たっ)” の例文
何うもたった一人者でも雇婆やといばアさんの給金も払うなにがえんで、勘定というものは何処にも有るもんでげすが、暮はいけませんねえ
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
れが出来なくては大変だとうと、妙な事もあるもので、中津に和蘭オランダのスペルリングの読めるものがたっ一人ひとりある。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
然し鳥渡ちょっと鵜の目鷹の目の小頭、世話役の目の緩むのを見て同様の会話が伝わる、外の組へも、又其外の組へも、悪事じゃ無いが千里を走って、此現場中へたった一日で噂は拡まる。
監獄部屋 (新字新仮名) / 羽志主水(著)
われがにたっだ一言臨終いまわに言い残す事があるから此処こけえ呼んだんだが、おかめも此処こけう、多助も此処こけう、おえいも五八も皆呼んでくれ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
彦次郎は私のめにたった一人の甥で、彼方あちらまた只た一人の叔父さんでほかに叔父はない、私もまた彦次郎の外に甥はないから、ず親子のようなものです。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
追出おんだせなら追出おんだしもするが、ひょっとおめえらの娘が身い投げても、首を縊ってもわしうらんではなんねえよ、たった今追出おんだすから…
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
中津にたった一軒あるばかりだけれども、母の病気に薬のが高いの安いのといっられぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
飛んだ御難病でさぞ御心配な事でございましょう、少々お父さまにお願いがございまする、わたくしのためにはたった一人の可愛いいもとでございますから
不在を幸いにたっ一人いちにんの老母に少しも食事を与えませず、ついには母を乾殺ほしころそうという悪心を起して、三日半程湯茶さえ与えず、母を苦しめました
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
又「困る訳はない、いじゃアないか、えゝたった一度でもお前わしの云う事を聴いて呉れたら、お前の為にはようにも情合じょうあいを尽そうと思うて居る」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
家主おおやさんが大変に案じておでゞ、其のお父さんが、たった一人の娘をなくし今まで知れないのは全く死んだに違いない
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
○「困るだろうねえ無尽むじんを取って来たから……取って来たって割返しだよ、当れば沢山たんと上げるがたった六十四文ほきゃアないが是をお前にわしが志しで」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
人には云えないが、しまいには親の寐首ねくびを掻き兼ないよ、今日という今日は実に呆れたから、たった今出て往っておくれ
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
婆「それが年のいかない娘子あまっこ一人で看病するだから、病人は男だし、手水ちょうずに行くたって大騒ぎで、誠に可愛想でがんすが、たった今おっにましたよ」
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
呆れるとも呆れねえともいいようのねえ野郎で、其の上ヌク/\と此処へ来やアがって、たった一人の此のおれ死金しにがねまでむさぼり取りに能く来やアがった、うぬ
杢「姿形なりかたちに惚れたのではない、たった一つ娘の見込があります、たった一つ臍から二寸ばかり下に見所があるのサ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
文「まア/\静かにしろ、おれはの、たった今此の島に流罪の身になって来た罪人だ、仔細を聞いた其の上で共々とも/″\味方になってやろう、業平橋の文治という者だ」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
たった一人の忰の事ゆえ、母親が諦めませんで、叔母さんのお心持が解け、怨みが晴れなけりゃア仏さまの怨みの晴れようはないわけだと申しまするので、ヘイ
わちきほか親戚みより頼りも有りませんが、たった一人なかの兄のある事を聞いて居ましたが、若い時分道楽で、私が生れて間もなく勘当になって家出をしましたそうですが
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と云いつゝ虚空をつかんで身をふるわしたなりで、たっ一打ひとうちに致しましたが、これが悪い事を致すとおのれの罪を隠そうと思うので、また悪事を重ねるのでございますから
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お前と私と是れからたった一人のお母様だから孝行を尽さなければならないのに、お前がお母様に心配を掛けちゃア孝行に成りません、顔は何様どんなに成ったって構わぬ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
さア最う斯う云い出したら恥も外聞もないじゃア、たれらぬは幸いじゃア、たった一度で諦めるから
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
たった一人のおっかさんがありまして、幸三郎に嫁を貰った処が、三年目に肺病にかゝりまして、佐藤さとう先生と橋本はしもと先生にもて貰ったが、思うようでなく、到頭死去みまかりました。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
舁「旦那え、余りお早いじゃアありませんか、此の通りの道でたった二里八丁、二居宿ふたいじゅくまでりましょう、それとも日のあるうちにお泊りなせえますか、ねえ奥様、如何いかゞで」
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お前は本当にひどい人だのう、私のたった一人の娘をたってくれと云うので、お前は業平橋の文治郎と云う奴を頼んで掛合いに来た其の時、私はることは出来ねえと云ったら
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
篦棒べらぼう……死ぬなんておどごとを云ったら、母親おふくろが魂消て置くべいかと思って、死ぬなんてえだ、死ぬと云った奴に是迄死んだためしはねえ、さたった今死ね、おれは義理さえ立てば
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
女「馬鹿な事をお云いでない、たった一人のおとっさんが逝去なくなった日には本当に可哀そうだ」
政談月の鏡 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
時々は私がだまかしてよんどころないお座敷で帰りが遅くなると云って上げるから、厭でもあろうがたった一度、舎弟とまくらを並べて寝て遣れば、どんなに悦ぶか知れない、それは厭だろうが
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
なんと魂消たなア、われがそんな心と知んなえで惣次郎がでかい金え使って、うちい連れて来て、真実な女と思ってばかされたのが悔しいだ、そういう畜生ちきしょうの様な心ならたった今出てけやい
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
有合ありあわせたけやき定木じょうぎを取って突然いきなり振向くとたんに、助右衞門の禿げた頭をポオンと打ったから、頭が打割ぶちわれて、血は八方へ散乱いたしてたっ一打ひとうちでぶる/\と身を振わせて倒れますと
幾らよっぱらったって親の腹へ乗る者アえぞ呆れた、酒は飲むなよくねえ酒癖だからせというに聴かねえで酔ぱらってはけえってやアがって、たった今逐出おいだすから出ろえ、おっかねえ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
わしはお前のお祖父さんにもおっかあにも面目無い、私はもう縁が切れて居るから他人のようなものだが、たった一目お前のお母に逢って詫言わびごとたくって、お父さんは態々わざ/\忍んで来たんだが
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
たとえば車に荷を積んで九段のような坂を引いてあがって力に及ばんで段々下へおちる時、たった一人でそれを押えて止めようとすると、其の人も共に落ちて来て怪我をするようになるから
江戸屋の清次さんといういきな女惚れのする人が、お前の親孝行で、心掛こゝろがけが宜く、器量もいから、おらアほんとうに女房にょうぼに貰いたいと云ってるんだが、たった一晩でお金を五円あげるとさ
山三郎も男でなさけを知っているから銚子屋では云いませんが、たって聞かせろと仰しゃれば云います、お前さんにいもと藤をやられんと云う訳は、たった一人のいもうとだからお前さんの女房にあげて
私が握るに骨が折れるが女中は苦もなくつかむ、感心で、どうもこれは不思議で、表にうまが一杯というのは面白い、それで中はお客がたった二人、閑静なことじゃアございませんかね……女中さん
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)