“仰(おほせ)” の例文
遣(つか)はさるゝは御迷惑(ごめいわく)の體なりしが據處(よんどころ)なく下されて仰(おほせ)けるは此品(このしな)は東照神君より傳(つた)はれるにて父君にも深(ふか)く御祕藏(ごひざう)の物なるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
小男は我を顧みて、氣輕なる女なり、されど貌(かほ)は醜からず、さは思ひ給はずやといふに、我はまことに仰(おほせ)の如く、めでたき姿なりと讚め稱(たゝ)へき。
出版に就(つい)て私の序文が御入用だとの仰(おほせ)は謹んで承りましたが、私はあらゆるミスに就(つい)て何事もいふ權利を有(も)たない無學者なのだから少からず困却します。
『伝説の時代』序 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
竺阿彌(ちくあみ)、めそ/\と泣(な)きながら、仰(おほせ)なれば是非(ぜひ)もなし。乞(こ)ふ吾(わ)が最後(さいご)の一言(いちごん)を容(い)れよ、と云(い)ふ。國沴(こくてん)何(なに)をか云(い)ふ、言(い)はむと欲(ほつ)する處(ところ)疾(と)く申(まを)せ、とある時(とき)
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
仰(おほせ)を聞くと仕丁の一人は、片手に松明(まつ)の火を高くかざしながら、つか/\と車に近づくと、矢庭に片手をさし伸ばして、簾をさらりと揚げて見せました。
地獄変 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
仰(おほせ)の通(とほ)りに參(まゐ)りましたら又(また)以前(いぜん)の道(みち)に出(で)ましたが若(も)しやお間違(まちが)ひでは御座(ござ)いますまいか此角(これ)を
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
仰(おほせ)の如く近來和歌は一向に振ひ不申(まをさず)候。正直に申し候へば萬葉以來實朝以來一向に振ひ不申候。實朝といふ人は三十にも足らでいざ是からといふ處にてあへなき最期を遂げられ誠に殘念致し候。
歌よみに与ふる書 (旧字旧仮名) / 正岡子規(著)
剛造ほツと一道の活路を待つ「大きに松島様の仰(おほせ)の通りで、ヘヽヽヽヽ」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
吐(つか)せ給ひながら是は内々なり必ず沙汰(さた)す可(べか)らずと仰(おほせ)られたるが斯(かく)吉宗公が溜息(ためいき)を吐(つか)せ給ふは抑々(そも/\)天一坊の身の上を思(おぼ)し召(めし)ての事なり世の親の子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
幼君(えうくん)すなはち褥(しとね)間近(まぢか)く近(ちか)づけ給(たま)ひて、「豫(かね)て申附(まをしつ)けたる儀(ぎ)はいかゞ計(はか)らひしや」「吉報(きつぱう)を齎(もたら)し候(さふらふ)」幼君(えうくん)嬉(うれ)しげなる御氣色(おけしき)にて、「そは何(なに)よりなり、早(はや)く語(かた)り聞(きか)せ」「さん候(さふらふ)、某(それがし)仰(おほせ)を承(うけたまは)り、 ...
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
上(あぐ)る程のものならんと仰(おほせ)ありしことなり頃(ころ)は貞享(ていきやう)元甲子(きのえね)正月廿日卯(う)の刻(こく)玉の如くなる御男子(ごなんし)誕生(たんじやう)まし/\ければ大納言光貞卿をはじめ一家中(いつかちう)萬歳(まんざい)を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
恐(おそ)る/\「御料理(おんれうり)下(くだ)さる段(だん)、冥加(みやうが)身(み)に餘(あま)り候(さふら)へども、此中(このなか)にて給(たま)はる儀(ぎ)は、平(ひら)に御免(ごめん)下(くだ)されたし」と侘(わび)しげに申上(まをしあ)ぐれば、幼君(えうくん)、「何(なに)も慰(なぐさみ)なり、辭退(じたい)せず、其中(そのなか)にて相伴(しやうばん)せよ」と斷(た)つての仰(おほせ)。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)