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棲息
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せいそく
ふりがな文庫
“
棲息
(
せいそく
)” の例文
と世の珍らしきためしに語り伝えられているが、とかく、北の果の海には、このような不思議の魚も少からず
棲息
(
せいそく
)
しているようである。
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
気圧の低くなった
硝子鐘
(
ガラスがね
)
のなかに
棲息
(
せいそく
)
するモルモットの能力について、これから一時間毎に、観測をしてゆこうというのだった。
恐しき通夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
他にもこういう異名が多いようだから、うっかり名に基いてムジナはいないだの、タヌキは
棲息
(
せいそく
)
せずだのということはできない。
狸とムジナ
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「自分がこのように
棲息
(
せいそく
)
している種族の知性を論理の国際性より重んじるところは、自分が種族の国際性を愛するからだ」と。
厨房日記
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
以上の考へにして誤り無くんば、常陸地方に
棲息
(
せいそく
)
せし石器時代人民も北海道に於ける者と等しく竪穴を以て住居とせし者と
思惟
(
しゐ
)
すべきなり。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
▼ もっと見る
実際今でも世界じゅうには
生涯
(
しょうがい
)
一冊の書物も所有せず、一行の文章も読んだことのない人間は、かなりたくさんに
棲息
(
せいそく
)
していることであろう。
読書の今昔
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
女性は気弱く見える方が
強靭
(
きょうじん
)
だ。しっかりと自分だけを保護して、そして比較的安全に他人の影にかくれて根強く
棲息
(
せいそく
)
する。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
鰐
(
わに
)
、
駝鳥
(
だちょう
)
、
山羊
(
やぎ
)
、
鹿
(
しか
)
、
斑馬
(
しまうま
)
、象、
獅子
(
しし
)
、その他どれ程の種類のあるかも知れないような毒蛇や毒虫の実際に
棲息
(
せいそく
)
する地方のことを話し聞かせた。
新生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
水の色は殊にやや
濁
(
にごり
)
を帯びたが、
果
(
はて
)
もなく洋々として大河のごとく、七兵衛はさながら
棲息
(
せいそく
)
して呼吸するもののない、月世界の海を渡るに
斉
(
ひと
)
しい。
葛飾砂子
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
漢室の
廟堂
(
びょうどう
)
そのものが腐敗しているのだ。彼は、その中に
棲息
(
せいそく
)
している時代人だから、その悪弊を持っているに過ぎない
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この
不思議
(
ふしぎ
)
な
殿堂
(
でんどう
)
の
内
(
うち
)
には、いろいろの
魚
(
うお
)
たちが、おもしろおかしく、ちょうど
人間
(
にんげん
)
が
地
(
ち
)
の
上
(
うえ
)
で
生活
(
せいかつ
)
するときのように、
棲息
(
せいそく
)
していたのであります。
なまずとあざみの話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
蝎の毒は
蝮
(
まむし
)
に比すべきものである。殊に困るのは、その形が甚だ小さく、しかも人家の内に
棲息
(
せいそく
)
していることである。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
此
(
かく
)
の如く
脆弱
(
ぜいじゃく
)
にして
清楚
(
せいそ
)
なる家屋と此の如く湿気に満ち変化に富める気候の
中
(
うち
)
に
棲息
(
せいそく
)
すれば、かつて広大堅固なる西洋の居室に直立
闊歩
(
かっぽ
)
したりし時とは
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
柾木は嘗つて、何かの書物で、この極微有機物には、空気にて
棲息
(
せいそく
)
するもの、空気なくとも棲息するもの、
及
(
および
)
両棲的なるものの三類があることを読んだ。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
鬼といえども、口があって、腹がある動物である以上は、水のないところに
棲息
(
せいそく
)
はできないはずだ。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
関西に行くと、北陸からまわってくるもの、若狭から来ているものでぐじといっているが、これは北陸の海に
棲息
(
せいそく
)
し、北陸の海のものを食っているので、興津だいとは大分違う。
甘鯛の姿焼き
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
世界の大陸、
島嶼
(
とうしょ
)
のほんの一部分に人間は生存している。大陸、島嶼の大部分には草木禽獣の類が
棲息
(
せいそく
)
しているのである。陸の何倍かある海洋には魚介の類が棲息しているのである。
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
しかしその
洞穴
(
ほらあな
)
をよく
調
(
しら
)
べると、けっして
新
(
あたら
)
しい
時代
(
じだい
)
に
人
(
ひと
)
がはひつて
作
(
つく
)
つたものではなく、びぞんといふ
牛
(
うし
)
のような
動物
(
どうぶつ
)
は、
一萬年
(
いちまんねん
)
近
(
ちか
)
くも
前
(
まへ
)
でなければ
棲息
(
せいそく
)
してゐなかつたものであり
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
普通の
刺戟
(
しげき
)
に
馴
(
な
)
れて了った神経を
顫
(
ふる
)
い
戦
(
おのの
)
かすような、何か不思議な、奇怪な事はないであろうか。現実をかけ離れた野蛮な荒唐な夢幻的な空気の中に、
棲息
(
せいそく
)
することは出来ないであろうか。
秘密
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
して見れば我我の
棲息
(
せいそく
)
する地球も、——是等の結合の一つたる地球も太陽系中の一惑星に限らず、無限に存在している
筈
(
はず
)
である。この地球上のナポレオンはマレンゴオの戦に大勝を博した。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
素
(
もと
)
より世間見ずの小天地に
棲息
(
せいそく
)
しては、鳥なき里の
蝙蝠
(
かわほり
)
とは知らんようなく、これこそ天下の豪傑なれと信じ込みて、最初は師としてその人より自由民権の説を聴き、敬慕の念
漸
(
ようや
)
く長じて
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
堂宇は
撫養
(
むや
)
川にのぞみ、これまで本院には
大黄鼬
(
おおてん
)
の
棲息
(
せいそく
)
して、まれには人の目にもかかり、また川には
大鼇
(
おおがめ
)
の住み、陸に上がって鳴きしことありしとの怪談などもありしが、このごろに至り
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
大部分腐っていたので、その詳細な記録は残っていないが、そういう怪物が、まだ神秘の大洋の何処かで、ひそかに
棲息
(
せいそく
)
しているのかもしれないと考えた方が、かえって科学の心に通ずるであろう。
イグアノドンの唄:――大人のための童話――
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
只
(
ただ
)
われわれは、よもやそういう奇怪きわまる生物が、身辺近くに
棲息
(
せいそく
)
していようなどとは、夢にも知らなかったばかりだった。
蠅男
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
しかし
蝗
(
いなご
)
やフラミンゴーに限らず、ゼブラでもニューでも、インパラでもジラフでもみんな群れをなして
棲息
(
せいそく
)
している。
映画雑感(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その理由の一つは命名者の
棲息
(
せいそく
)
する社会状態の変化であり、第二には彼等の命名にはほぼ順序があって、甲乙に先だって丙丁とは命名し得ぬためであった。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
かくの如く
脆弱
(
ぜいじゃく
)
にして清楚なる家屋とかくの如く湿気に満ち変化に富める気候の
中
(
うち
)
に
棲息
(
せいそく
)
すれば、かつて広大堅固なる西洋の居室に直立
濶歩
(
かっぽ
)
したりし時とは
浮世絵の鑑賞
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
廟の傍の林には数百の烏が
棲息
(
せいそく
)
していて、舟を見つけると一斉に飛び立ち、
唖々
(
ああ
)
とやかましく
噪
(
さわ
)
いで舟の帆柱に戯れ舞い、舟子どもは之を王の使いの烏として敬愛し
竹青
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
同じ自然の中には
棲息
(
せいそく
)
していても、やはり人はあくまで
煩悩
(
ぼんのう
)
の外のものではあり得ないとみえる。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
熱帯地方に
棲息
(
せいそく
)
する
蠍
(
さそり
)
という毒虫は、
蜘蛛
(
くも
)
の一種であるけれど、
伊勢海老
(
いせえび
)
を小さくした様な醜怪な姿をしていて、どんな大きな相手にも飛び掛って来る、凶悪無残の妖虫である。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ごりは
浅瀬
(
あさせ
)
の美しい、水の流れる河原に
棲息
(
せいそく
)
する身長一寸ばかりの小ざかなである。
京都のごりの茶漬け
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
紫の
立葵
(
たちあおい
)
のこと及びその色ちがいのもので赤や白のものがあることや、日本全国到る処に
棲息
(
せいそく
)
するサワ蟹のこと
三人の双生児
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
池中に
棲息
(
せいそく
)
するある生物の研究を、学位論文の題目とした先輩が、少なくも二人はあるそうである。
池
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
いまもなお悠然とこの日本の谷川に
棲息
(
せいそく
)
し繁殖し、また静かにものを思いつつある様は、これぞまさしく神ながら、万古不易の
豊葦原
(
とよあしはら
)
瑞穂国
(
みずほのくに
)
、かの
高志
(
こし
)
の
八岐
(
やまた
)
の
遠呂智
(
おろち
)
黄村先生言行録
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
ともにその字義から見ると天然の力ばかり強く人の
棲息
(
せいそく
)
には向きそうもなかったらしく思われるが、実際はかなり古い部落、もしくは耕地の地名となっているものが無数である。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
でなくては、あんな大きな蠍なぞが、現実に
棲息
(
せいそく
)
する筈はないのだから。
妖虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
ところが、さきに読者諸氏から寄せられた平家村史料でもわかるように、平家の
棲息
(
せいそく
)
は、全日本にわたっていたのである。「新・平家」を書くばあい、古典・平家の都中心に
拠
(
よ
)
る理由はすこしもない。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
アトランティス大陸の生物が約四千年近くの間、海面下において
棲息
(
せいそく
)
をつづけ、そして、今日わが人類と交渉を持つようになったのであると考えています
海底大陸
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
またそこと交通のあった長崎の町にも少々は
棲息
(
せいそく
)
していた。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
いいえ違うわ、わたくしは、改造以前の人間といえども、海に
棲息
(
せいそく
)
し得る特質を
具備
(
ぐび
)
していると思うの。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「それは一種の
感傷主義
(
かんしょうしゅぎ
)
だ。もはや人類は、そういう能力を全然失っている。海中生活に耐える器官は
痕跡
(
こんせき
)
程度残っているかもしらんが、海中
棲息
(
せいそく
)
の本能なんど有るもんですか」
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一体わが太陽系では、生物が
棲息
(
せいそく
)
しているのは、わが地球と、その外に若し可能ありとすると火星しかない。他の遊星には、生物の棲息できる条件がないということを聞いていますぜ。
宇宙尖兵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
この怪人こそは、金星に
棲息
(
せいそく
)
する者である。彼はラジウム・エマナチオンで、
斯
(
か
)
くの如き怪速力を出して居るものと思う。地球への来訪の意味は不明だが、多分生物学研究にあるらしい。
科学時潮
(新字新仮名)
/
海野十三
、
佐野昌一
(著)
“棲息”の意味
《名詞》
棲息(せいそく 「生息」に「同音の漢字による書きかえ」がなされる)
生物が生きてそこに住んでいること。
(出典:Wiktionary)
棲
漢検準1級
部首:⽊
12画
息
常用漢字
小3
部首:⼼
10画
“棲息”で始まる語句
棲息地
棲息状態