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愛娘
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まなむすめ
ふりがな文庫
“
愛娘
(
まなむすめ
)” の例文
養家の義父は病床につき、
許嫁
(
いいなずけ
)
の
愛娘
(
まなむすめ
)
は、生涯の女の不幸を約されてしまった。——そのほかの罪は、数えれば
限
(
き
)
りもないくらいだ。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
殺された一宮かおるは、××女学校の校長の
愛娘
(
まなむすめ
)
だったのであるが、教育家の家庭から不良児の出るのは、珍らしいことではない。
省線電車の射撃手
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
佐奈屋
(
さなや
)
といふのは、本所で指折の酒屋で、主人源之助は土地で顏を賣つた男、娘のお光は十六になつたばかり、
簪
(
かんざし
)
の花のやうな
愛娘
(
まなむすめ
)
でした。
銭形平次捕物控:310 闇に飛ぶ箭
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
そして、
愛娘
(
まなむすめ
)
のその楽しげな姿を、噴泉の向う岸を逍遥しつつ、老エフィゲニウスが、これもまたさも楽しそうに微笑みながら眺めているのです。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
この不幸中の幸ともいうべきは
愛娘
(
まなむすめ
)
のお露が、その時寺島村の寮へ乳母と共に出養生に来ていたことと、虫の報せとでもいうのか、死んだ叶屋の主人が
釘抜藤吉捕物覚書:07 怪談抜地獄
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
かりにただ一人の
愛娘
(
まなむすめ
)
などを失うた淋しさは忍びがたくとも、同時にこれによって家の
貴
(
とうと
)
さ、血の清さを証明しえたのみならず、さらにまた
眷属
(
けんぞく
)
郷党
(
きょうとう
)
の信仰を
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
もっとも一人の
愛娘
(
まなむすめ
)
の芳江姫の
教育
(
しつけかた
)
をこの老師に託してあったところから、日昼数百人に警護されて吟味所へ輿で来るようなことは一再ならずあった事はあったが。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その中でただ一人、恐れ気もなくその枕もとに坐りつづけているのは、彼が
愛娘
(
まなむすめ
)
の小坂部であった。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
貴族院議員の
愛娘
(
まなむすめ
)
とて、最も
不器量
(
ふきりよう
)
を
極
(
きは
)
めて
遺憾
(
いかん
)
なしと見えたるが、最も
綺羅
(
きら
)
を飾りて、その
起肩
(
いかりがた
)
に
紋御召
(
もんおめし
)
の
三枚襲
(
さんまいがさね
)
を
被
(
かつ
)
ぎて、帯は
紫根
(
しこん
)
の
七糸
(
しちん
)
に
百合
(
ゆり
)
の
折枝
(
をりえだ
)
を
縒金
(
よりきん
)
の
盛上
(
もりあげ
)
にしたる
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
その事を聞くと、自分の
愛娘
(
まなむすめ
)
をそうして京へ出立させて、いよいよ寂しくなられたその御方のお心の中はまあどんなであろうかと、それからそれへと尽きせずお思いやりしていたが
ほととぎす
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
最近死んだ父の
愛娘
(
まなむすめ
)
であった彼女の花々しかった結婚式、かつての恋なかであり、その時の媒介者であった彼女の
従兄
(
いとこ
)
の代議士と母と新郎の松川と一緒に、初めて落ち着いた松川の家庭が
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
お通がこの
家
(
や
)
の
愛娘
(
まなむすめ
)
として、
室
(
へや
)
を隔てながら家を整したりし頃、いまだ近藤に嫁がざりし以前には、謙三郎の用ありて、お通に
見
(
まみ
)
えんと欲することあるごとに、今しも渠がなしたるごとく
琵琶伝
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
古風作者
(
こふうさくしゃ
)
の
書
(
かき
)
そうな話し、
味噌越
(
みそこし
)
提げて買物あるきせしあのお
辰
(
たつ
)
が雲の
上人
(
うえびと
)
岩沼
(
いわぬま
)
子爵
(
ししゃく
)
様
(
さま
)
の
愛娘
(
まなむすめ
)
と
聞
(
きい
)
て吉兵衛仰天し、
扨
(
さて
)
こそ神も仏も御座る世じゃ、因果
覿面
(
てきめん
)
地ならしのよい所に
蘿蔔
(
だいこ
)
は太りて
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
しかし、愛された父法主は
逝
(
ゆ
)
き、新門跡は印度にいてまだ帰らず、ここで、木のぼりをしても叱られないでお
猿
(
さる
)
さんと愛称された
愛娘
(
まなむすめ
)
に、目に見えない生活の一転期があったことを、
見逃
(
みのが
)
せない。
九条武子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
爺さんの質問にお浜は
殆
(
ほと
)
んど満足な答をすることがない。しかし、爺さんはこうしてお浜と無駄口をたたいているだけで、まるでほんとうの
愛娘
(
まなむすめ
)
とむつみあっているように、心が楽しいのである。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
和
(
やわ
)
らかく
贅沢
(
ぜいたく
)
な
褥
(
しとね
)
につつまれて、しんなりとした肉体を横たえ、母親こそとうに世を去ったが、
愛娘
(
まなむすめ
)
への愛には目のない、三斎はじめ、老女、女中の、隙間もない
慈
(
いつく
)
しみの
介抱
(
かいほう
)
を受けながら、その
癖
(
くせ
)
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
アドレーストスの
愛娘
(
まなむすめ
)
、*アイギアレーアいたく泣き
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
「
董
(
とう
)
将軍。まずよく防ぎ、よく戦い、賊兵を追ッぱらって、宋江の首を持って来給え。それを
聟引出
(
むこひきで
)
として、君にわしの
愛娘
(
まなむすめ
)
をやろうじゃないか」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
大総督の、も一つの痛手は、彼の
愛娘
(
まなむすめ
)
のトマト姫が、イネ建国軍のため、いつの間にか、トマト姫と同じ顔の人造人間に換えられていたことだった。
二、〇〇〇年戦争
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
二を争う富裕な美術商の
愛娘
(
まなむすめ
)
だったそうですから、もともとこういう相手に恋するなぞということが当人としては釣り合いの取れぬ間違いの元だったのでしょうが
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
比夜叉という池の名も、もとはおそろしい池の主がいた為らしいのですが、
美濃
(
みの
)
の夜叉池の方でも、やはりそれを大蛇に嫁入りした長者の
愛娘
(
まなむすめ
)
の名であったようにいっています。
日本の伝説
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
聲は少しうるんだ甘さで、
身扮
(
みなり
)
は綱田屋の
愛娘
(
まなむすめ
)
といふにしては、清楚に過ぎるくらゐ。窓
框
(
わく
)
に掛けた手——眞珠色の小さい指で、——ほのかに顫へるのもいぢらしくもありました。
銭形平次捕物控:220 猿蟹合戦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
鴉のように黒い髪をこのごろ流行る茶屋辻模様の
練絹
(
ねりぎぬ
)
の小袖の肩にこぼしている姿は、然るべき
公家
(
くげ
)
か、武家の息女か、おそらく世に時めく武家の
愛娘
(
まなむすめ
)
であろうと、兼好はひそかに判断した。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
荒
(
あら
)
い
風
(
かぜ
)
を
厭
(
いと
)
うて
育
(
そだ
)
てられた
極
(
きは
)
めて
多幸
(
たかう
)
な
愛娘
(
まなむすめ
)
である。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
川長の
愛娘
(
まなむすめ
)
で、
縹緻
(
きりょう
)
のよさも
優
(
すぐ
)
れながら、お米に一ツの不幸がある。
癆咳
(
ろうがい
)
という
病
(
やまい
)
の
呪
(
のろ
)
い——いわゆる肺が悪かった。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その原因は誰にも分りすぎるほど分っていた。それはかの帯刀の
愛娘
(
まなむすめ
)
お
妙
(
たえ
)
に失恋したためだった。
くろがね天狗
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
遠州
榛原
(
はいばら
)
郡金谷宿の言伝えに、昔この地に住みし長者
愛娘
(
まなむすめ
)
を某池の大蛇に取られ
憤恨
(
ふんこん
)
に堪えず、多くの蹈鞴師を呼び寄せて一時に銕を湯に
熔
(
と
)
かしてその池に注いだ(河村多賀造氏談)。
地名の研究
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
齢すでに七十に
垂
(
なんな
)
んとして、最近までこの国最高の政務を司り、夫人を
亡
(
うしな
)
ってからは
愛娘
(
まなむすめ
)
一人の成育を楽しみに孤高な一生を送ってきた老政治家が、今その
掌
(
て
)
の内の
珠
(
たま
)
を失った悲しみは
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
この訴訟には師直も案外らしい眼を
睜
(
みは
)
ったが、相手は自分の
愛娘
(
まなむすめ
)
である。
小坂部姫
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
またあなたへ自身の
愛娘
(
まなむすめ
)
を
娶
(
めあわ
)
せたのも、深い下心あればこそで、その本心は、袁尚を亡ぼして後、冀北全州をわが物とせん遠計にちがいありません。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
まだ幼い
愛娘
(
まなむすめ
)
があり、その娘の重病に、燕の黒焼をあたえればよいと人にきかされて、親心からつい禁を犯し、この酷刑をうけたものということだったので
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いったいこれが何の罪になるかよっ! 往来人に一つ聞きてえものだ! しかもだ、その相談というのは、この館の
愛娘
(
まなむすめ
)
と、さる坊主との間に
忌
(
いま
)
わしい噂が立っている。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……お察しくださいませ、ひとつぶの
愛娘
(
まなむすめ
)
、恋をかなえてやりたいのは山々で、しかも、短命な遺伝のある娘、恋はかなえてやりがたい事が、初めから分っているのでございます
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
老人の顔には、ひとりの
愛娘
(
まなむすめ
)
を思いやる愛着と怒りとが、抑えがたなく見られます。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「……じつは」と打ち明けるのを聞いてみると、今夜は
愛娘
(
まなむすめ
)
の婚礼の晩だという。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「妻女の
厳氏
(
げんし
)
が生んだ
愛娘
(
まなむすめ
)
だというはなしですから、なお、都合がいいのです」
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
狂喜したのは
千蛾
(
せんが
)
老人です。オオ、オオ。ただそう言いつつ部屋へ連れこんで
愛娘
(
まなむすめ
)
の手に涙をこぼす。居ならぶ郷士たちもその劇的な場面を見まもって共々に涙ぐましい情感にうたれました。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また大番組のうちでもわけて実直家な富武
五百之進
(
いおのしん
)
の
愛娘
(
まなむすめ
)
ではないか。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あの経明の住んでいる
池守小舎
(
いけもりごや
)
のうちで、幾たびとなく、会っていた。——
愛娘
(
まなむすめ
)
の桔梗どの可愛さに、あわれ、野霜の翁も、子ゆえに迷う夜の鶴という
諺
(
ことわざ
)
どおり、何かにつけて、おれを訪ねて来る
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そちにも、
寧子
(
ねね
)
とやらいう
愛娘
(
まなむすめ
)
があるそうじゃが、子どもは一人か」
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
愛
常用漢字
小4
部首:⼼
13画
娘
常用漢字
中学
部首:⼥
10画
“愛”で始まる語句
愛
愛嬌
愛想
愛撫
愛宕
愛惜
愛宕山
愛相
愛憎
愛敬