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煽動
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せんどう
ふりがな文庫
“
煽動
(
せんどう
)” の例文
彼はそのことに驚きはじながらも一方その残忍な肉感——それは決して快感ではない——を自ら誇張し、
煽動
(
せんどう
)
しようと努力していた。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
そしてその結論としての国民の
覚悟
(
かくご
)
について述べだしたが、もうそのころには、かれはかなり
狂気
(
きょうき
)
じみた
煽動
(
せんどう
)
演説家になっていた。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
イエスは決して政治運動を組織し、もしくは暴動を
煽動
(
せんどう
)
する人ではなかったが、ヘロデはヘロデ流にイエスを恐怖したのである。
キリスト教入門
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
内乱を
煽動
(
せんどう
)
する記事を毎日掲げていた。実を言えば、それもただ言葉の上のことだけで、実際の腕力
沙汰
(
ざた
)
になることはめったになかった。
ジャン・クリストフ:07 第五巻 広場の市
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
文學作品は、この視角から見たとき、直接間接の宣傳もしくは
煽動
(
せんどう
)
の手段としてしか意味がない。これは、政治的に全く正しい解釋である。
政治的価値と芸術的価値:マルクス主義文学理論の再吟味
(旧字旧仮名)
/
平林初之輔
(著)
▼ もっと見る
親類の者や、友人たちからも、そう
煽動
(
せんどう
)
されるくらいだったが、それが生れつきであろう、彼自身にもどうにもならなかった。
竹柏記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「工員を
煽動
(
せんどう
)
してストライキを起こさせ、そいつを種に社長を
強請
(
ゆす
)
る。……きみのような人間がいるからだよ、運動が途中で
挫折
(
ざせつ
)
するのは」
五階の窓:05 合作の五
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
さて、広庭のざわめきが一瞬静まって一同が己の方を振向いたと知ると、今度は群集に向って
煽動
(
せんどう
)
を始めた。太子は音に聞えた
臆病者
(
おくびょうもの
)
だぞ。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
これに
煽動
(
せんどう
)
された吉田、原、早水、堀部などは、皆一種の興奮を感じたように、
愈
(
いよいよ
)
手ひどく、乱臣賊子を
罵殺
(
ばさつ
)
しにかかった。
或日の大石内蔵助
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
わるいのは校長でもなけりゃ、おれでもない、生徒だけに
極
(
きま
)
ってる。もし山嵐が
煽動
(
せんどう
)
したとすれば、生徒と山嵐を
退治
(
たいじ
)
ればそれでたくさんだ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
排日熱が過度に
煽動
(
せんどう
)
され出したので、何事も米国人との交渉は思うように行かずにその点で行きなやんでいるとの事だった。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
せっかくここまでおとなしく
従
(
つい
)
て来たのにいろいろな
注智恵
(
さしちえ
)
をしてこの正直な男を
煽動
(
せんどう
)
しちゃあ困るわいと気遣って居ると
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
だとすれば、それを現実の政略や
煽動
(
せんどう
)
の目的で何と呼ぼうとも、実はそれ自身が、新しい国家的統制組織のほかの何物でもあり得ないのである。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
部下の不正行為を
煽動
(
せんどう
)
して、ますます松浦屋を窮地に落させた、いわば
涜職
(
とくしょく
)
事件の
首魁
(
しゅかい
)
といってもいい人物なのであった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
その結果が意外な根柢ある革命的
煽動
(
せんどう
)
が下層社会に初まったり、美くしいヒューマニチーが貧民の間に発現されたりする。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
須山は考えていたが、「こゝまで準備は整っているし、みんなの意気も上がっているのだから、あとは大衆的
煽動
(
せんどう
)
で一気に持って行くことだ。」
党生活者
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
煽動
(
せんどう
)
し、
怠業
(
たいぎょう
)
の仲間にひき入れ、故意に予定を支障させて、表には出し得ない卑屈な反抗を、当事者の狼狽と、秀吉軍の敗北という結果に見て
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
田舎政治家の
煽動
(
せんどう
)
演説におだてられて、中学生的無邪気の感激で
跳
(
は
)
ね廻るような文学は、何等の
叙事詩
(
エピック
)
でもなく
叙事詩的
(
エピカル
)
なものでもありはしない。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
この強力な
煽動
(
せんどう
)
者は、その知力と信念と性格とによって、ヨーロッパのあらゆる革命運動の指導的頭脳となっていた。
ジャン・クリストフ:13 後記
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
、
ロマン・ロラン
(著)
阿諛
(
おべつか
)
と
煽動
(
せんどう
)
とで育てられた、手の付けやうのない
自惚
(
うぬぼ
)
れとがあり、考へやうでは、この頃の大身の武家にありさうな、世間並の若樣でもあつたのです。
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
始終心安くなっている小侍従という宮の女房を
煽動
(
せんどう
)
するようなことを言い、無常の世であるから、御出家のお志の深い院が御
遁世
(
とんせい
)
になる場合もあったなら
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
その周囲にあつまっているもろもろの者どもが何か詰まらないことを言って彼らを
煽動
(
せんどう
)
したり、あるいは虎の威を仮りて座方をいじめたりしたのであろう。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
しかも彼女という肉体のない幽霊を使って、彼の蜂の巣のように破れた脳を
煽動
(
せんどう
)
しているようにさえ思えた。
あめんちあ
(新字新仮名)
/
富ノ沢麟太郎
(著)
ぢや、梅子、
私
(
わし
)
は
明朝一番滊車
(
ぎしや
)
で九州まで行つて来るから——是れも
皆
(
みん
)
な篠田の
仕業
(
しわざ
)
だ、坑夫共を
煽動
(
せんどう
)
して
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「フン、それもよかろう。だが何かね。波田、おまえは自分から進んで、この要求書に
捺印
(
なついん
)
したんじゃないだろうな。だれかが、お前を
煽動
(
せんどう
)
したんだろうな」
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
本国でシベリアへ流された外に、諸方で獄に
繋
(
つな
)
がれたことがある。無政府党事件としては一番大きい
Jura
(
ユラ
)
の時計職人の騒動も、この人が
煽動
(
せんどう
)
したのだ。
食堂
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
こんな話を聞くと、但馬が意識して、周囲に働きかけるわけではないことがわかるんだが、——但馬のそうした妙な作用は、もちろん悪事の
煽動
(
せんどう
)
だけじゃない。
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
二十世紀の新しい芸術は君たちの手中に在ると大声で
煽動
(
せんどう
)
せられても、私は苦しく顔をゆがめて笑っただけでした、という事だけを申し上げて、その余の愚痴めいた事は
風の便り
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
皆と
一緒
(
いっしょ
)
にいるときは、
軽蔑
(
けいべつ
)
した風をしていますが、ひとりで逢うと、時々、「おおいに、若いときの
想
(
おも
)
い
出
(
で
)
をつくれよ」とか、文科の学生らしく、
煽動
(
せんどう
)
してくれました。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
「残った連中を
煽動
(
せんどう
)
して、同盟
罷業
(
ひぎょう
)
をやらせようと、
盛
(
さかん
)
に
説
(
と
)
き廻っているということですが」
五階の窓:01 合作の一(発端)
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ああ、いまになって妾はこの社会の共産主義的
煽動
(
せんどう
)
の任務を放棄したいとさえ考えるのです。
地図に出てくる男女
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
日ごろ西郷に
快
(
こころよ
)
からぬ人々が西郷の挙動をもって正反対の意味あるがごとくに言い放ち、西郷は名を浪士の
鎮撫
(
ちんぶ
)
に
藉
(
か
)
るが、実はこれを
煽動
(
せんどう
)
するものであると、
島津久光
(
しまづひさみつ
)
公に
告口
(
つげぐち
)
した。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
昨日
(
きのう
)
、西村商会の工場を訪ねて、工員を
煽動
(
せんどう
)
する首領が舟木であるということを知り、その行方を部下の者に捜させておりますと、この病院へ松本正雄の仮名で入院していることが分かったので
五階の窓:06 合作の六(終局)
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
浅井は女を
煽動
(
せんどう
)
するような、危険な自分の好奇心を感じながら言った。
爛
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
凡
(
およ
)
そ一週間ばかり毎日のように社説欄内を
填
(
うず
)
めて、又藤田、箕浦が筆を加えて東京の同業者を
煽動
(
せんどう
)
するように
書立
(
かきた
)
てゝ、世間の形勢
如何
(
いかん
)
と見て居た所が、不思議なる
哉
(
かな
)
、
凡
(
およ
)
そ二、三ヶ月も
経
(
た
)
つと
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
オンドリは前に集まっているトロ族たちを
煽動
(
せんどう
)
した。さっきまでは彼は平和愛好者のような顔をしていたのに、今はもうがらりと変って煽動者をつとめている。なんという
卑
(
いや
)
しい
根性
(
こんじょう
)
の持主だろう。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
四人を
使嗾
(
しそう
)
して綱宗に遊蕩をすすめ、かれらを使嗾したという事実、を
湮滅
(
いんめつ
)
するために、七兵衛らを
煽動
(
せんどう
)
してこれを暗殺した。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼らは芝居でも見るような気になっていた。群集を
煽動
(
せんどう
)
していた。心痛な焦慮に少しおののきながら、兵士らが襲いかかるのを待っていた。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
鏡は
己惚
(
うぬぼれ
)
の醸造器であるごとく、同時に自慢の消毒器である。もし浮華虚栄の念をもってこれに対する時はこれほど愚物を
煽動
(
せんどう
)
する道具はない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
イエスが国民を
煽動
(
せんどう
)
して、ローマ皇帝に
貢
(
みつぎ
)
を納むることを禁じたなどということは、全く事実に反した
誣言
(
ふげん
)
であった。
キリスト教入門
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
田畑を奪われそうになっている内地の貧農を
煽動
(
せんどう
)
して、移民を奨励して置きながら、四、五寸も掘り返せば、下が粘土ばかりの土地に放り出される。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
僕は大学に在学中、
雲州
(
うんしう
)
松江
(
まつえ
)
の
恒藤
(
つねとう
)
の家にひと夏
居候
(
ゐさふらふ
)
になりしことあり。その頃恒藤に
煽動
(
せんどう
)
せられ、松江紀行一篇を作り、
松陽新報
(
しようやうしんぱう
)
と言ふ新聞に寄す。
学校友だち
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一揆の
僧俗
(
そうぞく
)
は七万をこえ、なお、一向僧の
煽動
(
せんどう
)
にのって、
鍬
(
くわ
)
をすて、
商
(
あきな
)
いを
抛
(
なげう
)
って、自暴自滅の騒乱へ身を投じるものが日に増しふえるばかりだった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしてこれらが一見大衆の自発的運動のようにみえるときにも、必ず背後にこれを発案し、組織し、
煽動
(
せんどう
)
し、指導する者が存在することはいうまでもない。
政治学入門
(新字新仮名)
/
矢部貞治
(著)
それは、藤原が説き
奨
(
すす
)
めたためであっただろうか、あるいは彼が「
煽動
(
せんどう
)
」したものであっただろうか。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
近来社会党がナカ/\
跋扈
(
ばつこ
)
致しまして、今回坑夫の同盟なども全く、社会党の
煽動
(
せんどう
)
から起つたので御座ります、此分では将来何の事業でも発達上、非常な妨碍を
蒙
(
かうむ
)
りまするわけで
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
と三人の人間が——外伝と新助と女勘助とであったが、三方に分かれて
煽動
(
せんどう
)
していた。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そこへつけ込んで、争議で飯を食っている連中の、
煽動
(
せんどう
)
よろしきを得たのである。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
広九鉄道を破壊して
汕頭
(
スワトウ
)
方面に向けて敗走したが、再び共産主義の
煽動
(
せんどう
)
によって市内に農民工人を一団にした暴動が勃発して
吉祥路
(
きっしょうろ
)
の司令部を襲い、公安局その他政府諸官庁に向ったが
地図に出てくる男女
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
常に丹之丞とお勝を
煽動
(
せんどう
)
して、レールへ乘せない工夫ばかりして居るのでした。
銭形平次捕物控:035 傀儡名臣
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“煽動”の意味
《名詞》
煽動(せんどう 「扇動」の「同音の漢字による書きかえ」)
「扇動」の別表記。
(出典:Wiktionary)
煽
漢検準1級
部首:⽕
14画
動
常用漢字
小3
部首:⼒
11画
“煽動”で始まる語句
煽動家
煽動者
煽動的