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じょうあい
ふりがな文庫
“
情合
(
じょうあい
)” の例文
疑いの
塊
(
かたま
)
りをその日その日の
情合
(
じょうあい
)
で包んで、そっと胸の奥にしまっておいた奥さんは、その晩その包みの中を私の前で開けて見せた。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
又「困る訳はない、
宜
(
よ
)
いじゃアないか、えゝ
只
(
たっ
)
た一度でもお前
私
(
わし
)
の云う事を聴いて呉れたら、お前の為には
何
(
ど
)
の
様
(
よう
)
にも
情合
(
じょうあい
)
を尽そうと思うて居る」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
去年の秋であった、長塚と予と折よく会合した時に先生から長塚にやった歌は、よく両者の
情合
(
じょうあい
)
を尽くしている。
正岡子規君
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
そうではない、土地の歌は土地の人の口から聞かねば
情合
(
じょうあい
)
がない、あの、甲州出がけのという歌、あれを
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ものすることいと
訝
(
いぶか
)
しきに似たりと
雖
(
いえど
)
もまた
退
(
しりぞ
)
いて考うれば
単
(
ひとえ
)
に
叟
(
おじ
)
の
述
(
のぶ
)
る所の深く人情の
髄
(
ずい
)
を
穿
(
うが
)
ちてよく
情合
(
じょうあい
)
を写せばなるべくたゞ人情の
皮相
(
ひそう
)
を写して死したるが如き文を
怪談牡丹灯籠:01 序
(新字新仮名)
/
坪内逍遥
(著)
▼ もっと見る
兄というのは四十近い、
肥
(
ふと
)
った
顎髭
(
あごひげ
)
の沢山にある脊の低い男で大工である。いつも笑顔をしているが、これで弟などには
情合
(
じょうあい
)
が薄いと聞いていた——彼の母親は見つからない。
黄色い晩
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
情合
(
じょうあい
)
と当惑とが半々にまじったような微笑をちらりと浮べ、これは
摩訶不思議
(
まかふしぎ
)
なことだからうっかりした事は言えぬとでもいったふうに、声を低めるのが常だったそうである。
チェーホフ序説:――一つの反措定として――
(新字新仮名)
/
神西清
(著)
「お前様の前だがの、女が通ると、ひとりで孕むなぞと、うそにも女の身になったらどうだんべいなす、聞かねえ分で居さっせえまし。優しげな、
情合
(
じょうあい
)
の深い、旦那、お前様だ。」
灯明之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
通人の話に、道楽の初は唯
色
(
いろ
)
を
漁
(
ぎょ
)
する、
膏肓
(
こうこう
)
に
入
(
い
)
ると、段々贅沢になって、唯
色
(
いろ
)
を
漁
(
ぎょ
)
するのでは面白くなくなる、惚れたとか
腫
(
は
)
れたとか、
情合
(
じょうあい
)
で異性と
絡
(
から
)
んで、唯の
漁色
(
ぎょしょく
)
に
趣
(
おもむき
)
を添えたくなると云う。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
又は総軍の
鹿島立
(
かしまだち
)
に
馬蹄
(
ばてい
)
の音高く朝霧を
蹴
(
け
)
って勇ましく進むにも刀の
鐺
(
こじり
)
引
(
ひ
)
かるゝように心たゆたいしが、一封の
手簡
(
てがみ
)
書く間もなきいそがしき中、次第に去る者の
疎
(
うと
)
くなりしも
情合
(
じょうあい
)
の薄いからではなし
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「しかしそんな事を忘れるはずがないんだから、ことによると始めからその人に対してだけは、恩義相応の
情合
(
じょうあい
)
が欠けていたのかも知れない」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
賤「お前さんにも話をした深川櫓下の花屋の、それね……お前さんの様な親子の
情合
(
じょうあい
)
のない人はないけれ共能くまア後悔してお比丘におなりだね」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「ホホホ、こう歌いますと、なんとなく
情合
(
じょうあい
)
が
籠
(
こも
)
っているようでござんすけれど、この
替歌
(
かえうた
)
に……」
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
いくら御常から
可愛
(
かあい
)
がられても、それに
酬
(
むく
)
いるだけの
情合
(
じょうあい
)
がこっちに出て
来
(
き
)
得
(
え
)
ないような醜いものを、彼女は彼女の人格の
中
(
うち
)
に
蔵
(
かく
)
していたのである。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
障子の内で聞く鹽原角右衞門も堪え兼る親子の
情合
(
じょうあい
)
、思わず膝へはら/\と涙を落しましたが、
流石
(
さすが
)
に武家魂は違ったもの、
屹
(
きっ
)
と思い返して声を
荒
(
あら
)
らげ
塩原多助一代記
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
永「そうかねえ、苦労の果じゃがら万事に届く訳じゃのう、でも
内儀
(
かみ
)
さんと真実
思合
(
おもいお
)
うての中じゃから、斯うして此の山の中に住んで居るとは、
情合
(
じょうあい
)
だね」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私はほとんど父のすべても知り
尽
(
つく
)
していた。もし父を離れるとすれば、
情合
(
じょうあい
)
の上に親子の心残りがあるだけであった。先生の多くはまだ私に
解
(
わか
)
っていなかった。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
身寄でも親類でもねえが
其処
(
そこ
)
ア
情合
(
じょうあい
)
だ、己は遊んで歩くから、家はまるで留守じゃアあるし、お前此処に居て留守居をして荒物や駄菓子でも
并
(
なら
)
べて居りゃア
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
兄はただ手前勝手な男で、暇があればぶらぶらして細君と遊んでばかりいて、いっこう頼りにも力にもなってくれない、真底は
情合
(
じょうあい
)
に薄い人だぐらいに考えていた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
同じ取るなら娘の気に入った聟を取って、
初孫
(
ういまご
)
の顔を見たいと云うのが親の
情合
(
じょうあい
)
じゃアねえか、娘が
強
(
た
)
って
彼
(
あれ
)
でなければならないといえば、私には気に入らんでも
闇夜の梅
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
前
(
ぜん
)
申す通り自分は初さんの顔を見た。すると、
下
(
お
)
りようじゃないかと云う親密な
情合
(
じょうあい
)
も見えない。下りなくっちゃ御前のためにならないと云う忠告の意も見えない。
坑夫
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
どんなに堅いお方でも
其処
(
そこ
)
は
男女
(
なんにょ
)
の
情合
(
じょうあい
)
で、毛もくじゃらの男でも、
寝惚
(
ねぼけ
)
れば
滑
(
すべ
)
っこい手足などが肌に触れゝば気の変るもの、なれども山之助お繼は互に大事を祈る者
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
情合
(
じょうあい
)
のない事
夥
(
おびた
)
だしいものだ。そんなら立つ前にもう一遍こっちから
暇乞
(
いとまごい
)
に行くよ、いいかい」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ところが親爺の腹のなかでは、それが全く
反対
(
あべこべ
)
に解釈されてしまった。何をしようと血肉の親子である。子が親に対する
天賦
(
てんぷ
)
の
情合
(
じょうあい
)
が、子を取扱う方法の
如何
(
いかん
)
に
因
(
よ
)
って変る
筈
(
はず
)
がない。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
久「えゝ…股へ
蛭
(
ひる
)
の吸付いたと同様お前の側を離れ申さず
候
(
そろ
)
、と
情合
(
じょうあい
)
だから書けよ」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
いつも行って馳走になって
小遣
(
こづけえ
)
貰って
帰
(
けえ
)
るべえ能でもねえじゃアねえか、
何卒
(
どうか
)
己も
偶
(
たま
)
にア
旨
(
うめ
)
え物でも買って行って、お賤に食わしてえって、
其処
(
そこ
)
はソレ
情合
(
じょうあい
)
だからそんな事を云ったゞが
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と云われた。自分を詩の分る方の仲間へ入れてくれたのははなはだありがたいが、その割合には取扱がすこぶる冷淡である。自分はこの先生においていまだ
情合
(
じょうあい
)
というものを認めた事がない。
永日小品
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
子の親を思う
情合
(
じょうあい
)
ですから、嬢様のお心もお察し申して段々お尋ね申した処、秋田穗庵とか云う医者が真珠の入った薬なれば癒るが、それをあげるには四十金
前金
(
まえきん
)
によこせと申したそうで
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「
嘘
(
うそ
)
を仰しゃい。貴夫には女房や子供に対する
情合
(
じょうあい
)
が欠けているんですよ」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
奉「恒太郎其の方父清兵衞儀、
永々
(
なが/\
)
長二郎を世話いたし、此の度の一件に付長二郎
平生
(
へいせい
)
の所業心懸
等
(
とう
)
逐一申立てたるに付、
上
(
かみ
)
の御都合にも相成り、
且
(
かつ
)
師弟の
情合
(
じょうあい
)
厚き段神妙の至り誉め置くぞ」
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
アレマアわれさえ云わなければ知れる
気遣
(
きづけ
)
えはねえ、われが
心配
(
しんぺい
)
だというもんだから、お前さまの前へ隠していたんだ、夫婦の
情合
(
じょうあい
)
だから、云ったらお
前
(
めえ
)
も
余
(
あんま
)
り心持も
好
(
よ
)
くあんめえと思ったゞが
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あの位な
情合
(
じょうあい
)
のある男はないと私は実に感心をしております
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
情
常用漢字
小5
部首:⼼
11画
合
常用漢字
小2
部首:⼝
6画
“情”で始まる語句
情
情夫
情婦
情人
情誼
情緒
情事
情景
情死
情無