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あたりまえ
ふりがな文庫
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当前
(
あたりまえ
)” の例文
旧字:
當前
彼等の顔は
当前
(
あたりまえ
)
の人間の顔ではないのである。今まで見た、普通の女とは違って、皆一種の stereotype な顔をしている。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
学位のある、立派な男が、大切な嫁を
娶
(
と
)
るのだ。念を入れんでどうするものか。
検
(
しら
)
べるのは
当前
(
あたりまえ
)
だ。芸者を
媽々
(
かかあ
)
にするんじゃない。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
若旦那さまに幾ら辛くされようとも、
旧
(
もと
)
の身分を考えれば何も云う処はございません、それは男の楽しみゆえ一人や二人
情婦
(
おんな
)
の有るは
当前
(
あたりまえ
)
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかも彼らは彼らの生活が
当前
(
あたりまえ
)
の生活だと無造作に考えて、もし彼ら以外の生活を生きようとする人があればふしぎに感じながら嘲笑する。
語られざる哲学
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
こんな心配があっては飛山君の出来が悪くなるのは
当前
(
あたりまえ
)
だ。そんな事で、村の人はきっと飛山君を排斥しているに違いない。
贋紙幣事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
▼ もっと見る
それは趣味の広い人であるから、面白味を感ずる区域が、人よりも広いは
当前
(
あたりまえ
)
ではあれど、随分意外に思うことも多かった。
竹乃里人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「その子は水生だね。五番目かえ。みんなうぶだから
懼
(
こわ
)
がるのは
当前
(
あたりまえ
)
だよ。宏兒がちょうどいい相手だ。さあお前さん達は向うへ行ってお遊び」
故郷
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
今の真宗坊主が毛を少し
延
(
の
)
ばして
当前
(
あたりまえ
)
の断髪の真似をするような
訳
(
わ
)
けで、内実の医者坊主が半髪になって刀を
挟
(
さ
)
して
威張
(
いば
)
るのを嬉しがって居る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
……手前の
不吉
(
いや
)
な
前科
(
こうら
)
も知らねえでノメノメとこの船へ押しかけて来やがったのが癪に
触
(
さわ
)
るんで……遠慮しやがるのが
当前
(
あたりまえ
)
だのに……ねえ……親方……
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
大将でも少将でも、先に生れたものが先に死ぬのは
当前
(
あたりまえ
)
のことである。しかし時には何かの間違いで、ずっと少壮の後輩がポックリ逝く。
然
(
そ
)
ういう折には
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
女給には恋人の二人や三人あるくらいの事は
当前
(
あたりまえ
)
だと思っているらしいので、千代田家の裏二階へ通ると、すぐさま今夜の始末をそのまま打明けてしまった。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「でも東風さんは大変真面目なんですよ。自分じゃ、あんな事をするのが
当前
(
あたりまえ
)
だとまで思ってるんですもの」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
必ず逃る丈の悪い事が有る
柄
(
から
)
です、既に悪い事があれば恨まれるのは
当前
(
あたりまえ
)
です、自分でさえ悪いと思って逃出す程の事柄を先方が恨まぬ筈は有ません(荻)
夫
(
それ
)
は
爾
(
そう
)
だ
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
単に
当前
(
あたりまえ
)
のことのごとくに感ずるものであるが、広く世間を見渡せば、昼間立派に目の覚めておるときにも、きわめて不合理なことを平気で信じている人もはなはだ多い。
脳髄の進化
(新字新仮名)
/
丘浅次郎
(著)
拾ったでしょう。
他人
(
ひと
)
の者を拾ったら直ぐ私の所へ持て出るのが
当前
(
あたりまえ
)
だのにそれを自分の者に
為
(
す
)
るということは盗んだも同じことで、
甚
(
はなは
)
だ善くないことですよ。その鉛筆を
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
それを説明された一般の人は、特に
天邪鬼
(
あまのじゃく
)
でない限りは、一層安心するのが
当前
(
あたりまえ
)
である。
地球の円い話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
釈迦と同じ日に
当前
(
あたりまえ
)
の凡夫も生れる、という世間の事実を捉えたものであろう。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
「
当前
(
あたりまえ
)
サ……何故今また僕の事を明治年代の丹治即ち意久地なしと云ッた」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「なあに君、旅へ出りゃお互いさ。ここの宿の奴らあ
食詰者
(
くいつめもの
)
ばかりでお話にゃならねえが、私ども世間師仲間じゃ
当前
(
あたりまえ
)
のことだ。お互いに困りゃ助け合う、旅から旅へ渡り歩く者のそれが人情さ。」
世間師
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
だが、いくら愛し合っていたところで、彼奴は、
当前
(
あたりまえ
)
の人間ではないのだ。恐ろしいラスト・マアダラアなのだ。彼として見れば、いとしければこそ、その人の
生血
(
いきち
)
がすすりたいのかも知れぬのだ。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
面白くなく日をお暮しになるのは
当前
(
あたりまえ
)
だ。11260
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「
当前
(
あたりまえ
)
さ、帆で屋根が張ってあるから大丈夫だ」
悪因縁の怨
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
「
当前
(
あたりまえ
)
です、学校の用を欠いて、そんな
他愛
(
たわい
)
もない事にかかり合っていられるもんかい。休暇になったから運動かたがた来て見たんだ。」
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
庄「そうでないて事よ、
往
(
い
)
きなよ、お
前
(
めえ
)
もお
母様
(
っかさん
)
のお墓参りに往くのなら、紋付の着物であらたまって、香花を手向るのが
当前
(
あたりまえ
)
じゃねえか」
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
僕は子供ながら、二人の様子が
当前
(
あたりまえ
)
でないのが分って、異様に感じた。見れば開けてある本には、綺麗に彩色がしてある。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
人間が人間
当前
(
あたりまえ
)
の仕事をして居るに何も不思議はない、車屋は車を
挽
(
ひ
)
き豆腐屋は豆腐を
拵
(
こしら
)
えて書生は書を読むと云うのは人間
当前
(
あたりまえ
)
の仕事として居るのだ
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
意に充たないところの出てくるは、普通のことで
当前
(
あたりまえ
)
の理屈である、どんな偉人の事業でも決して免るることの出来ないものであろう、独り子規子の事業に
竹乃里人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「お前などは百も二百も生きる気だから、そんな
呑気
(
のんき
)
な事を云うのだが、もう少し理性が発達して見ろ、保険の必要を感ずるに至るのは
当前
(
あたりまえ
)
だ。ぜひ来月から這入るんだ」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
挙句の果てに、夜だから役人の酒手を倍増しにして四百文出すのが
当前
(
あたりまえ
)
だということになった。阿Qは今持合せがないから一つの帽子を質に入れて、五つの条件を契約した。
阿Q正伝
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
今度は傷の事から申します、第一はアノ背中に在る刃物の傷ですが是は
怪
(
あやし
)
むに足りません、大抵人殺は刃物が多いから先ず
当前
(
あたりまえ
)
の事と見逃して扨て
不審儀
(
ふしぎ
)
なのは脳天の傷です
無惨
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
一体こういう人たちには平素静に過去を思返して見るような機会も、また習慣もないのが
当前
(
あたりまえ
)
なので、鮫屋の爺さんは人にきかれても即座には年数を数え戻すことができないらしい。
勲章
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
何か弱点を探り出せば、一万円の報酬というのは、まア
当前
(
あたりまえ
)
だす。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
当前
(
あたりまえ
)
の日をもお前達が、網に
罹
(
かか
)
ったような煩悩の
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「
当前
(
あたりまえ
)
だあ……それからどうした」
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
だって、すっかり
快
(
よ
)
くなってよ。西洋じゃあ
皆
(
みんな
)
平気ですって。また田舎なんぞには
当前
(
あたりまえ
)
だと思ってますとさ、
私
(
わたい
)
もうさっぱりしたんです。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
男の働きで
当前
(
あたりまえ
)
のことゝ
思
(
おめ
)
えましても、年寄てえ者は取越苦労して、私にあんた義理もあるだから、やかましく云いますし
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
あんなにお世話になったのだから、お礼を言うのは
当前
(
あたりまえ
)
だ。それがきょう言われぬようでは、あの方に物を言う折は無くなってしまうかも知れない。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
或
(
あるい
)
は
畳針
(
たたみばり
)
を
買
(
かっ
)
て来て畳の
表
(
おもて
)
を
附
(
つ
)
け
替
(
か
)
え、又或は竹を割って
桶
(
おけ
)
の
箍
(
たが
)
を入れるような事から、その
外
(
ほか
)
、
戸
(
と
)
の破れ屋根の
漏
(
も
)
りを繕うまで
当前
(
あたりまえ
)
の仕事で、皆私が
一人
(
ひとり
)
でして居ました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
我々
当前
(
あたりまえ
)
の人間のように踊るなんて
怪
(
け
)
しからん
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
「
当前
(
あたりまえ
)
ですわ。
大兄
(
おおにい
)
さんの妹ですもの」
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
さ、こう断った上でも、やっぱり看護員は看護員で、看護員だけのことをさえすれば
可
(
いい
)
、むしろ
他
(
ほか
)
のことはしない方が
当前
(
あたりまえ
)
だ。
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
したと思うが、少し
経
(
た
)
つと
直
(
じき
)
に忘れて仕舞うもの、一寸精進をしても、七日仕ようと思っても三日も経つともう宜かろうと
喰
(
た
)
べるのが
当前
(
あたりまえ
)
じゃアないか
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
心は激して詞はしどろであったが、文吉は
大凡
(
おおよそ
)
こんなことを言った。この
度
(
たび
)
の奉公は
当前
(
あたりまえ
)
の奉公ではない。敵討の供に立つからは、命はないものである。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
さ、断つた上でも、やつぱり看護員は看護員で、看護員だけのことをさへすれば
可
(
いい
)
、むしろ
他
(
ほか
)
のことはしない方が
当前
(
あたりまえ
)
だ。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
お
兄様
(
あにいさま
)
に左様な事を申さんでも宜しい、弟が兄を思うは
当前
(
あたりまえ
)
の事じゃ、お兄様も
亦
(
また
)
予を思うて下さるのは何も珍らしい事はない、改めて左様申すには及ばん
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
そこで
当前
(
あたりまえ
)
なら支度料幾らと云って、
纏
(
まと
)
まった金を先方へ渡すのであるが、末造はそうはしない。
雁
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
そりゃ同じ所に住んでるから、緋鯉に
属
(
つ
)
くが
当前
(
あたりまえ
)
だけれどもね、君が、よくお
飯粒
(
まんまつぶ
)
で、糸で
釣上
(
つりあ
)
げちゃ投げるだろう。
霰ふる
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私
(
わたくし
)
は
不意気
(
ぶいき
)
ものでございますから、
貴方
(
あなた
)
に嫌われるのは
当前
(
あたりまえ
)
でございますが、たとえ十年でも二十年でも亭主はもつまい、
女房
(
にょうぼ
)
はもたないと云い
交
(
かわ
)
せましたから
西洋人情話 英国孝子ジョージスミス之伝
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかし歩いたってこれは見附からないのが
当前
(
あたりまえ
)
かも知れません。じっとして網を張っていたって、来て掛かりっこはありませんが、歩いていたって、
打
(
ぶ
)
っ
附
(
つ
)
からないかも知れません。
護持院原の敵討
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
母
(
おっか
)
さんのなくなった時から、
好
(
すき
)
な琴弾かなくなっておしまいだもの。このくらいな
思
(
おもい
)
を私がするのは、一度は
当前
(
あたりまえ
)
だったと思って、堪忍しておくれ。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
当
常用漢字
小2
部首:⼹
6画
前
常用漢字
小2
部首:⼑
9画
“当”で始まる語句
当
当然
当惑
当時
当座
当家
当身
当麻
当嵌
当初