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ふりかえ
ふりがな文庫
“
振返
(
ふりかえ
)” の例文
プロムナアド・デッキの
手摺
(
てすり
)
に
凭
(
よ
)
りかかって海に
唾
(
つば
)
を
吐
(
は
)
いていると、うしろから
肩
(
かた
)
を
叩
(
たた
)
かれ、
振返
(
ふりかえ
)
ると
丸坊主
(
まるぼうず
)
になりたての柴山でした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
けたたましき
跫音
(
あしおと
)
して
鷲掴
(
わしづかみ
)
に
襟
(
えり
)
を
掴
(
つか
)
むものあり。あなやと
振返
(
ふりかえ
)
ればわが
家
(
いえ
)
の
後見
(
うしろみ
)
せる
奈四郎
(
なしろう
)
といへる
力
(
ちから
)
逞
(
たく
)
ましき叔父の、
凄
(
すさ
)
まじき
気色
(
けしき
)
して
竜潭譚
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
吃驚
(
びっくり
)
して
振返
(
ふりかえ
)
ると、雪江さんがキャッキャッといいながら、逃げて行くしどけない後姿が見える。私は思わず
莞爾
(
にっこ
)
となる。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
先刻
(
さっき
)
チラと
振返
(
ふりかえ
)
った繁代の顔には、昨夜とは又違った、深刻な悩みのあったのを、半十郎は見のがさなかったのです。
江戸の火術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「鴨田さん」帆村は背後を
振返
(
ふりかえ
)
った。「ニシキヘビには
山羊
(
やぎ
)
を喰べさせるそうですが、何日位で消化しますか」
爬虫館事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
船長は嘲るように肩を
竦
(
すく
)
め、
振返
(
ふりかえ
)
って出発を命じた。——伊藤次郎は霧の
彼方
(
かなた
)
へ消えて行く漁船を見送りながら、変にぞくぞくと背筋の寒くなるのを覚えた。
流血船西へ行く
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
叩きおりしがお登和嬢
振返
(
ふりかえ
)
りて思わず言葉をかけ「大原さん、それでは叩き
潰
(
つぶ
)
すのです、叩くだけにして下さい」大原「ハイハイ
畏
(
かしこま
)
りました」とお登和嬢に口を
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
振返
(
ふりかえ
)
れば
胸
(
むね
)
に
光
(
ひか
)
る
徽章
(
きしょう
)
やら、
勲章
(
くんしょう
)
やらを
下
(
さ
)
げた
男
(
おとこ
)
が、ニヤリとばかり
片眼
(
かため
)
をパチパチと、
自分
(
じぶん
)
を
見
(
み
)
て
笑
(
わら
)
う。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
わたしのしかけた最初の動作は、
逃
(
に
)
げ出すことだった。『父は
振返
(
ふりかえ
)
るかもしれない』と、わたしは考えた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
その
断崖
(
だんがい
)
から
半
(
なか
)
ば宙に乗出した危石の上につかつかと老人は駈上り、
振返
(
ふりかえ
)
って紀昌に言う。どうじゃ。この石の上で先刻の業を今一度見せてくれぬか。今更
引込
(
ひっこみ
)
もならぬ。
名人伝
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
お葉は
其
(
その
)
姿を見ると共に、
有合
(
ありあ
)
う小石を拾って投げ付けると、
礫
(
つぶて
)
は飛んで市郎の
袂
(
たもと
)
に触れた。
振返
(
ふりかえ
)
ると門前にはお葉が立っている、
加之
(
しか
)
も
笑
(
えみ
)
を含んで
小手招
(
こてまね
)
ぎをしている。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
こうして来たのだといいながら、ふと
後
(
うしろ
)
を
振返
(
ふりかえ
)
って見ると、
出水
(
しゅっすい
)
どころか、道もからからに乾いて、橋の上も、
平時
(
いつも
)
と少しも変りがない、おやッ、こいつは一番やられたわいと
今戸狐
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
そうとは
知
(
しら
)
ぬ小歌はふいと立て廊下へ出たが、その時広間からも
芸妓
(
げいしゃ
)
が出て来て、一人かえと云たのは明かに聞えたが、えと
振返
(
ふりかえ
)
った小歌が眉を寄たのは障子が隔てゝ見えなかった。
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
源三はすたすたと歩いていたが、ちょうどこの時虫が知らせでもしたようにふと
振返
(
ふりかえ
)
って見た。
途端
(
とたん
)
に罪の無い笑は二人の面に
溢
(
あふ
)
れて、そして娘の
歩
(
あし
)
は少し
疾
(
はや
)
くなり、源三の
歩
(
あし
)
は
大
(
おおい
)
に
遅
(
おそ
)
くなった。
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
娘は
柴折戸
(
しおりど
)
のところへ来ると今雨戸のところに立って見送っていた、私の方を
振返
(
ふりかえ
)
って、
莞爾
(
にっこり
)
と挨拶したが、それなりに、
掻消
(
かきけ
)
す如くに
中門
(
ちゅうもん
)
の方へ出て行ってしまった、この
後
(
のち
)
は別に来なかったから
雪の透く袖
(新字新仮名)
/
鈴木鼓村
(著)
振返
(
ふりかえ
)
って薬売りを流し眼に見て
糸繰沼
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
私は幾度も幾度も
振返
(
ふりかえ
)
った。
木曾川
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
(お前達は
生意気
(
なまいき
)
だよ、)と激しくいいさま、腋の下から
覗
(
のぞ
)
こうとした
件
(
くだん
)
の動物の
天窓
(
あたま
)
を
振返
(
ふりかえ
)
りさまにくらわしたで。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
振返
(
ふりかえ
)
ると
熱柿
(
じゅくし
)
みたいな
臭
(
にお
)
いをぷんぷんさせたN子です。「聞いたわよ、坂本さん、船のなかで女のひとと
凄
(
すご
)
かったんですッてねエ」「ああ」とぼくは素直です。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
更に山の方を
振返
(
ふりかえ
)
って見ると、
三方崩
(
さんぽうくず
)
れの
彼方
(
あなた
)
から不思議な形の
黒雲
(
くろくも
)
が
勃々
(
むくむく
)
と湧き出して来た。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
志津子は
屹
(
きっ
)
と
振返
(
ふりかえ
)
った。——高野千之は苦笑しながら
海浜荘の殺人
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
対手
(
あいて
)
は
振返
(
ふりかえ
)
って
屹
(
きっ
)
と
此方
(
こっち
)
を
視
(
み
)
たが、
生憎
(
あいにく
)
に月を
背後
(
うしろ
)
にしているので
其
(
その
)
顔は
能
(
よ
)
く判らなかった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「何の用だね」倉持教師が
振返
(
ふりかえ
)
って
訊
(
き
)
いた。
黒襟飾組の魔手
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
愕然
(
がくぜん
)
として
振返
(
ふりかえ
)
った。
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
みどりは電話を切って母の方へ
振返
(
ふりかえ
)
った。
亡霊ホテル
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
可懐
(
なつかし
)
さに
振返
(
ふりかえ
)
ると
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
五郎は
振返
(
ふりかえ
)
って涙と共に云った。
劇団「笑う妖魔」
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
振
常用漢字
中学
部首:⼿
10画
返
常用漢字
小3
部首:⾡
7画
“振”で始まる語句
振
振舞
振袖
振向
振顧
振分
振廻
振子
振翳
振切