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天女
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てんにょ
ふりがな文庫
“
天女
(
てんにょ
)” の例文
けれど、
天女
(
てんにょ
)
は、
天
(
てん
)
にいるものとばかり
信
(
しん
)
じたのを、どうしてこんなところへ
降
(
お
)
りたのであろうか、と
聞
(
き
)
かずにはいられませんでした。
羽衣物語
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
母も狂気しはしないかとぼくは
惧
(
おそ
)
れた。ぼくもドックから帰ると浜子の枕元に坐りきった。まるで
天女
(
てんにょ
)
みたいな愛くるしい顔しているのだ。
忘れ残りの記:――四半自叙伝――
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
後でその説明を聞いたら、
三保
(
みほ
)
の
松原
(
まつばら
)
だの
天女
(
てんにょ
)
の
羽衣
(
はごろも
)
だのが出て来る所は
嫌
(
きら
)
いだと云うのです。兄さんは妙な頭をもった人に
違
(
ちがい
)
ありません。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分もあの
天女
(
てんにょ
)
のような指で、おでこをはじいてもらえさえしたら、その場で世界じゅうのものを投げ出してもかまわないと、そんな気がした。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
差
(
さ
)
し
詰
(
づめ
)
志道軒
(
しどうけん
)
なら、一
天
(
てん
)
俄
(
にわか
)
にかき
曇
(
くも
)
り、あれよあれよといいもあらせず、
天女
(
てんにょ
)
の
姿
(
すがた
)
は
忽
(
たちま
)
ちに、
隠
(
かく
)
れていつか
盥
(
たらい
)
の
中
(
なか
)
。……
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
▼ もっと見る
きっとさっきの白い
鳥
(
とり
)
たちがぬいで行ったものに
違
(
ちが
)
いない。するとあの八
人
(
にん
)
の
少女
(
おとめ
)
たちは
天女
(
てんにょ
)
で、これこそ
昔
(
むかし
)
からいう
天
(
あま
)
の
羽衣
(
はごろも
)
というものに
違
(
ちが
)
いない。
白い鳥
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
背後
(
うしろ
)
に……たとへば
白菊
(
しらぎく
)
と
称
(
とな
)
ふる
御厨子
(
みずし
)
の
裡
(
うち
)
から、
天女
(
てんにょ
)
の
抜出
(
ぬけい
)
でたありさまなのは、
貴
(
あて
)
に気高い御簾中である。
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
絵画ははじめ
跡見玉枝
(
あとみぎょくし
)
女史に、後には
橋本雅邦
(
はしもとがほう
)
翁に学ばれました。いつでしたかずっと前に、
天女
(
てんにょ
)
が花を降らせている
画
(
え
)
をある展覧会で見うけたことがありました。
大塚楠緒子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
母の方は自分の身内だけに向うへ
贔負
(
ひいき
)
をするかも知れんが東京へ来てあの
天女
(
てんにょ
)
の
如
(
ごと
)
きお登和嬢を
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
われわれが理想とするところはいかに小なりとするも、その全体を実現することはできずともいく分かすることはできる。昔から
天女
(
てんにょ
)
を見ると、
羽衣
(
はごろも
)
を着て自由自在に空中を飛び歩いている。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
まるで
天女
(
てんにょ
)
のように、きれいなおねえさまだったのです。
宇宙怪人
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
天女
(
てんにょ
)
夢浮橋
(
ゆめのうきはし
)
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「どうしても、お
許
(
ゆる
)
しになりませぬか。」と、
若者
(
わかもの
)
がいうと、
天女
(
てんにょ
)
の
顔
(
かお
)
には、
悲
(
かな
)
しみの
色
(
いろ
)
がただよって、ついに
口
(
くち
)
をひらきました。
羽衣物語
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
美くしいもののなかに
横
(
よこた
)
わる人の顔も美くしい。
驕
(
おご
)
る眼は
長
(
とこしな
)
えに閉じた。驕る眼を
眠
(
ねむ
)
った藤尾の
眉
(
まゆ
)
は、額は、黒髪は、
天女
(
てんにょ
)
のごとく美くしい。
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
花火の中から、
天女
(
てんにょ
)
が
斜
(
ななめ
)
に流れて出ても、群集は此の時くらゐ驚異の念は起すまい。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「その
着物
(
きもの
)
を
着
(
き
)
なくては、二
度
(
ど
)
と
天
(
てん
)
へは
帰
(
かえ
)
れません。
人間
(
にんげん
)
には
役
(
やく
)
にたたぬものですが、
天女
(
てんにょ
)
には、なくてはならぬ
着物
(
きもの
)
でございます。」
羽衣物語
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
この盾だにあらばとウィリアムは盾の懸かれる壁を仰ぐ。天地人を呪うべき夜叉の姿も、彼が眼には画ける
天女
(
てんにょ
)
の微かに
笑
(
えみ
)
を帯べるが如く思わるる。
幻影の盾
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
その
間
(
あいだ
)
に、
白媼
(
しろうば
)
の
内
(
うち
)
を、私を膝に抱いて出た時は、
髷
(
まげ
)
を
唐輪
(
からわ
)
のように
結
(
ゆ
)
って、胸には玉を飾って、
丁
(
ちょう
)
ど
天女
(
てんにょ
)
のような
扮装
(
いでたち
)
をして、車を牛に曳かせたのに乗って、わいわいという
群集
(
ぐんじゅ
)
の中を
薬草取
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すると、そのとき、
頭
(
あたま
)
の
上
(
うえ
)
を
孔雀
(
くじゃく
)
のような
美
(
うつく
)
しい
羽
(
はね
)
のある
天女
(
てんにょ
)
が、ぐるぐると
輪
(
わ
)
をえがくごとく
飛
(
と
)
び
舞
(
ま
)
っていました。
天女とお化け
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「この
天女
(
てんにょ
)
は御気に入りませんか」と迷亭がまた一枚出す。見ると天女が
羽衣
(
はごろも
)
を着て
琵琶
(
びわ
)
を
弾
(
ひ
)
いている。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
荊
(
いばら
)
の実は又
頻
(
しきり
)
に飛ぶ、
記念
(
かたみ
)
の
衣
(
きぬ
)
は左右より、
衣紋
(
えもん
)
がはら/\と寄つては
解
(
と
)
け、
解
(
ほぐ
)
れては
結
(
むす
)
ぼれ、
恰
(
あたか
)
も糸の乱るゝやう、翼裂けて
天女
(
てんにょ
)
の
衣
(
ころも
)
、
紛々
(
ふんふん
)
として大空より
降
(
ふ
)
り
来
(
く
)
るばかり、其の胸の
反
(
そ
)
る時や
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
虫さえ
厭
(
いと
)
う美人の
根性
(
こんじょう
)
を
透見
(
とうけん
)
して、毒蛇の
化身
(
けしん
)
すなわちこれ
天女
(
てんにょ
)
なりと判断し得たる
刹那
(
せつな
)
に、その罪悪は同程度の他の罪悪よりも一層
怖
(
おそ
)
るべき感じを引き起す。全く人間の諷語であるからだ。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
天女
(
てんにょ
)
とお
化
(
ば
)
けです。」と、
秀吉
(
ひできち
)
は
答
(
こた
)
えたのです。
天女とお化け
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
簪
(
かんざし
)
の花も
萎
(
しぼ
)
みたる
流罪
(
るざい
)
の
天女
(
てんにょ
)
憐
(
あわれ
)
むべし。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
“天女”の意味
《名詞》
天界に住む女性の天人。
女神。
(context、figuratively)美人。
(出典:Wiktionary)
“天女”の解説
天女(てんにょ)は日本、中国、インドなどの国々の伝説上の存在。
(出典:Wikipedia)
天
常用漢字
小1
部首:⼤
4画
女
常用漢字
小1
部首:⼥
3画
“天女”で始まる語句
天女花