トップ
>
孰
>
いず
ふりがな文庫
“
孰
(
いず
)” の例文
私の身のまわりは
孰
(
いず
)
れも見馴れたもの計りで、トランクは寝台の下に投込んであり、帽子掛には二つの帽子と数本のステッキがある。
日蔭の街
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
山中には
三水
(
さんすい
)
と唱える
金性水
(
きんせいすい
)
、
竜毛水
(
りゅうもうすい
)
、
白毛水
(
はくもうすい
)
の清泉が湧き、五つの
瀑布
(
たき
)
と八つの
丘嶽
(
おか
)
とまた八つの
渓谷
(
たに
)
とがあって、
孰
(
いず
)
れも奇観だ。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
孰
(
いず
)
れが正しく(もしくは正しいらしく)考えられるかというと、少しく余分に後立山説の方に傾きたく思うというに帰着している。
後立山は鹿島槍ヶ岳に非ざる乎
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
然しながらそれは
孰
(
いず
)
れの時代を問はず常に真の芸術家に伴つてゐたことなのである。かのミケルアンヂエロすら
保護者
(
パトロン
)
に依立してゐた。
少数と多数
(新字旧仮名)
/
エマ・ゴールドマン
(著)
或は是れは政宗が自ら請うたのだとも云うが、
孰
(
いず
)
れへ廻っても悪い役目は葛西大崎の
土酋
(
どしゅう
)
で、政宗の為に
小苛
(
こっぴど
)
い目に逢って終った。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
▼ もっと見る
彼は十月七日その父兄に書を贈り、「
孰
(
いず
)
れ日月
未
(
いま
)
だ地に墜ちず候えば、
膝下
(
しっか
)
に侍し天下の奇談申上げ候日これ有るべし」といえり。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
その
後
(
あと
)
より続いて出てお出でなさるは
孰
(
いず
)
れも
胡麻塩
(
ごましお
)
頭、弓と曲げても張の弱い腰に無残や
空
(
から
)
弁当を
振垂
(
ぶらさ
)
げてヨタヨタものでお帰りなさる。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
我身に罪は無しとは云え、
孰
(
いず
)
れとも免れぬ場合、
潔
(
いさぎ
)
よく伏罪し苦しみを短かくするに
如
(
し
)
くなしと無念を
呑
(
のみ
)
て
断念
(
あきら
)
めし者ならぬか
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
「別所先生の鞭を受ける資格が
孰
(
いず
)
れにあるか試してやる、此方は柳の枝だ、打っても命に別条はないから安心して斬って来い」
内蔵允留守
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
その姿が人見廣介と分っても、
或
(
あるい
)
は又、仮令菰田源三郎と見誤られても、
孰
(
いず
)
れにしろ彼の計画に取っては致命傷でありました。
パノラマ島綺譚
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
孰
(
いず
)
れも大きに驚き、長二の身の上を案じ、大抵にしておけと云わぬばかりに、源八が
窃
(
そっ
)
と長二の袖を引くを、奉行は
疾
(
はや
)
くも認められまして
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
各部隊の長は皆勝頼の一門であるが、揃って
孰
(
いず
)
れも勝れた大将でもなく、この戦い敗れた後は命全うして信州へ逃げ帰った。
長篠合戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
男女家に居ておの/\司どる所を殊にし、内外の経営
孰
(
いず
)
れか智恵を要すること大なるやと尋ぬれば、我輩は正に同一様なりと断言する者なり。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
我輩門外漢は
素
(
もと
)
よりその
孰
(
いず
)
れに適従すべきかを知ることは出来ぬが、かような事は必ずしも多数説が正しいということは出来ぬは勿論である。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
養子の辰雄も、貞之助も、
孰
(
いず
)
れもいっぱしの
晩酌
(
ばんしゃく
)
党であるところから、全然飲まない人と云うものも何となく物足りないような気がしていた。
細雪:01 上巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
一体正岡は
無暗
(
むやみ
)
に手紙をよこした男で、それに対する分量は、こちらからも遣った。今は残っていないが、
孰
(
いず
)
れも
愚
(
ぐ
)
なものであったに相違ない。
正岡子規
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
(中略)尤も
孰
(
いず
)
れも英文であるから、日本人が所持していないとならば、志賀重昂氏の『日本風景論』はどうであろう。
それからそれ:書斎山岳文断片
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
こう来たらどうでしょう、同地宿屋の亭主の顔はそれでも
顰
(
しか
)
んでいるでしょうか? その他同地の迎客場処は
孰
(
いず
)
れも景気の好い事請合いでしょう。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
彼はいっそ
平謝罪
(
ひらあやま
)
りに謝罪ろうか、夫れとも逃げ出して了おうかと心に惑った。
孰
(
いず
)
れにしても彼は悲しく成って来た。
偽刑事
(新字新仮名)
/
川田功
(著)
私等は先づ来るべき新制度に伴ふあらゆる危険を予想した上で現今の制度と比較研究の結果
孰
(
いず
)
れが更に恐ろしいものであるかを認めなければならない。
恋愛と道徳
(新字旧仮名)
/
エレン・ケイ
(著)
其の儀は、とかくに申しまするが、
如何
(
いかが
)
か、
孰
(
いず
)
れとも
相分
(
あいわか
)
りませぬ。此の公園のづツと奥に、
真暗
(
まっくら
)
な
巌窟
(
いわや
)
の中に、一ヶ処
清水
(
しみず
)
の
湧
(
わ
)
く井戸がござります。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
これは
孰
(
いず
)
れもそれ自身絶対に他へ洩らすことの許されない同じような二つの
機密社会
(
きみつしゃかい
)
であるために、この驚くべき事実が他へ洩れる道が
若
(
も
)
しありとすれば
壊れたバリコン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
子、子貢に
謂
(
かた
)
って曰く、汝回と
孰
(
いず
)
れか
愈
(
まさ
)
れる。
対
(
こた
)
えて曰く、
賜
(
し
)
は何を
敢
(
あ
)
えて回を望まん、回は一を聞いて以て十を知る、賜は一を聞いて以て二を知るのみ。
孔子
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
即ち戦争の惨害は従来の武器とは全く比較にならぬほど広汎にして深刻となり、且つ
孰
(
いず
)
れの戦争参加国にとってもその残虐なる被害は不可避となったのである。
原子力の管理
(新字新仮名)
/
仁科芳雄
(著)
孰
(
いず
)
れにしてもこの世にいない農奴に対して私が代金などを取るとお思いになるんですか? あなたがたとえそんな、いわば
突飛
(
とっぴ
)
なことをお考えになるにしても
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
さてこの二つの反対論の
孰
(
いず
)
れが正当であろうか。極端なる自由意志論者は右にいったように、全く原因も理由もなく、自由に動機を決定する一の神秘的能力があるという。
善の研究
(新字新仮名)
/
西田幾多郎
(著)
狭い三畳での、窮屈で不自由な夫婦生活からと、男か女かの
孰
(
いず
)
れかにあるらしい或生理的の異常から来る男の不満とが、時とするとお島には堪えがたい圧迫を感ぜしめた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
摂理なる観念は敢てキリスト教に限らずこれ一般宗教通有のものでありますがその解釈を誤ること我が神学博士のごときもの
孰
(
いず
)
れの宗教に於ても又実に多々あるのであります。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
新鮮な色彩が眼に、
芳醇
(
ほうじゅん
)
な香が鼻に、ほろ苦い味が舌に
孰
(
いず
)
れも
魅力
(
みりょく
)
を
恣
(
ほしいまま
)
にする。
異国食餌抄
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
孰
(
いず
)
れにせよ、兇行は邪魔者がいなくなってから、油断をみすまして一撃のもとに行われたものである事は明瞭である。邪魔者がいて、どうして
阿麼
(
あんな
)
手際よい殺害振りが出来るであろうか。
旅客機事件
(新字新仮名)
/
大庭武年
(著)
孰
(
いず
)
れも身延山にて催す。身延行にて得たる句出句。四月十四日、白糸滝を見る。
七百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
「心臓捕りの」物語は、
即
(
すなわち
)
、
以上
(
これ
)
で終りである。人工の巨人の運命や、博士と看護婦との成行や、本田捨松の其後に就いては、
機会
(
おり
)
を見て
孰
(
いず
)
れ語ることにしよう。要するに夫れは後日
譚
(
ものがたり
)
である。
人間製造
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
紫式部
(
むらさきしきぶ
)
兼好法師
(
けんこうほうし
)
も三舎を避る和語の上手をして文を草せしめ、之を贈りて人の非を諫めしむると、訥弁鈍舌の田夫野老をして
面前
(
まのあたり
)
言
(
ことば
)
を呈して人の非を諫めしむると、其の人の感情を動す
孰
(
いず
)
れか深き
松の操美人の生埋:01 序
(新字新仮名)
/
宇田川文海
(著)
海道の日和見武士のうちには、道誉の参陣を見てから寄って来たものもある。彼の
向背
(
こうはい
)
にさえ注意していればおのずから勝目の
孰
(
いず
)
れかが分ると自己の去就の
卜
(
うらない
)
としている武族も近ごろは多かったのだ。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
果して
孰
(
いず
)
れが孰れか疑いなきを得ない。
名曲決定盤
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
、
野村長一
(著)
孰
(
いず
)
れも勇気
凛々
(
りんりん
)
、今日を限りにこの痛快無比の旅行と別るるのが
残
(
のこり
)
多いようにも思われ、またこの
行
(
こう
)
を
了
(
おわ
)
ったという得意の念もあった。
本州横断 痛快徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
、
井沢衣水
(著)
孰
(
いず
)
れも湯垢が岩壁の面に奇怪なさまざまな線を描いている。其中の一箇所では
稍
(
やや
)
湧出量が多く、岩の間の河原になみなみと湛えていた。
黒部川を遡る
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
直ぐ目についたのは、
牀
(
ゆか
)
の上に投出してあるトランクと手提鞄である。それには
孰
(
いず
)
れもT・Cと姓名の頭文字が記してあった。
P丘の殺人事件
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
例えば年若き婦人が出産のとき、其
枕辺
(
まくらべ
)
の万事を差図し周旋し看護するに、実の母と姑と
孰
(
いず
)
れが産婦の為めに安心なるや。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
追撃して高陽附近に至る頃明将楊元新手を率いて来り
援
(
すく
)
った。李如松も之に力を得、部将李如柏、李如梅、李寧等も
孰
(
いず
)
れも自身剣を執って戦った。
碧蹄館の戦
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
こう申しては
身贔屓
(
みびいき
)
のようであるが、本人は、頭脳、学力、性行、芸能等、
孰
(
いず
)
れも及第点を与えられてよい女性であると、申上げることが出来る。
細雪:03 下巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
ひき入れる訳にはまいらんのだ、我々と此処で立合うか、さもなくば出直して来るか、
孰
(
いず
)
れとも貴公の心任せにされい
内蔵允留守
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
孰
(
いず
)
れにしても此犯罪が其妻倉子とやら云う女の心から湧て出たには違い有ません私しは必ず
爾
(
そう
)
だと思いますよ
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
花穎は
孰
(
いず
)
れの種類のものに在ても縦脈ありてその数は竹の種類の異なるに従い一定ならず。
植物記
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
我々は
孰
(
いず
)
れの国よりも先んじて原子力管理の必要を痛感するのは当然と云わねばならぬ。
原子力の管理
(新字新仮名)
/
仁科芳雄
(著)
我輩門外漢にはその
孰
(
いず
)
れが
是
(
ぜ
)
であるかを正確に判断することは出来ぬが、ただこの法が神授の権に依って立てられ、この法の効力の基礎が神意にあるということだけは明らかである。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
「それはそうと、
孰
(
いず
)
れ御結構振舞いが有りましょうネ。
新富
(
しんとみ
)
かネ、
但
(
ただ
)
しは
市村
(
いちむら
)
かネ」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
そう考えながらも、赤羽主任は、
孰
(
いず
)
れにしろ、その惨殺された女の着衣と下駄を探すことが、事件の解決に最も役立つものであることを知って、後ろに続いて来た部下の一人に命じた。
電気風呂の怪死事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
泉殿
(
せんでん
)
に
擬
(
なぞら
)
へた、
飛々
(
とびとび
)
の
亭
(
ちん
)
の
孰
(
いず
)
れかに、
邯鄲
(
かんたん
)
の石の
手水鉢
(
ちょうずばち
)
、名品、と教へられたが、水の音より
蝉
(
せみ
)
の声。で、勝手に
通抜
(
とおりぬ
)
けの出来る茶屋は、昼寝の
半
(
なか
)
ばらしい。
何
(
ど
)
の座敷も
寂寞
(
ひっそり
)
して
人気勢
(
ひとけはい
)
もなかつた。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして決着は
孰
(
いず
)
れにしても急がねばならないところだ。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
孰
漢検1級
部首:⼦
11画
“孰”を含む語句
孰方
孰方道
孰與