商家しやうか)” の例文
長吉ちやうきち仕方しかたなしにだ左へ左へと、いゝかげんにれてくと蔵造くらづくりの問屋らしい商家しやうかのつゞいた同じやうな堀割ほりわりの岸に二度も出た。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
ぐうせしことはなはだあつし小千谷をぢや北越ほくゑつ一市会いつしくわい商家しやうか鱗次りんじとして百物そなはらざることなし。うみる事わづかに七里ゆゑに魚類ぎよるゐとぼしからず。
漸々やう/\ふかくならんとす人影ひとかげちらほらとまれになるをゆきはこゝ一段いちだんいきほひをましてりにれどかくれぬものは鍋燒饂飩なべやきうどんほそあはれなるこゑおろ商家しやうかあらたかおと
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
武家ぶけに在ては國家の柱石ちうせき商家しやうかで申さば白鼠しろねずみなる番頭久八は頃日このごろ千太郎の容子ようす不審いぶかししと心意こゝろ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
うまつたはうからしながら「みなさん、ひるすぎに、見付みつけの米屋こめやうまです。あのうまつら見覺みおぼえがあります。これかららせにきます。」と、商家しやうか中僧ちうぞうさんらしいのが、馬士まごおぼ
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まへ御婆おばあさんがやつぐらゐになる孫娘まごむすめみゝところくちけてなにつてゐるのを、そばてゐた三十恰好がつかう商家しやうか御神おかみさんらしいのが、可愛かあいらしがつて、としいたりたづねたりするところながめてゐると
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ぐうせしことはなはだあつし小千谷をぢや北越ほくゑつ一市会いつしくわい商家しやうか鱗次りんじとして百物そなはらざることなし。うみる事わづかに七里ゆゑに魚類ぎよるゐとぼしからず。
さればといふてかへ一横町ひとよこちやうこゝにもあらずいますこさきへといふ提燈ちやうちんして商家しやうか
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
おほくは農人のうにん若人わかうど商家しやうかのめしつかひもあり、ひるはいとなみをなして夜中にまうづる也。昼のいとなみのあひ/\日に三度づゝ水をあぶ、猶あぶるは心々也。
はまだけねどふりしきるゆき人足ひとあし大方おほかた絶々たえ/″\になりておろ商家しやうかこゝかしことほ按摩あんまこゑちかまじいぬさけびそれすらもさびしきを路傍みちばたやなぎにさつとかぜになよ/\となびいてるは粉雪こゆき
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
女陰ぢよいんを熊の穴といふをもておもふに、これらのことばは商家しやうか符調ふてうといふものにおなじかるべし。