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度胆
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どぎも
ふりがな文庫
“
度胆
(
どぎも
)” の例文
旧字:
度膽
彼女はのっけから私の
度胆
(
どぎも
)
を抜きつづけであったが、とうとう、私の最も恐れていた絶体絶命の質問を平気であびせかけてしまった。
秘密
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
ぼくは
一瞬
(
いっしゅん
)
、
度胆
(
どぎも
)
を
抜
(
ぬ
)
かれましたが、こんな景色とて、これが、あの背広を失った晩に見たらどんなにつまらなく見えたでしょうか。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
こうした若林博士の説明は、極めて平調にスラスラと述べられたのであったが、しかしそれでも私の
度胆
(
どぎも
)
を抜くのには充分であった。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
吹き出したけれども
剣呑
(
けんのん
)
は剣呑です。誰かこんな奴を使って、
碌
(
ろく
)
でもない文句を吹き込んで、おれの
度胆
(
どぎも
)
を抜こうとした奴がある。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
洋燈
(
ランプ
)
の火でさえ、大概
度胆
(
どぎも
)
を抜かれたのが、頼みに思った豪傑は負傷するし、今の話でまた変な気になる時分が、夜も深々と更けたでしょう。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
ひとしきり
敦圉
(
いきま
)
いた後とて
度胆
(
どぎも
)
も坐ってきた上に、なぜかしらへべれけに酔ってみたい気持もあって、許生員は差される盃は大抵拒まなかった。
蕎麦の花の頃
(新字新仮名)
/
李孝石
(著)
侠者子路はまずこの点で
度胆
(
どぎも
)
を
抜
(
ぬ
)
かれた。
放蕩無頼
(
ほうとうぶらい
)
の生活にも経験があるのではないかと思われる位、あらゆる人間への
鋭
(
するど
)
い心理的
洞察
(
どうさつ
)
がある。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「まあ、よしてください、後生ですから。ほんとうにあなたは何をなさるんです?」とプリヘーリヤはことごとく
度胆
(
どぎも
)
を抜かれて、こう叫んだ。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
ははア
中々
(
なかなか
)
急さね位で、
一寸
(
ちょっと
)
びっくりして済むことだろう、が、気を沈めて見れば見るほど、
先登
(
せんとう
)
の登山をやった人達の、
度胆
(
どぎも
)
のほどが偲ばれる。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
さすがに
度胆
(
どぎも
)
を奪われてコレハッ! と歩をとめながらいい合わしたように腰を低めて先方の薄闇をのぞきこむと……。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
それがなんの音だか、岸にいる者にはわからなかったが、岸へあがって来た銀公を見るなり、一人が
度胆
(
どぎも
)
を抜かれたような声で「血だえっ」と叫んだ。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
いきなり弓の折れを持って、
羽目板
(
はめいた
)
をピシリッとうった。その音のはげしいこと、蛾次郎のふるえあがったのはむろん、
菊池半助
(
きくちはんすけ
)
さえ
度胆
(
どぎも
)
を抜かれた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
度胆
(
どぎも
)
を抜かれるほど驚ろいたのは、その部屋に、かろうじて、
紗
(
うすもの
)
をつけた、或は、それこそ一糸も
纏
(
まと
)
わぬ全裸な若い少女が二十人ほども、突然の
闖入者
(
ちんにゅうしゃ
)
に
鱗粉
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
内応であろう? 交換条件は? こう天草にいい出されて、文三ハナから
度胆
(
どぎも
)
を抜かれた。しかしこやつもシレモノである。のっけから条件を切り出した。
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ラガド大学の科学室を見学させて
度胆
(
どぎも
)
を抜いてやろうか……などと思うだけでも、面白さにわが身を忘れた。
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
私はまったく
度胆
(
どぎも
)
をぬかれて跳び上がった。がアッシャーの規則的な体をゆする運動は少しも乱れなかった。私は彼のかけている椅子のところへ駆けよった。
アッシャー家の崩壊
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
ところで、ワイラー氏の話であるが、何よりも話の桁がすべてちがっているので、少し
度胆
(
どぎも
)
を抜かれた。
アラスカ通信
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
流石の通尖も、これには
度胆
(
どぎも
)
をぬかれてしまつた。変な顔をして暫く眼をぱち/\させてゐたが、すうと席を滑り下りたと思ふと、その
儘
(
まゝ
)
見えなくなつてしまつた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
よろける奴を
邪慳
(
じゃけん
)
にこづきまわした。このとき、
度胆
(
どぎも
)
をぬいてくれた松岡は
慥
(
たし
)
かに一歩機先を制していたのだ。もはや相手は彼の云うなりであった。
叱咤
(
しった
)
して歩かせた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
いきなりの激した
口吻
(
こうふん
)
で
度胆
(
どぎも
)
をぬかれた形だつたが、老人の様子でそれが愛国的公憤よりは蒋の幕僚たる息子についての不安から発してゐるのだと分ると、僕は説明した。
南京六月祭
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
神谷青年は、まったく
度胆
(
どぎも
)
を抜かれてしまった。明智が
稀代
(
きだい
)
の名探偵であることは聞いていた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
僕等は生活様式や境遇は失業者に違いないが、
一度
(
ひとたび
)
、ハンマーを握らせ、
配電盤
(
スイッチ・ボード
)
の前に立たせ、試験管と薬品とを持たせるならば、彼等の
度胆
(
どぎも
)
を奪うことなどは何でもない。
人造人間殺害事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
平次は少し
度胆
(
どぎも
)
を抜かれました。杉之助の言葉が予期以上に唐突で正直だったのです。
銭形平次捕物控:114 遺書の罪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
暫くすると、表からドヤドヤと人々が帰って来た。「あ、
魂消
(
たまげ
)
た、
度胆
(
どぎも
)
を抜かれたわい」と三浦は
歪
(
ゆが
)
んだ笑顔をしていた。……警報解除になると、往来をぞろぞろと人が通りだした。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
客人たちは
度胆
(
どぎも
)
を抜かれて、
館
(
やかた
)
の
主
(
あるじ
)
から「帰れ」と云われても直ぐには動くけしきもなく、興奮しきった主の顔の、喜んでいるのか泣いているのか判断のつかない眼つきを見ていた。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
人はふえる一ぽう——と言ったように、はじめての人は誰でも
度胆
(
どぎも
)
を抜かれる。
踊る地平線:05 白夜幻想曲
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
平馬、お初の
昂然
(
こうぜん
)
たる
気焔
(
きえん
)
を聴いて、今更のように
度胆
(
どぎも
)
を抜かれている。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
度胆
(
どぎも
)
を抜かれた学生は、眼だけで
隅
(
すみ
)
の方から、それを見ていた。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
私はすっかり
度胆
(
どぎも
)
をぬかれました。
茨海小学校
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
それがなんの音だか、岸にいる者にはわからなかったが、岸へあがって来た銀公を見るなり、一人が
度胆
(
どぎも
)
を抜かれたような声で「血だえっ」と叫んだ。
青べか物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
と、さしもの伊兵衛が
度胆
(
どぎも
)
を抜かれたのは、その不意であった事よりも、燈下に見てさえ身の毛のよだつ、
出目洞白
(
でめどうはく
)
の神作の怪しい力に衝たれたに違いない。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あんな法ってあるかい、あんな法って?」ラズーミヒンは頭を振りながら
度胆
(
どぎも
)
を抜かれたように言った。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
不破の関守氏が、熱海海岸の場の貫一さんのような発言をして、さすがの策士も、ちょっと
度胆
(
どぎも
)
を抜かれたようでしたが、先方も相当、心臓を動揺させたと見えて
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
度胆
(
どぎも
)
を抜かれて、
茫然
(
ぼんやり
)
した仮色使は、慌てて見当を失ったか、かえって
背後
(
うしろ
)
に立ったのに礼をいって
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
銀百足
(
ぎんむかで
)
の名ある豪刀を引ッ掴んだ神保造酒、さすがに
度胆
(
どぎも
)
を抜かれたのか、片手を障子にかけたまま、その座敷へ踏み込みもせず、じッ! 眼を据えて
凝視
(
みつ
)
めている。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ズバリと
度胆
(
どぎも
)
を抜いて頭ゴナシの短時間に
退引
(
のっぴき
)
ならぬところへ
逐
(
お
)
い詰めてしまわねばならぬ。
冥土行進曲
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
さすがに
錚々
(
そうそう
)
たる
御
(
ご
)
連中も、この論文にはいささか
度胆
(
どぎも
)
を抜かれたようであった。何が何だか分らなくて、まるで夢のようなことをいってるということにして、片づけてしまった。
日本のこころ
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
実際、私は同行者のこの危険この上ない姿勢にまったく
度胆
(
どぎも
)
を抜かれてしまい、地上にぴったりと
腹這
(
はらば
)
いになって、身のまわりの
灌木
(
かんぼく
)
にしがみついたまま、上を向いて空を仰ぐ元気さえなかった。
メールストロムの旋渦
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
「へーい」といったが商人は、
度胆
(
どぎも
)
を抜かれた格好であった。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
度胆
(
どぎも
)
を抜かれたように、明智の声がしばらく途絶えた。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
人々は
度胆
(
どぎも
)
をぬかれ、あッけに取られた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
猫の児をもらいに来たような頼みぶりでこういいましたから、豪傑連中も
度胆
(
どぎも
)
を抜かれたようです。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかし、相手の群れは、事の不意に
度胆
(
どぎも
)
を抜かれてしまッたか、ただちに復讐に出てきそうもない。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いうことははっきりしないが、銀二郎はまずその早口に
度胆
(
どぎも
)
を抜かれ、つぎに感心してしまった。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そしたら吉田さんが、速座に Il neige doucement sur la ville と
仏蘭西
(
フランス
)
語で
賛
(
さん
)
をした。私は
聊
(
いささ
)
か
度胆
(
どぎも
)
を抜かれて「巧いものだなあ」とひどく感心した。
南画を描く話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
城は
蝸牛
(
ででむし
)
、何程の事やある、どうとも勝手にしやがれと、小宮山は
唐突
(
だしぬ
)
かれて、
度胆
(
どぎも
)
を
掴
(
つか
)
まれたのでありますから、少々捨鉢の気味これあり、
臆
(
おく
)
せず後に続くと、割合に広々とした一間へ通す。
湯女の魂
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
これは八流兼学の大剣客とでも思ったのか、岡っ引二人は、少なからず
度胆
(
どぎも
)
を抜かれたように
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そのうち誰からか、きまりものの苦情が出て、何かガヤガヤもめだしたが、不意に向う側の板戸が外からガラリと開いて、
度胆
(
どぎも
)
を抜くような太陽の光がそこから流れこむ。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここに寝室へ帰って来た五人の亡者が、ハッと
度胆
(
どぎも
)
を抜かれた出来事が一つありました。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
見る間に駈け寄ってきたのは春日新九郎、
青額
(
あおびたい
)
に紫紐の切下げ髪は余り美貌過ぎて、不敵な郷士の
度胆
(
どぎも
)
を奪うには足りないが、勇気は
凜々
(
りんりん
)
として、昔の新九郎とは別人のように
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“度胆”の意味
《名詞》
「きも」を強調する語。度肝。
(出典:Wiktionary)
度
常用漢字
小3
部首:⼴
9画
胆
常用漢字
中学
部首:⾁
9画
“度”で始まる語句
度
度々
度毎
度胸
度重
度外
度目
度度
度肝
度盛