほ
)
した。
筆者
(
わたくし
)
は
壜
(
びん
)
をとりあげると、静かに
酌
(
つ
)
いでやった。
赤外線男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
が、時親はその老い骨を猫背に一そうぺしゃんと腰をすえて、
琥珀色
(
こはくいろ
)
のひとみでキラキラ見ているだけだった。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
眸が
琥珀色
(
こはくいろ
)
だった。六尺近くも背があった。生涯六十何度かの試合に勝ちとおした。一生妻も
娶
(
めと
)
らなかった。晩年は髪もくしけずらず湯にもはいらなかった。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
伊織は、
野葡萄
(
のぶどう
)
の
実
(
み
)
へよく来るむささびの顔を覚えている。あの
琥珀色
(
こはくいろ
)
の眼が、草庵から
映
(
さ
)
す
燈
(
ひ
)
のせいか、妖怪のそれのように、怖ろしくぎらぎら光っているのだった。
宮本武蔵:07 二天の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
時には、
巨
(
おお
)
きな
禽
(
とり
)
が来たり、床下から、山猫が、
琥珀色
(
こはくいろ
)
の眼で、人の顔を、のぞきあげたりする。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
琥珀色
(
こはくいろ
)
の
眸
(
ひとみ
)
を、油断なく
研
(
と
)
ぎすまして、獲物を空に追う鷹の姿を、巌流の眼がまた、追っていた。
宮本武蔵:08 円明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
じっと見つめ返すと、その眼は、
琥珀色
(
こはくいろ
)
になったり
暗藍色
(
あんらんしょく
)
になったりいろいろに変って光る気がするのである。武蔵は、遂に眼が痛くなって、先にひとみを
外
(
そら
)
してしまった。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
紀州犬としても
優
(
すぐ
)
れた名犬にちがいなかろう。
琥珀色
(
こはくいろ
)
にかがやく眼、黒く濡れ光っている
鼻頭
(
びとう
)
のほか、全身の毛は雪を思わせる。そして大きなこと、白熊のようなといってもよい。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
(
聖
(
ひじり
)
のお
眸
(
ひとみ
)
は二つあって、
琥珀色
(
こはくいろ
)
をしていらっしゃる)とか
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
琥
漢検1級
部首:⽟
12画
珀
漢検1級
部首:⽟
9画
色
常用漢字
小2
部首:⾊
6画
“琥珀”で始まる語句
琥珀
琥珀寺
琥珀絹
琥珀織
琥珀胆
琥珀貝