勤勉きんべん)” の例文
武村兵曹たけむらへいそう相變あひかはらず淡白たんぱくで、慓輕へうきんで、其他そのほか三十有餘名いうよめい水兵等すいへいら一同いちどう元氣げんきよく、だいなる希望きぼう待望まちのぞみつゝ、勤勉きんべんはたらいてる。
らしをたてていくことができるように、かしこくて、まじめで、しかもほがらかで、勤勉きんべんで、役にたつスモーランド人を、おつくりになったのさ。
それかと言って、大変勤勉きんべんな村人達でしたから、まだ明るいうちに仕事をやめて夕飯をたべる気にもなれませんでした。
天狗の鼻 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
そのありさまをおもいだすと、この勤勉きんべんなはちもそんなめにあったのではないかと、いたましいすがたが想像そうぞうされたのです。そればかりではありません。
はちの巣 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしは村で百姓ひゃくしょうはたらくところを見たこともあるが、ついぞパリの近所の植木屋のような熱心ねっしんなり勇気ゆうきなり勤勉きんべんなりをもってはたらいていると思ったことはなかった。
「その筆屋幸兵衛なるもの、まことに勤勉きんべん者でござって」山城守は、言い出した以上、早く終いまで言ってしまおうと、この秋涼しゅうりょうに、額部ひたいに汗までにじませながら
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
バクスターはへいそあまりものをいわないが、勤勉きんべんにして思慮しりょ深く、生まれながらにして、建築けんちくの才能があった。富士男がかれを推薦すいせんして工事の部長としたのはむりでない。
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
……だが僕は、仕事が忙しいうえに、至って面倒くさがり屋だから、事件が起っても、いつもぐに駆けつけて犯罪の現場げんじょう調べをやるというような勤勉きんべんな真似ばかりは出来ない。
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
えうするに勤勉きんべん彼等かれら成熟せいじゆく以前いぜんおいすで青々せい/\たる作物さくもつ活力くわつりよくいでつてるのである。收穫しうくわく季節きせつまつたをはりをげると彼等かれら草木さうもく凋落てうらくとも萎靡ゐびしてしまはねばならぬ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そして、たびたび、この岬の村の子どもらの勤勉きんべんさに感心し、いたずらぐらいはしんぼうすべきことだと思った。そう思いながら、心の中ではじぶんの勤勉さをも、ひそかにほめてやった。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
このをとこくらべると流石さすがのブリダアの市人まちびと餘程よほど勤勉きんべんたみはんければならない、にしろラクダルのえら證據しようこは『怠惰屋なまけや』といふ一個ひとつ屋號やがうつくつてしまつたのでも了解わかる、綉工ぬひはくやとか珈琲屋かうひいやとか
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
けれど、こうした野菜やさいや、穀物こくもつというものは、かならずしも勤勉きんべん土地とちにばかりよるものでありません。
自分で困った百姓 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、ふたりともふつうの人以上によくはたら勤勉きんべんな人たちでしたから、いまでは牛やガチョウも飼えるようになりました。らしむきもたいへんよくなっていました。
おうさまは、いたって勤勉きんべんかたでありましたから、太陽たいようるとはたらき、そうして、れるまではたらいて、くらくなったときにやすむような勤勉きんべんなものが、なんでもきでありました。
王さまの感心された話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それであるから、まんは、だんだん金持かねもちからきらわれるようになったのもしかたがありません。しかし、かれ勤勉きんべん生活せいかつぶりは、だれのにも、いままでとわったとはえませんでした。
万の死 (新字新仮名) / 小川未明(著)
乞食こじきは、境遇きょうぐう貧乏びんぼうをしましたけれど、りこうで正直しょうじき人間にんげんでありましたから、四ほうから、あらゆる方面ほうめん知識ちしきがあり、勤勉きんべんはたらひとたちをあつめて、まちあたらしくつくりはじめたのであります。
塩を載せた船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あまりくちをきかない、このおとこかおたばかりでは、こころうちることができなかったけれど、人間にんげんというものは、なにか目的もくてきがなければ、そういうふうに勤勉きんべんになれるものではなかったのです。
火を点ず (新字新仮名) / 小川未明(著)