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有耶無耶
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うやむや
ふりがな文庫
“
有耶無耶
(
うやむや
)” の例文
ところがまだ越前へ移らぬうちに秀吉が死に代つて政務を見るやうになつた家康のはからひで移封は
有耶無耶
(
うやむや
)
に立消えてしまつた。
家康
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
有耶無耶
(
うやむや
)
の内は、夢だろうぐらいで私も我慢をしましたけれども、そうどうも手首へ極印を打たれちゃあ辛抱がなりません。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
胡地
(
こち
)
にあって単于と刺違えたのでは、
匈奴
(
きょうど
)
は
己
(
おのれ
)
の不名誉を
有耶無耶
(
うやむや
)
のうちに葬ってしまうこと
必定
(
ひつじょう
)
ゆえ、おそらく漢に聞こえることはあるまい。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
つまり若林の立場としては、
否
(
いや
)
でも
応
(
おう
)
でも、この事件の真犯人を
有耶無耶
(
うやむや
)
に葬り去る事が、どうしても出来ない立場におるのだ。……
然
(
しか
)
るにだ。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
が、
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も、その日は
有耶無耶
(
うやむや
)
で済んで了った。無論、一度位では駄目だ。Tの計画では、幾度も、幾度もそれを続けてやって見る
積
(
つも
)
りだった。
一人二役
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
▼ もっと見る
結局、
塚原渋柿園
(
つかはらじゅうしえん
)
氏らも口を利いて、この事件もまず
有耶無耶
(
うやむや
)
に納まったが、その以来、桜痴居士は『日日新聞』紙上に筆を執らないようになった。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
、警察へは引張られずにすみ、事件は、それ何とかいいますねえ、そうそう「迷宮入り」ですか、まったく、
有耶無耶
(
うやむや
)
にすんでしまいましたよ。
按摩
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
行ってよろしいともいわず、行ってはならぬともいわず、
有耶無耶
(
うやむや
)
のうちに到頭無理やりに父の承諾を得た時は、どんなに躍り上がったか知れません。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
静かな庭に、松の影が落ちる、遠くの海は、空の光りに
応
(
こた
)
うるがごとく、応えざるがごとく、
有耶無耶
(
うやむや
)
のうちに
微
(
かす
)
かなる、
耀
(
かがや
)
きを放つ。
漁火
(
いさりび
)
は明滅す。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
くくられとる。向こうは長びかせといて、
有耶無耶
(
うやむや
)
にしてしまおうという考えじゃ。その作戦に引っかかっとる
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
昨日は水の面をはつて一望をたゞ
有耶無耶
(
うやむや
)
の中に埋めた霧が、今朝はあとも無く晴れて、大湖を
繞
(
めぐ
)
る遠い山々の胸や腰のあたりに白雲が
搖曳
(
えうえい
)
してゐるばかりで
華厳滝
(旧字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
しかし、一旦、許可したのを、今さらむげに解散させるというわけにも参らぬので、事を
有耶無耶
(
うやむや
)
の中に葬ろうとして、どっちつかずの態度を取ることになった。
幕末維新懐古談:47 彫工会の成り立ちについて
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
而も二度の計畫とも、彼は祕密の裡に隱し
有耶無耶
(
うやむや
)
の裡に葬つてしまつてゐる! 結局私はメイスン氏がロチスター氏に對して服從的であるといふことを知つた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
平次はそんな事を考えると、このまま
有耶無耶
(
うやむや
)
にして、逃出してしまいたいような気になるのでした。
銭形平次捕物控:087 敵討果てて
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
こんなことをしているうちにすっかり春になり、雪の研究の第一年は
有耶無耶
(
うやむや
)
の中に過ぎてしまった。
雪
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
その為にどの山がそれであるかを判定するに充分なる証拠となる
可
(
べ
)
き資料が残っていないので、今まで深く論究されずに
有耶無耶
(
うやむや
)
の中に放棄されてしまった観がある。
後立山は鹿島槍ヶ岳に非ざる乎
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
況
(
いは
)
んや見合ひなどした際、どちらか一方が幻滅を感じたにも拘らず、当座の義理や体裁から、これを
有耶無耶
(
うやむや
)
に葬つて結婚するなどに至つては笑止の
極
(
きはみ
)
であると思ふ。
恋愛と夫婦愛とを混同しては不可ぬ
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「そうかて、今度は貞之助兄さん迄本家に附いてはるよって、
有耶無耶
(
うやむや
)
にしとく訳に行かんねんわ」
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
この場合に結果を都合のよいようにこじつけたり、あるいは
有耶無耶
(
うやむや
)
のうちに葬ったり、あるいは予期以外の結果を故意に回避したりするような傾向があってはならぬ。
物理学実験の教授について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
その縁談は、慶四郎の煮え切らない態度で
有耶無耶
(
うやむや
)
になりそのまま今度の事件になってしまった。
呼ばれし乙女
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
なかなかの人物で政治にも画策したため、陰謀の疑いをうけて永仁六年三月佐渡に流され、七月天皇も御譲位になったので、撰集の
沙汰
(
さた
)
は全く
有耶無耶
(
うやむや
)
に終ってしまった。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
口では、承諾の旨を答へなかつたけれども、
有耶無耶
(
うやむや
)
の裡に、預ることになつてしまつた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
その
有耶無耶
(
うやむや
)
になった
脳裡
(
のうり
)
に、なお
朧朦気
(
おぼろげ
)
に
見
(
み
)
た、
月
(
つき
)
の
光
(
ひかり
)
に
輝
(
てら
)
し
出
(
だ
)
されたる、
黒
(
くろ
)
い
影
(
かげ
)
のようなこの
室
(
へや
)
の
人々
(
ひとびと
)
こそ、
何年
(
なんねん
)
と
云
(
い
)
うことは
無
(
な
)
く、かかる
憂目
(
うきめ
)
に
遭
(
あ
)
わされつつありしかと
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
長い間一緒にいた女とも
有耶無耶
(
うやむや
)
に別れて了って、段々詰らん坊になり下っている癖に、またしても、女道楽でもあるまい、と、少しは見せしめの為にその銭は渡すこと相ならぬ
別れたる妻に送る手紙
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
これより先、道庵は、ちょっと買物をするつもりが、雲助を相手に、酒屋へ入るといい気持になり、うっかりその駕籠に乗せられて、
有耶無耶
(
うやむや
)
のうちにかつぎ出されてしまいました。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それに自分の一生を
賭
(
か
)
けるようなつもりでさえいたのに、気がついた時にはもういつの間にか二人は以前の習慣どおりの夫婦になっていて、何もかもが
有耶無耶
(
うやむや
)
になりそうになっている。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
一たん仰せ出された儀を、このまま
有耶無耶
(
うやむや
)
に過しては、あとあとの
御威令
(
ごいれい
)
にもかかわりましょう。父孝高の潔白と功に
鑑
(
かんが
)
み、松寿丸の打首は免じるが、然るべきよう子としても
証
(
あかし
)
を立てよ。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
有耶無耶
(
うやむや
)
に一団落ついて慶三は従前通り妾宅へ通っていたが、また十日ほども経った
或日
(
あるひ
)
のこと、午後に夕立が降りそこなったなり、風の沈んだ蒸暑い晩をば、慶三は宵から二階へしけこみ
夏すがた
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
今度こそ
有耶無耶
(
うやむや
)
では済まされず、何か動きの取れない条件がつくものだろうと思うと、今さら寂しかった。夫人がその背後にあって、
鍵
(
かぎ
)
を握っているということも、想像されなくはなかった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
何時
(
いつ
)
か
晝間
(
ひる
)
の
疲勞
(
つかれ
)
に二
時
(
じ
)
の
號鐘
(
がうしよう
)
を
聽
(
き
)
かぬ
内
(
うち
)
に
有耶無耶
(
うやむや
)
の
夢
(
ゆめ
)
に
落
(
お
)
ちた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
結婚したまま
有耶無耶
(
うやむや
)
に六年間舅の助手で過してしまいました。
「母の膝の上に」(紹介並短評)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
雲と
有耶無耶
(
うやむや
)
の境地に澄みかへれるは本栖湖にやあらむずらむ。
霧の不二、月の不二
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
衝動性の犯罪として
有耶無耶
(
うやむや
)
のうちに葬られてしまったのだよ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
有耶無耶
(
うやむや
)
の中にその不思議な心理を
抑塞
(
よくそく
)
した。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
ところがまだ越前へ移らぬうちに秀吉が死に代って政務を見るようになった家康のはからいで移封は
有耶無耶
(
うやむや
)
に立消えてしまった。
家康
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
ただ
空
(
むな
)
しく
有耶無耶
(
うやむや
)
としているもののように見える場合に云うので、極端にえらい人やえらくない人、大人物を装うものや負け惜しみの強い卑怯者
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
師匠を殺した相手がわからなければ格別、本人のお葉はもう自滅しているのだから、素知らぬ顔をして
有耶無耶
(
うやむや
)
に葬ってしまう積りであったらしいのです。
半七捕物帳:36 冬の金魚
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「この高貴な方へ手を入れるには、よほどの証拠固めをしてかからねばならぬ。調べれば調べるほど混沌として、半年たった今でもまだ
有耶無耶
(
うやむや
)
なのだよ!」
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
生きてあらんほどの自覚に、生きて受くべき
有耶無耶
(
うやむや
)
の
累
(
わずらい
)
を捨てたるは、雲の
岫
(
しゅう
)
を出で、空の朝な夕なを変わると同じく、すべての
拘泥
(
こうでい
)
を超絶したる活気である。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
有耶無耶
(
うやむや
)
に
葬
(
ほうむ
)
ってまたいつの
間
(
ま
)
にか平気な顔で佐助に
手曳
(
てび
)
きさせながら稽古に通っていたもうその時分彼女と佐助との関係はほとんど公然の秘密になっていたらしいそれを
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
口では、承諾の
旨
(
むね
)
を答えなかったけれども、
有耶無耶
(
うやむや
)
の
裡
(
うち
)
に、預ることになってしまった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
このまゝ
有耶無耶
(
うやむや
)
にして、私や弟達が乞食になつては、死んだ父親も浮び切れません。
銭形平次捕物控:072 買つた遺書
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
唯
(
ただ
)
その
有耶無耶
(
うやむや
)
であるために、男のあとを追いもならず、
生長
(
いきなが
)
らえる
効
(
かい
)
もないので。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それにもかかわらず、事件はきわめて不明朗な形で、
有耶無耶
(
うやむや
)
に葬り去られようとしていた。新之助が、吊り道具を切り落した下手人と睨んだ「作やん」は、当夜から、行方が知れない。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
或る場合は、被害者の方であきらめて警察へ届けなかったり、仮令警察沙汰になっても、指紋の発見まで行かぬ内に
有耶無耶
(
うやむや
)
に葬られて了ったり、
張合
(
はりあい
)
のない程楽々と泥棒が成功するのでした。
双生児:――ある死刑囚が教誨師にうちあけた話――
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
器量も気立ても
好
(
よ
)
かりそうだなど自分も考え、明らさまに断わりをいうわけにも行かず、
有耶無耶
(
うやむや
)
の間に日が
経
(
た
)
っております中に、その娘の人は、計らず、ふとした病気で亡くなってしまいました。
幕末維新懐古談:23 家内を貰った頃のはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
それもつい云いそびれて
有耶無耶
(
うやむや
)
にしてしまったか分からない。
菜穂子
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
そこで、結局、あれもこれも、
有耶無耶
(
うやむや
)
です。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
天帝のあはれみ給ふところと喜んでごまかして、
有耶無耶
(
うやむや
)
のうちに戦争が終つて、私は幸ひブン殴られずに済んだのである。
ぐうたら戦記
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
そんな奴が幾らかの鼻楽を貰って、お鎌に手を貸してたんじゃあないかとも思われますが、甚右衛門の顔に免じて、そこはまあ
有耶無耶
(
うやむや
)
にしてしまいました
半七捕物帳:46 十五夜御用心
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
有
常用漢字
小3
部首:⽉
6画
耶
漢検準1級
部首:⽿
9画
無
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
耶
漢検準1級
部首:⽿
9画
“有耶無耶”で始まる語句
有耶無耶道人著