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梯子
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はしご
ふりがな文庫
“
梯子
(
はしご
)” の例文
すると、幸門の上の
樓
(
ろう
)
へ上る、幅の廣い、之も丹を塗つた
梯子
(
はしご
)
が眼についた。
上
(
うへ
)
なら、人がゐたにしても、どうせ
死人
(
しにん
)
ばかりである。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
朽ちかけた
梯子
(
はしご
)
をあがろうとして、眼の前の小部屋の障子が開いていた。なかには蒲団が敷いてあり、人の眼がこちらを
睨
(
にら
)
んでいた。
ある心の風景
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
次は八畳の居間、六畳の仏間、その端っこまで土間が喰い込んで、店二階の
梯子
(
はしご
)
は、その土間からすぐ登れるようになっております。
銭形平次捕物控:093 百物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
梯子
(
はしご
)
のような細長い
枠
(
わく
)
へ紙を張ったり、ペンキ塗の一枚板へ模様画みたような色彩を施こしたりしてある。宗助はそれを一々読んだ。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と云うと今度はその小窓と反対側の低い
扉
(
ドア
)
を開けて、そこに掛かっている鉄の
梯子
(
はしご
)
伝いに奇妙な
眩
(
ま
)
ぶしい広い部屋へ降りて来ました。
人間腸詰
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
後に“
雲梯
(
うんてい
)
ノ
計
(
けい
)
”とよばれたものである。各所に巨大な
井楼
(
せいろう
)
を組んで、崖へ
梯子
(
はしご
)
を架けわたし、谷を踏まずに迫ろうとするのらしい。
私本太平記:07 千早帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
今も、十能の中に、かんかんとおこった炭火をたくさんに盛って、それを
後生大事
(
ごしょうだいじ
)
に抱えながら、二階の
梯子
(
はしご
)
を上りにかかりました。
大菩薩峠:27 鈴慕の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
あまり大き過ぎるためか、時は正確ではなかったそうです。月に一回、裏から
梯子
(
はしご
)
をかけて、登って行って
捲
(
ま
)
くのだとか聞きました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
右の方へ登る
梯子
(
はしご
)
を教えてくれた。すぐに二人前の注文をした客とわかったのは普請中ほとんど休業同様にしているからであろう。
普請中
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
その下に曾て見たことのない、高さ五六丈もあるかと思われる
青塗
(
あおぬり
)
の桶が別にあって、それに長い長い
梯子
(
はしご
)
が
懸
(
かか
)
っているのを見た。
暗い空
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
病院の二階の突き当りに、付添婦たちの
詰所
(
つめしょ
)
があり、
炊事所
(
すいじじょ
)
や粗末な寝所があった。その手前に
梯子
(
はしご
)
段があって、物干台に通じている。
幻化
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
彼は手さぐりで五六段ある
梯子
(
はしご
)
のようなものを下りて行ったが、底の方の空気が異様に冷え冷えとしているので、思わず
身顫
(
みぶる
)
いをした。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
緑酒と脂粉の席の間からも、其の道が、常に
耿々
(
こうこう
)
と、ヤコブの砂漠で夢見た光の
梯子
(
はしご
)
の様に高く星空迄届いているのを、彼は見た。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
やがて
梯子
(
はしご
)
段をトントン降りて行ったかと思うと、「私達は貴女を主人にたのまれたのですよ。こんな事知れていいのですかッ!」
新版 放浪記
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
ストリート・ガールであった、
鋪道
(
ほどう
)
のアヴァンチュールにかけては華やかな近代娘の典型であった四家フユ子が、赤い
梯子
(
はしご
)
を登ったのだ。
職業婦人気質
(新字新仮名)
/
吉行エイスケ
(著)
明日早暁、博多湾を
解纜
(
かいらん
)
するという「順天丸」に艀が着くと、連中は来島を先頭にして一人一人、斜にかけられた
梯子
(
はしご
)
をのぼっていった。
風蕭々
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
それに小さな
梯子
(
はしご
)
が掛かり、梯子の上で、
人形
(
にんぎょう
)
の火消しが
鳶口
(
とびぐち
)
などを振り上げたり、火の見をしていたりしている形であります。
幕末維新懐古談:01 私の父祖のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「なーに、猫が鼠をたべた血なんだよ」こういって彼は
梯子
(
はしご
)
を取り寄せて隅の方の天井板をはずし、蝋燭を片手に天井へはいって行った。
血の盃
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
と云って、
梯子
(
はしご
)
をかけた様子もなし、松を伝って来たらしくも思われない。これは庭口から忍び込んだのではあるまいと仰しゃいました。
半七捕物帳:02 石灯籠
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
レリーチェとツルビアの間のいとあらびいと
廢
(
すた
)
れし
徑
(
こみち
)
といふとも、これに
此
(
くら
)
ぶれば、
寛
(
ゆるや
)
かにして登り易き
梯子
(
はしご
)
の如し 四九—五一
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
わに久はけんめいに
梯子
(
はしご
)
をよじ登ろうとするが、二三段登るとずるずる落ち、また二三段登ると落ちてしまうので、倍増しはらをたてた。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
二階は
梯子
(
はしご
)
の
降口
(
おりくち
)
からつづいて四畳半の壁も紙を張った薄い板一枚なので、裏どなりの物音や話声が手に取るようによく聞える。
濹東綺譚
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
こんな時にそっと出て行ったら、病人は知らずにいるだろう。ちょいとあの
梯子
(
はしご
)
を下りて、あの町の角を回れば、
賑
(
にぎや
)
かな公園に出られる。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
気のせいかしら、今のは耳鳴りの音だったのかしらと怪しんでいると、今度は、すぐ次の間の
梯子
(
はしご
)
段がミシミシと鳴りはじめた。
悪魔の紋章
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
彼は屋根職人の
梯子
(
はしご
)
や足場を使ったのであろうか? しかしその道筋のうちにはほとんど越ゆることのできそうもないへだたりがあった。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
青いきらびやかなねむりのもやが早くもぼんやりかゝるのに誰かどしどし
梯子
(
はしご
)
をふんでやって来る。隣りの
室
(
へや
)
をどんと明ける。
柳沢
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「ああその何だ。コクテールの材料をあつめたいのだ。あそこの棚をのぞいてみたいから、ちょっと
梯子
(
はしご
)
を貸してくれたまえ」
暗号数字
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
部屋の隅の柱についたボタンを押すと、その上の天井がぽっかりと開いて、折畳みになった
梯子
(
はしご
)
がするすると下へ伸びて来た。
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
実にお粗末極まる小舎にまで、
梯子
(
はしご
)
がかけてある。図451は網の一つの形式を示す。河の全長にわたって、このような漁屯所が見られる。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
のぼるために
梯子
(
はしご
)
まで、二つ三つかゝっています。今、その舞台の上に、大将らしい男が立つと、大演説をやりだしました。
ガリバー旅行記
(新字新仮名)
/
ジョナサン・スウィフト
(著)
翁も漸く気が晴れたか、けろりと元の柔和な顔に返つて、執務妨害の
謝罪
(
わび
)
をして、急な
梯子
(
はしご
)
をガタリ/\と帰つて行かれた。
大野人
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
(忙がわし気に戸口に
行
(
ゆ
)
き、戸を開け、外に向きて呼ぶ。)おい。マッシャ。(間。
梯子
(
はしご
)
を
下
(
お
)
り
行
(
ゆ
)
く足音留る。)マッシャ。
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
とかう言ふので手品師は、鉄の
梯子
(
はしご
)
を、とんとんと船底に下りて行きましたが、船底にも、一人のお客もありませんでした。
小熊秀雄全集-14:童話集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
街角の瓦斯燈の下では、青ざめた
甃石
(
しきいし
)
の水溜りに、鉄の
梯子
(
はしご
)
が映っていた。複合した暗い建物の下で、一軒の豆腐屋が戸を開けて起きていた。
上海
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
窓縁には一
鉢
(
はち
)
の朝顔が絲にからんで伸びていて、ぶらさがってる
梯子
(
はしご
)
の上にその細やかな
蔓
(
つる
)
を広げていた。一条の光線がそれに当たっていた。
ジャン・クリストフ:06 第四巻 反抗
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
高い高い
梯子
(
はしご
)
が立ってその上に天の戸が開けていた、王がそれを登りつめて最後の段に達した時に起こされたのだと言う。
春寒
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
纏
(
まとい
)
がくる、
梯子
(
はしご
)
がつづく、各組の
火消
(
ひけし
)
が提燈をふりかざして続いてくる。見舞人が飛ぶ。とても大通りは通られはしない。
旧聞日本橋:07 テンコツさん一家
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
梯子
(
はしご
)
売りの梯子の影が七つ近い陽脚を見せて、裏向うの御小間物金座屋の白壁に映って行く。槍を担いだ中間の話し声、後から小者の下駄の音。
釘抜藤吉捕物覚書:06 巷説蒲鉾供養
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
梯子
(
はしご
)
といつたところで、とても
達
(
とゞ
)
きやうがないし、皆はあれあれといふばかりで、じつと火の
行方
(
ゆくへ
)
を見つめてゐました……
茶話:06 大正十一(一九二二)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「死んだようになっている女の子を、ご介抱なさるのは別の味で……ところでお殿様お下りなさいますか? ……すこし
梯子
(
はしご
)
は急でござんすが」
仇討姉妹笠
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
馬は四頭立で車台は黒塗り、二階は背中合せに腰掛けるようになっていて
梯子
(
はしご
)
は後部の車掌のいる所に附いていました。
銀座は昔からハイカラな所
(新字新仮名)
/
淡島寒月
(著)
壁塗り左官のかけ
梯子
(
はしご
)
より落ちしものの左腕の肉、煮て食いし話、一看守の語るところ、信ずべきふし在り。再び、かの、ひらひらの金魚を思う。
HUMAN LOST
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
『
梯子
(
はしご
)
段も紙製ですか。いつも不思議に思うんですけれど、どうして紙の階段で昇ったり降りたり出来るんでしょう。』
踊る地平線:02 テムズに聴く
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
彼はこんなことをしゃべりながらも、チーフメーツの声に応じて、そのたびに、マストの
梯子
(
はしご
)
まで駆けて行っては、また、駆けて帰るのであった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
星の女はそれを聞くと、いそいで岸へ
上
(
あが
)
りました。二人の姉はすぐに着物を着て、目に見えぬ蜘蛛の糸の
梯子
(
はしご
)
を
上
(
のぼ
)
つて、大空へかへつていきました。
星の女
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
鉄の
梯子
(
はしご
)
へ
縋
(
すが
)
って、月光の下にうごめく彼れの後ろ姿を目撃した私は、一種危険な気持ちに打たれて、思わず、足を早めつゝ、彼れのあとを追った。
ラ氏の笛
(新字新仮名)
/
松永延造
(著)
周三は、土藏の横手に掛けてあつた
竹梯子
(
たけばしご
)
を外して、二階の窓へ掛け渡した。そして、まるで夢遊病者のやうに、ひよろ/\と
梯子
(
はしご
)
を登つて行つた。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
おまんが
梯子
(
はしご
)
を降りて行ったあと、吉左衛門はまた土蔵の明り窓に近く行った。
鉄格子
(
てつごうし
)
を通してさし入る十一月の光線もあたりを柔らかに見せている。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「今きたばかりですよ。室内からの物音に、外から
梯子
(
はしご
)
をかけて、窓を叩きわって、窓の鍵を外して、とびこんできたのです。何事があったのですか」
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
つい
焦
(
じ
)
れつたくなると漢語調の歌をうたふのは、
代紋
(
かへもん
)
と稱して提燈や傘などにつける紋章に
梯子
(
はしご
)
の
印
(
しるし
)
を付け、自烈亭居士と號して狂歌などを詠んだ祖父
文学的自叙伝
(旧字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
“梯子”の解説
梯子(はしご、ていし、en: Ladder)とは、昇降のための道具。はしごに「梯」や「階子」の字をあてることもある。
壁の表面などに立てかけて使う固い材質(木・竹・金属など)で出来たものと、頂上から吊るして使う縄などでできたものがある。固い材質の梯子は移動して用いられることが多いが、建物の壁に永久的に固定されているものもある。鉄道車両においては緊急時に車両から脱出する場合に使用する。
(出典:Wikipedia)
梯
漢検準1級
部首:⽊
11画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
“梯子”で始まる語句
梯子段
梯子口
梯子酒
梯子乗
梯子登
梯子乘
梯子伝
梯子壇
梯子昇
梯子櫓