古墳こふん)” の例文
庭中ていちゆう池のほとりに智勇の良将宇佐美駿河守刃死じんし古墳こふんりしを、先年牧之老人施主せしゆとしてあらた墓碑ぼひたてたり。不朽ふきう善行ぜんぎやうといふべし。
さてはなしまへもど古墳こふんなかには、どういふものがうづめられてゐるかとまをしますと、石棺せきかんあるひは石室せきしつなか死體したいをさめてあつたところ
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
おほくのれいおいては古墳こふん高塚たかつか)と横穴よこあなとは、別種べつしゆかんがへられてる。よしや同所どうしよらうとも、同時代どうじだいとはかんがへられてらぬ。
わかおんなのうずめられたところは、いつしか、古墳こふんといわれるようになりました。そして、それからまた、いくねん月日つきひがたったのであります。
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
翌日、他の部隊の波斯兵がパリスカスを発見した時、彼は固く木乃伊をいだいたまま、古墳こふんの地下室にたおれていた。
木乃伊 (新字新仮名) / 中島敦(著)
のちまた数旬をて、先生予を箱根はこねともな霊泉れいせんよくしてやまいを養わしめんとの事にて、すなわち先生一家いっか子女しじょと共に老妻ろうさい諸共もろとも湯本ゆもと福住ふくずみぐうすることおよそ三旬、先生にばいして或は古墳こふん旧刹きゅうさつさぐ
三角型をした大きな鼻、三日月型に笑っている口、目の玉はなくて、ただまっ黒な穴のように見える両眼、三千年前のエジプトの古墳こふんからでも掘りだして来たような、世にも気味のわるいお面です。
青銅の魔人 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
死刑場には、不用になった黒く塗った絞台や、今も乞食が住む非人小屋があって、夕方は覚束ない火が小屋にともれ、一方の古墳こふん新墳しんふん累々るいるいと立並ぶ墓場の砂地には、初夏の頃から沢山月見草が咲いた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
庭中ていちゆう池のほとりに智勇の良将宇佐美駿河守刃死じんし古墳こふんりしを、先年牧之老人施主せしゆとしてあらた墓碑ぼひたてたり。不朽ふきう善行ぜんぎやうといふべし。
古墳こふんからは、かんから六朝頃りくちようころまでのかゞみと、それを摸造もぞうした日本製につぽんせいかゞみとがるだけで、唐以後とういごかゞみはほとんど發見はつけんされないといつてもよろしい。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
かくも、山頂さんてう凸起とつきする地點ちてん調査てうさこゝろみ、はたして古墳こふんであるかいなかをたしかめる必用ひつようしやうじたので、地主側ぢぬしがは請願せいぐわんもあり
「この古墳こふんってみたいのですが、どうか学問研究がくもんけんきゅうのため、ぜひゆるしてもらえますか。」と、そのとりはからいかたを、書記しょきにたのんだのでした。
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
小千谷をぢやより一里あまりの山手やまて逃入村にごろむらといふあり、(にげ入りを里俗にごろとよぶ)此村に大つか小塚とよびて大小二ツの古墳こふんならびあり。
それはオウストリヤのハルスタットといふところ古墳こふんからされた鐵器てつきが、よくその特徴とくちようあらはしてゐたので、さういふをつけたのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
瓢簟形ひようたんがたあるひ前方後圓ぜんぱうこうゑん古墳こふんであるとすれば、その山頂さんてう古墳こふん山麓さんろく横穴よこあなと、如何いかなる關係くわんけいいうするであらうか。
古墳こふんのあるおかや、はたけには、きんくらかぶとか、きんにわとりかぶとかいううわさが、きまってあるものです。
銀河の下の町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
小千谷をぢやより一里あまりの山手やまて逃入村にごろむらといふあり、(にげ入りを里俗にごろとよぶ)此村に大つか小塚とよびて大小二ツの古墳こふんならびあり。
我々われ/\著手ちやくしゆするのは、一ぽん老松らうしやうのある雜木山ざふきやまなかで、一寸眼ちよつとめには、古墳こふんでもるかとおもはれるが、これは四はうはたひらいて自然しぜん取殘とりのこされた一區劃くゝわくほかならぬ。
はるびよりの、あたたかなでした。はたけなか古墳こふんのかたわらには、一ぽんのかきのがありましたが、小枝こえだにのびた、つやつやしい若葉わかばは、かぜにふかれてひかっていました。
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さればかの大塚小塚を時平大臣夫婦の古墳こふんなりと古くいひつたふるも何か由縁ゆえんある事なるべし。
このあたりの地形ちけいたときからわたしは、古墳こふんのあったところか、またどこかに発見はっけんされない古墳こふんのあるところというがしたのです。太古民族たいこみんぞくが、このあたりにもんでいたのですね。
銀河の下の町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さればかの大塚小塚を時平大臣夫婦の古墳こふんなりと古くいひつたふるも何か由縁ゆえんある事なるべし。